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メイドが本体!  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第一章 闇のメイドを引き連れて王都の学院へ行こう!
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第89話 さすが爺ちゃん頼りになるぅ!

「ひい爺ちゃん、来たよ、学院で頑張って来るよ」


 大魔導師ギリオス様が眠る銅像、

 この下に遺灰があるという……実感ないや、

 でも最後に会った時の「次は学院へ行く途中で」は守れたのかな。


(そして、魂の外郭をありがとう、おかげで魔法が使えたよ!)


 直接のお別れはできなかったけど、

 ほんの僅かな一部は僕の中にある、それだけで十分だ。


「さて、これ以上居ても寒いだけだ、行こう」


 侯爵邸に戻ると爺ちゃんが待ってくれていた。


「最後にする事があるじゃろ」

「あっはい、それで場所はどこに」

「目立たぬ所が良いじゃろうて」


 連れて行かれたのは古い魔法修行場、

 壊れていつ直そうかと思いつつ放置されている、

 大き目の魔道具とかが放り込んである倉庫だ。


(うわ、爺ちゃんの後ろから弟子がいっぱいついてきた!)


「御主人様、どうする」

「うーん、作る所を見せちゃうのはなぁ」


 アンヌさんの心配はわかる、

 姉上はまあおそらく大丈夫だが、

 爺ちゃんとその弟子だとコピーされちゃうかも?


「心配するな、そう易々と真似はできん、

 というか魔神レベルの魔力を使わんと出来んじゃろうて」

「本当ですかあ?!」「なんじゃその言い方は」「ご、ごめんなさいっ」


 やべえ、ちょっと良い気になり過ぎた。


(あくまでも偉いのはユピアーナ様だ、僕じゃあない)


「お爺様とそのお弟子さんの勉強になるなら光栄です」

「うむ、ではさっさとやるが良い」

「アンヌさん眼鏡ナンスィーちゃん、お願いします」


 ということで転移魔方陣の作成、

 その様子を爺ちゃんは険しい顔で見つめ、

 弟子たち(メイド含む)は驚いたり、ほうほう頷いたり。


(凄く高度な事をやっているんだろうけど、僕は暇なだけだ)


 隅に寄せてある壊れた魔道具に目をやる僕、

 うーん、なかなか興味深いアイテムもあれば、

 使い方がさっぱりわからない物まで様々だなぁ。


(あっ、昨夜ベッドで添い寝をしてくれたメイドも居た、あれもやっぱり弟子かぁ)


 などと気を散らして待つ事、

 三十分くらいかなぁ……魔方陣が光り、歓声があがる。


「よし、出来たぞっ」

「完成しましたぁ!」


 と、終わったと同時に眼鏡を外すナンスィーちゃん、

 これでダクスヌールの街や闇の村まで戻れるはずなんだけど……


「じゃあええっとまずは、近い所で母上の住居まで」

「キリアンの四番目の嫁か」「ええ、といっても僕の部屋ですが」

「ではまずはワシだけで行こう」「いえその、最初はアンヌさんが居ないと」


 結局。僕とアンヌさんと爺ちゃんの三人だけで転移した。


「うん、ばっちりだ」

「ここがダルマシオの部屋か」

「昔のですが、母上いるかなぁ」


 三人で表に出る、

 うろついているとメイドがびっくりしていた。


「あっ、母上はどこに」

「キッチンメイドの料理指導かと」

「案内していただけますか」


 良い匂いの方へ三人で行く途中……


「アンヌさん、アンナさんの方は」

「他のお弟子さんを街まで案内していますね」

「もう行っちゃってるんだ」「勝手な真似を」


 あっ、爺ちゃんの眉間にしわが!

 とか思っているとキッチン訓練場? に到着した。


「まあリアッドお義父様!」

「うむ、伝えておきたい事があってな、

 ワシはアンヌと一緒に魔法の実験で、ダルマシオの部屋を使わせて貰う!」


 あっ、そういう事にしてくれるんだ、助かる。


「あのお方には」

「キリアンにも言っておけ、文句は言わさぬ」

「か、かしこまりましたわっ!!」


 これで荒らされたり変に利用されたりは無い、かな?


「部屋の掃除もダルマシオのメイドがやる、

 じゃから誰も入れるな、だがワシらは使わせて貰う、良いな?」

「あっ、あとブランカちゃんやそのお母さんも出入りに使わせてあげて下さい」


 と軽くブッ込む僕。


(爺ちゃんの衣を借りるけど、まあいいよね?)


「お義父様の、どうぞなさりたいように」

「うむ、ではまだ実験の最中ゆえ、またな」

「ははっ!!」


 こうして僕らは部屋に戻る、

 途中で外で芝生掃除しているブランカちゃんが居た、

 声をかけるのも邪魔しちゃ悪いので、スルーしてっと。


「部屋に戻りましたが、いっそもう鍵をかけないで良いかもですね」

「かかっていても内側から開くなら構わん」

「あっそうですね、では次は街の方に」「ゲンズブールに喝を入れてやるわ」


 とまあこんな感じで街や村、

 おまけついでで姉上の男爵邸も爺ちゃんに案内し、

 無事、辺境伯邸に戻って来た頃には夕方だった。


「まずいなあ、教会都市で泊まる予定だったのに」

「ふむ、では特別に……今回だけじゃぞ?」


 杖を取り出して馬車を引く馬に、

 シャドウホースに魔法をかけてくれた!


「お爺様、これは」

「速度がしばらくは三倍じゃて、

 操縦がちいとばかしキツくなるが今夜中には着くじゃろう」


 あと、めっちゃ揺れそう。


「お爺様、ありがとう」

「王都に着いたらアレを作るんじゃろう?

 一度戻って来い、使わせてくれるなら派遣する執事の質を上げてやろう」


 まあそのあたりはお互いWin-Winで行かないとね。


「わかりました、では行って参ります、

 あっ、ナンスィーちゃんからの貢物は」

「とっくに貰ったわい、魔道具も、甘い物もな!」


 こうして僕とメイドの一行は、

 爺ちゃんとその弟子に見送られて、

 侯爵邸を後にするのだった……最後にひい爺ちゃんの銅像に頭を下げて。


(……行ってくるよ、そして、一人前の領主になるんだ!)


「お嫁さんも連れて来るよっ、ひい爺ちゃん!!」

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