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メイドが本体!  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第一章 闇のメイドを引き連れて王都の学院へ行こう!
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第55話 メイド冒険者パーティーの出陣式!

 昼食後、ダクスヌールつまり街の冒険者ギルドで、

 メイド戦闘服とやらに着替えた我がメイド達が集まっていた、

 雨降る中、さあこれから出陣といった感じだ。


「はい、仮所属のおふたりも、これで正式所属となりました」


 カタリヌさんアンナさんも登録完了、っと

 受付嬢のアガットさんが改めてメイド達に告げる。


「ダクスヌール所属F級冒険者パーティー『ダルちゃんのメイドお姉ちゃんズ』の皆さま、

 ギルマスの方から伝言があります、よろしいでしょうか」


 これに応えるのは僕では無くリーダーのサエラスさん。


「はい、なんでしょうか」

「ではお伝えします、『パーティー命だが、ちゃんが被るのはどうかと思うぞ』以上です」


 ええっ、大事なの、そこ?!

 時には命を賭け魔物を倒したり宝を見つけたり、

 また村や街を守ったり新たな道やルートを開拓したり、時には国のために戦う『冒険者』が……?!


「……そうですか、では『ダルちゃまのメイドお姉ちゃんズ』に致しましょう」

「名称登録変更は、E級に上がった時に出来ます」

「わかりました、行って参ります、昇給条件は薬草と魔石の採取ですね」


 ここで新人受付嬢のサナさんがおじいさん魔術師を連れてきた!


「ワシが研修の教官、ザードじゃ」

「よろしくお願い致します、リーダーのサエラスです」

「では早速、ダンジョンへ行こうかの」


 このパーティーのオーナーとして、

 僕もザードさんにご挨拶をしておこう。


「お姿はたまに拝見しておりました、本日はよろしくお願いします」

「うむ、これでも元S級冒険者パーチーじゃ、任せてくれたまえ次期領主殿」


 パーチーって!

 さあ出発、という所で友人三人も見送りに来ている、

 メイドが出払うとウチに居ても意味ないもんな、多分。


「みんな頑張って!」「ダルくんのために生きて戻ってきてよ!」

「ダル、ちゃんと送り出してやれよ」「うん、そうだね、みんな行ってらっしゃい!」

「行ってくるわね、ふふ、みんなありがとう」


 戦闘は魔法剣士っぽい黒い剣のサエラスさんがザードさんと並んで出る、

 続いて拳闘士アンヌさんはなんだか闘技用のメイド服って感じ、軽装というか動き重視。

 並ぶは戦士で手斧を両手に持ったサンドリーヌさん、意外と力持ちだなドリーちゃん。


(ドワーフみたい、とか言うと『このセクシーな私が?!』とか言われそう)


 そしてアサシン装束のメイド服タマラさん、メイドアサシンってなんだよっていう、

 いやメイド服で諜報活動するスパイでもこんなあからさまな姿はしてないと思うけど、

 並ぶは賢者アンナさん、立派な聖女服みたいなメイド服、並ぶとお胸の主張が激し過ぎる。


(友人三人も、そこばっかり目で追ってるし!)


 最後に僧侶風メイド服のカタリヌさんと、

 魔法使い風メイド服のナンスィーさんは眼鏡ないから眠そう、

 この八人で雨の中、表に待たせている冒険者用の馬車に乗り込む。


(これ、本当は高ランクでないと使わせて貰えないやつです)


 じゃあなぜ運転手付きのこれを乗せて貰えるかというと、

 僕の次期領主特権、という訳でもなくもちろんユピアーナ様も関係なく、

 単に教官であるザードさんが個人S級冒険者として使っているという(てい)なのです!


(そして出発、名残惜しそうな僕の友人三人が馬車の後ろ姿を見てるや)


「あーあ、行っちゃった」

「いつ戻ってくるんだろ」

「ダル、帰還したらお祝いの会とか」「メイドにそんなのないよ!」


 今後、冒険者としても稼がせる、か。

 僕が参加する事は絶対にさせないってカタリヌさんサエラスさんに念を押されたな、

 これが小説だったらダルマシオ様の『冒険』ではなく『スローライフ』ですよとかなんとか。

 

「さーて暇になったぞ」「どうしようか」

「ダル、特権でサナさんを借りられないかな」

「ええー、そんな特権って僕、あるの?!」「では私は業務に戻りますね」


 暇な時間なのに引っ込んで行ったということは、まあ、そういうことだ。


(あの手の受付嬢は屈強なS級冒険者が拾い上げるだろう)


 あくまで僕の偏見ですが!


「じゃ、俺らは俺らで」

「ロジャーの家でも行くか」

「ダルも来るか?」「だから忙しいんだって、ごめん」


 ちゃんと誘ってくれる所が友達だ。


「それじゃあな」「明日は行けないから」「ダル、明後日な!」

「う、うん、また」


 明日は来ないんだ、

 ていうかそもそも約束とかしてないよな、

 まあ取り巻きだから別にいいんだけれども。


(あれでも学園じゃ、凄く心強かった)


 感謝しつつも雨の中、

 ここ冒険者ギルドに来た時の自前の馬車に乗る、

 運転は例の、闇の村で身体を洗ってくれた名も知らぬメイドのひとりだ。


(いいかげん、どこかのタイミングで名前を聞こう、ふたりとも)


 急に広々とした馬車、

 呑気に鼻歌混じりに乗っていると、

 しばらくして街の我が屋敷に……あれっ?!


(さっきの、メイド達の乗った馬車が停められている?!)


 忘れ物でもしたのかな、

 馬車を降りて居間へ行くと……!!


「みなさん、おくつろぎで」


 うん、普通にゆったり座っていた。


「おう、邪魔しとるぞい」

「ええっとザードさん、改めまして」

「お前さんの爺さんとは旧知の仲じゃ、堅くなるな」


 お紅茶を優雅に飲んでらしてる。


「これからダンジョンですよね?」

「E級昇格に必要な素材はホレ、そっちに」

「あっ、テーブルの上に、こんもりと!」


 なんかこれはアレだ、

 金持ちオーナーがお抱え冒険者を、

 さっさとクラス上げするために、必要な素材を買って来たみたいな?!


(そんな不正は頼んだ覚えはないぞ)


「次期領主殿、そんな顔をするでない」「はあ」

「ワシの見立てでは、このパーチーはすでに余裕でB級以上じゃろうて」

「そんなにですか!」「なにせユピアーナ様がおられるからのう」


 知ってたんだ!!


「ご存じでしたか」

「ワシも闇の村の住民じゃ」

「あっ、そうでしたか」「生まれは違うがの」


 今度は黒い紅茶を貰うザードさん。


「さぞかし名のある冒険者だったのでは」

「名はの、大陸中で女遊びが過ぎた、じゃがのう、

 ダクスヌールの村(当時)で悪い魔女に引っかかってしまってのう……」


 この爺さんもかーー!!


「そうでしたか」「すっかり魂を抜かれ、魔女の虜に……それまでの報いじゃな、

 子宝に恵まれたし難解なダンジョンや手強い魔物どもとの戦いも堪能できたが、

 スゥクネィダ地方からは逃げられない身体にされてしまった、幸せじゃがの!」


 どれだけ魔女のテクニックが凄いかよくわかるな、

 きっと名うてのS級魔法使いだったであろうザードさんが逆らえないレベルだ、

 まあ僕も気を付けようというか、もう手遅れな気がしないでもないけれどもっ!!


「それじゃあ今日は時間まで、ここで暇つぶしを」

「いや、高難易度ダンジョンを攻略する、闇の村の奥に数あるの」

「いきなりですか」「王都へ行くまでにこのパーチーを仕上げてやろう、期待しちょれ」


 しちょれって!!


「ええっと、じゃあ僕は」

「坊ちゃまは屋敷の書斎で自習ですよ」

「ですよねー」「読むべき本は用意しておいたわ」


 といった感じで、

 みんなで転移魔方陣を使って闇の村へと移動したのでした。


(雨のダンジョンとか、ジメジメしてそう)


 ちなみに表に停めてあった高級馬車は、

 街の屋敷裏に隠したそうです、例の名を知らないメイドさんが。

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