表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
メイドが本体!  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第一章 闇のメイドを引き連れて王都の学院へ行こう!
52/122

第52話 お風呂の黄金ツートップと夜のベッドに来たのは!

「はい、ちゃんと目を瞑って下さい」

「腋がくすぐったいかもしれませんが我慢しましょうねー」

「あっはい……」


 お風呂で僕の全身を洗ってくれているのは、

 カタリヌさんサエラスさんの、僕のメイドツートップだ、

 昔からまあまあ知っているだけあって、安心して身体を任せられる。


(まだ慣れないけれどもね!)


 そして会話は、

 話題は僕のメイド組織に。


「学院での生活、ダルマシオ様に苦の無いよう、我々メイド一同、頑張りますわ」

「旧金貨・旧銀貨とはいえ、すでに大金があるのは良かったわ、ね? ダルマシオ坊ちゃま」

「うん、ただ、できるだけ使わないようにしたいって気持ちは無いと、そこまで贅沢はしたくない」


 あんまり金持ちアピールみたいなことすると、

 良くないことが起きるのは学園でも話だけは聞いた。

 兄や姉が学院で酷い目にあったって……明日は我が身じゃないけれども。


「出入りの商人に、王都の物件についてはすでに情報を仕入れていただいておりますわ」

「いざとなったら私達メイドの冒険者パーティーで、それなりに稼いでお渡しする事も」

「いやいやいや、それは自分のお小遣いにしてよ、とはいえ僕ってお小遣い出るのかな」


 あの両親じゃなあ、

 だからといってユピアーナ様の分け前で豪遊みたいなことは、しない。


「ダルマシオ様、ユピアーナ様は王都で稼ぐ気、満々のようですが」

「お金を賭けたメイドバトルで百戦百勝したいとか言っていたわね」

「まあ本人が遊びでやりたいなら、ってさすがにユピアーナ様の姿ではやらないよね?」


 王都が大パニックになる、

 いやこれティムした魔物なんですよ、で通せそうには無いし。


「お小遣いについてはお任せを」

「そもそも街の『税収』というのがあるわ」

「でもまだ領主じゃないしなあ」「私達に」「任せてちょうだい」


 メイド長と副メイド長がそこまで言うのであれば、まあ。


「でも、そこから出るとなると大した金額では、

 いや逆に沢山貰ったら僕が困るっていうか罪悪感が」

「よくお考えになって下さい、デートにはお金がかかります」


 えっ、もうそんなお話?!


「うーん、そもそもデートがわからない」

「ではメイドで練習を」「お好きなメイドで是非」

「いやいや、お好きなメイドって!」


 このあたり友達とあんまり話してなかったな、

 王都でお嫁さんを探すっていうのはそういうことか、

 いや貴族ってどうしても婚約者が決められているからさ、僕ごときでも。


(最低保証の安全保障でもね!)


 このあたり大人なメイドに教えて貰うのも良いな、

 闇の村から出られない住民とかデートはどうしているんだろう?

 あと何気にユピアーナ様は……そういう興味はあるのかどうか。


「あっ、昔ワンディちゃんと買い物に出かけたのはデートに」

「何を眠たい事を言っているのですか」

「デートというのは、どこまで出来るかがデートなのよ」


 どこまでって!!


「さあ流しますよ」「あっはい」


 ざばあぁーーーっっ……


(デートかぁ……)


 とりあえず湯船に浸かっている間、

 色々と考えてみました、はい、僕の知識の限り。


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「お、おお、お待ちしておりままました!!」


 ベッド横のソファーで丁寧に座っていたブランカちゃん、

 僕よりひとつ年上なんだけど、今日はクールな感じじゃなく、

 ガッチガチに緊張しているっていうか、ちょっと震えている。


(なんだよこれ、まるで生贄じゃないか)


「ええっと、じゃあそこのホットミルクを」

「い、いま、ただいま!」

「……あっいいや、自分でやる」


 これ絶対こぼすな。


「私の仕事ですのでっ!」

「じゃあカップに半分くらいで」

「はいっ、いますぐにっ!!」


 そう言ってまず初手でミルクをカップから外している。


(痛々しいよ……)


 ようやく入れてもらってそれをひとくち飲む。


「……んはぁ、ありがとう、じゃ、おやすみ」

「はいっ、私はまず、どうすれば」

「帰っていいよ」「えっ」「じゃ、また明日、って休みか」


 ベッドの掃除くらいはしてくれるのかな?


「あ、あののののの」

「そのピンクの寝間着、素敵だね」

「はいっ」「んじゃ」


 これで添い寝終了、っと。


「……ううぅ、うううぅぅぅっ……」

「な、なんで泣くの?!」

「私は、そんなに魅力が無いのでしょうか」


 あーもう、面倒くさいな。


「じゃあ隣のメイド部屋で寝て、それで添い寝って事になるから」

「い、いっ、嫌ですっ!」

「んもう、じゃあそこに座ってて」


 僕も僕で、僕の方から迎え入れるみたいな真似は出来ないし。


「はい、それで」

「僕が眠くなるまで、お話をしましょう」

「どのような」「この村って、何か娯楽とかある?」


 うん、村から出られない人が何しているか興味ある。


「そうですね、やはりこのお屋敷で本を読むとか」

「そうなっちゃうか」

「あと食堂に、冒険者や元冒険者の方からお話を……」


 とまあ闇の村での暇つぶし方法を聞いているうちに、

 落ち着いたらしくブランカちゃんの震えも止まっていった。


「……へえ、そんな温泉があるんだ、ダンジョンに」

「はい、人間専用が整備されていて、ブラックラミアもこちらが何もしなければ……」

「ごめん、さすがにもう眠くなってきたよ……」


 ふわあと大きなあくびをひとつ。


「では……」

「うんおやすみ、じゃあね」

「では、失礼したします……」


 そう言って部屋から出て行く、

 と思いきやベッドに入ってきた?!


(……でも、くっついたりはしてこないな)


 同じベッドで眠る、

 それが彼女の、ブランカちゃんの精いっぱいか、今は。


「こういう夜も、良いな」

「えっ」

「あ、声出ちゃってた、ごめんごめん、そしておやすみ」


 うん、無理しない、無理しない。


(……ワンディちゃんが来たら、どうなっちゃうんだろう)


 彼女とは僕がもっと小さいとき、

 添い寝して貰った事があったけど、

 今だと……今はもう、十九歳とかか。


(早く会いたいな、ワンディちゃん)


 こうして僕は何事もなく、

 眠りについたのでした、いや本当に。


「……私の……意気地なし」


 ブランカちゃんの呟きはまあ、聞かなかったことに!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ