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メイドが本体!  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第一章 闇のメイドを引き連れて王都の学院へ行こう!
53/124

第53話 今朝は朝チュンではなくて!

 ザーー、ザーーー……


(今朝は雨かぁ……)


 ちゃんとした添い寝じゃなかったからという訳じゃないけれども、

 こっちに来て初めての雨はいかにも寒そうだ、ベッドから出たくない。

 ブランカちゃんは……うん、普通に寝てる、ごく普通に、スヤァって感じで。


(普通の、王都に憧れる女の子って感じなんだろうな)


 こういう子の未来も背負っていかないといけない、

 子って言っても僕よりひとつお姉さんだけどねっ!

 それにしてもクール系って美人だよね、黙っていれば。


(ナンスィーさんの実験が上手くいけば、一度連れて行ってあげたいけど……)


 行くならあのお母さんも一緒かなあ、

 僕が学院に連れて行くメイドの年齢って、

 ユピアーナ様は反則として、最年長は28歳のカタリヌさんだ。


(経験豊富で色々とまとめてくれる、執事が別で必要になってくるな)


 メイドが八人を超えたら義務なんだっけ?

 ちゃんと男性の相談できる人が王都で構えてくれていると助かる、

 でもなあ、実家で信頼できるのって姉上ひとりだから、執事の派遣を頼むにしてもなぁ。


「グエエエエェェェェェ~~~……」


 あっ、ダークネスドラゴン!

 雨でも普通に参加するのか、後ろの子ドラゴンも。

 操縦しているのは……おお知らない男性だ! 雨具で固めてるけどおじさんっぽい。


「……あっ、パパ」

「えっ?! ブランカちゃんおはよう」

「お、おおおおはようございます! わ、私、一緒に寝ちゃったんですよね」


 指一本触れてないけどねっ!!


「……もう行っちゃった」

「あれ、パパです」

「そうなんだ」「昔は名のあるテイマーだったそうです」


 じゃあ、もう引退しちゃったのか、

 悪い魔女にでも捕まっちゃったのかな?


 コンッ、コンッ


「御主人様、失礼をする」

「ご主人様、失礼致します……」


 一緒に入って来たアンヌさんとアンナさん、

 一人二役が段々と板についてきたとでも言おうか、

 息が揃い過ぎだけど、ちゃんと別々のメイドに見える。


「おはよう、ってもうコレは一巡したってこと?!」

「そうなるな」「……そうですね」

「なるほど、ということは今日はブランカちゃん、ベッドの掃除をしてお休みだ」


 紅い顔をして頷いているけど、

 いや、本当になんにもしていないぞ?!

 だから掃除も楽だね、って部屋全体の掃除もあるか。


「そころで御主人様、学院まではあと何日だ」

「21日ですが、21日後に学院へ到着していないといけないので」

「……出発はどのくらい前に」「単純に、手段にもよるけど5日~7日かかるから」


 あと、途中でおそらくしなきゃいけない事も多い、

 寄るのは学園もある姉上の街、そして父上母上の住む辺境伯家、

 さらにはおっかない爺ちゃんの住む魔導都市……少なくともこの三か所は泊まる。


(そのうちのどこかで執事の相談もしたいけど……)


 相手が力がある程、信用ができないんだよなあ、ひい爺ちゃん亡き今。

 僕は父上がおっかない、でも爺ちゃんはもっとおっかなくて父上も怖がるレベル、

 その爺ちゃんはひい爺ちゃんが凄くおっかなかった、が、僕にはやたらと優しかった。


(魔王退治の代償で力が無くなっても怖がってたから、よっぽどなんだろう)


 だから心配しているのは、

 ひい爺ちゃんが亡くなってしまったことで、

 爺ちゃんや父上がより僕に対し遠慮なく、厳しくならないかという事だ。


(そのあたりは心配のないようにする、とは遺言に書いてはあったけれども)


 何より『たったひとつ、何でも僕の言う事を聞いてくれる』権利はうちの爺ちゃんも担当だ。

 などと回想、長考していたらアンヌさんの方から声をかえてきた。


「では残りの準備期間は14~15日くらいと考えて」

「そうですね、そこまでで、どこまで何が出来るか」

「メイドもメイドで考えるが、打ち合わせに参加して欲しい」「もちろん」


 身体を整えたブランカちゃんもベッドから出る。


(いや、ほんとに何もしてないし、たぶん何もされてないよ!)


「私も連れて行っていただけるよう、頑張ります」

「うん、カタリヌさんに言っておくよ」

「推薦して下さるのですか?!」「いや、そのなんだ、ちゃんと見極めてあげてって」


 さあ、朝食をいただいたら今日も訓練と勉強だ。


「あっそうだ、ユピ……アンヌさんとアンナさんって」

「「はい」」

「デートとかしたことあります?」「ユピならある」


 あっ、ユピアーナさんが化けた拳闘士ね、

 つまり今のアンヌさん、が当時使っていた名前である、

 勇者パーティー『クリスタルパレス』のサブメンバー。


「王都でですか」

「そうなるな」

「ちなみに相手は」「勇者の甥っ子だな」


 えええええええええ前々国王の?!?!


「ええっと、デートの内容は」

「手を繋いで城下町の散歩だ」

「その時の、お相手の年齢は」「七歳か八歳だ」


 可愛らしいデートだこと。


「そうですか、まあデートといえばデートですね」

「焼いたのか?」「いや、僕ってデートの仕方を知らないから」

「では王都に着いたらデートをしよう」「あっはい、目立たない程度に」


 メイドとデート、か。

 これも一巡させられそうだけど、

 将来のお嫁さん候補相手に、エスコートの練習だな。


「あ、あの、あのののあの」

「ブランカちゃん、どうしたの」

「デート、ダルマシオ様とのデート、楽しみにしておりますっ!!」


 もう行く気でいるよ……。


(よし、まずは友人から『デート』について、改めて情報収集だ!!) 


 でも、雨でも来てるかなあ……??

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