第25話 そして朝チュン!
チュンチュン、チュンチュン……
「う~~~ん、もう朝かぁ……」
結局、アンヌさんは本当に『添い寝』をしてくれただけだった、
とはいえ少し大柄の女性に抱き包まれて眠るのは、緊張してしまった……
(トイレ行って戻ったら、アンナさんに変身してたりもしてたし!)
それはそれで凄かった、うん、特にお胸が。
「んっ、起きたか、おはよう」
「おはようございますアンヌさん」
「……メイドが主人より遅く起きるとか失格だな」「同時ですよ」
などとフォローをしていると、
窓の外に大きな影が見えた!!
「グエエエエェェェェェ~~~……」
「うっわ、ダークネスドラゴン!」
「朝 散歩のようだな、操っているのは……」
見るとブランカちゃんだ、
上手い具合に背中に乗って……
後ろに小さいドラゴン達がくっついて飛んでいる。
「あれを乗りこなすのはなかなかだ」
「えっ、そうなんですか」
「テイマーとしての素質があるのだろう」
僕が学院へ行っている間の世話は、任せられそうだ。
(それだと連れて行けないな……)
まさかあのドラゴンを王都へ連れて行く訳にはいかない、
いかにティムモンスター可でも入れられる小屋が大変だし、
そもそも闇属性の竜連れて行った段階で討伐され兼ねない。
(抜け道が無い訳じゃ無いけれども……)
コン、コンッ
「失礼致します」
「あっはい、どうぞ」
入って来たのはメイド長のカタリヌさんだ。
「おはようございます、朝食の準備ができております、食堂でお召し上がりますか?」
「はい、わざわざ持ってきて貰うのも申し訳ないので」
「それで……昨夜はいかがでしたでしょうか」「えっ」
眼鏡を直すカタリヌさん。
「どのような『夜伽』をされたのでしょうか」
「そ、それは……そのっ、一緒に寝ました、はい」
「その『寝る』というのは、具体的にどのような行為を」
なんでそんなに、根掘り葉掘り聞こうとするのーー?!
「メイド長、私から報告しても良いか、いや、よろしいか」
「……良いでしょうアンヌ、詳しく説明しなさい」
「はい、下着姿で抱きしめて寝かしつけました、やましい事は何もしておりません」
いやそれ、十分やましいのですがー!!
「そうですか、すなわち『手は出さなかった』と」
「出して貰えなかった、とも言えますが、初日はこんなものかと」
「わかりました、では今夜は私が代わります、良いですね」「はいメイド長様」
えええええ勝手に話を進められたーーー!!
(そして今夜はカタリヌさんって!!)
「では行きましょう、アンヌは寝室の掃除を」
「……かしこまりました」
「えっ、一緒に食事は」「アンヌはメイドですよ」「そ、そうですけど」
そして転移魔方陣へ……これ便利だよね階段使わなくて良くって。
(行き先も念じれば良いだけだし)
闇魔力保持者って縛りが無ければ、革命になるな。
「おはようございます」
「うん、おはよう」
まだ見ない顔のメイドも居る、
昨日はお休みだったのかな?
村の暇な女性の、良い働き口だったのかもしれない。
(でも、今後はどうしよう)
「ええっとカタリヌさん、ここに居るメイドのお賃金は」
「村で作っている作物やアイテムの売り上げからですね」
「そうなんだ、じゃあ宝物庫の旧金貨とかは」「初期費用だけかと」
そうこう話しているうちに良い匂いが、
食堂に入ると他のメイド三人が待っていた。
「「「おはようございます」」」
「うん、おはよう、ってそういえば……」
「あら、どうかしました?」「うん、サエラスさん、みんな、その……リボンが」
よく見るとカタリヌさんも、
四人ともピンクのリボンを付けている!
「そうよ、みんな『夜伽』可能なメイドよ、坊ちゃま」
「お姉さんの番を楽しみにしていなさい!」「ドリーちゃん……」
「私もぉ、精いっぱい、夜伽させていただきますねっ!」
……添い寝するだけだよね?!
でも、恐ろしく緊張してしまう。
「ええっとカタリヌさん、その昨夜、あれで良かったのでしょうか」
「どの件がでしょうか」
「んっと、えっと、そのっ、う、うん、なんていうか」
手を出さなかった事について。
「坊ちゃま、まずはスープを」
「あっはい、サラダもいただきます」
そしてパンに塗られた黒いやつ、
岩海苔っぽいな、サラダの黒いのは黒ピーマンか、
味は……どれも美味しい、これは三食、期待できそう。
(お婆ちゃんメイド達は、すぐに煮込み料理へ逃げたがるからなぁ)
「それでダルマシオ様」
「はいっ、そうだよね、昨夜の添い寝、あれ、あんな感じで良いのかなぁ」
「詳しい報告はアンヌから後で受けますが、ダルマシオ様は好きにして良かったかと」
好きにって!
「そ、そそそそそれは」
「ピンクのリボンを付けたメイドはそれだけでもう覚悟が出来ております、
よって男性が考える、ありとあらゆる『ベッドでの行為』は、許されます」
許されちゃうんだー!!
「じゃあ、逆に僕が何もしなかったのって、失礼には」
「何もしないのも自由です、それはそれで『あらゆる行為』のひとつですから」
「でも、実は待ってくれていたとか」「受け入れる準備はできていたでしょうが、ダルマシオ様次第ですわ」
……う~~~ん、
これは最初がユピアーナ様、
いやアンヌさん(アンナちゃんも途中で出てきたけど)が経験が無かったのもあったのかな。
「ちなみにカタリヌさんは経験は」
「添い寝のですか? そうですね、親戚の子なら」
「じゃあその、行為は」「性交渉はまったく、以前申し上げませんでしたか」「でしたっけ?」
じゃあ本当に母と子、姉と妹みたいな、
いやメイドと主人だったら話は違ってくる……のか?!
(今夜、僕はいったい、どうしたらいいんだー!!)
まあいいや、
別に今度はまったく知らない相手じゃないし。
「ええっと、食事の後は」
「屋敷内の整理をしましょう、屋敷そのものについても」
「あっはい」「あとメイドのスケジュールも」
そうだよね、
お婆ちゃんメイド達みたいに、
ローテーションで休みを作って貰わないと。
(お水のおかわりを入れてくれるドリーさん、かわいいなあ)
そして口を拭いてくれるタマラさん、
うん、どうしても、おっきなおっきなお胸に目が……
メカクレながらも口元で微笑んでくれているのがわかる。
(この、昨日会ったばかりのメイドにも嫌われないようにしなくっちゃ)
あと何気にナンスィーさんも気になる。
「あっ、デザートがもう!」
「朝なのでブラックスライムゼリーですね」
「ありがとう、ちっこいメイドさん」「私のこと?!」「いやドリーちゃんじゃなくって」
朝からまたもや新顔の少女メイドが持ってきてくれたや、
このあと学校があるだろうに、こういう子達も領主として養っていかないと。
「学校の見学って、できますか」
「ええ構いませんが、何か気になる事でも」
「いや、ちゃんと見ておきたくって」
昨日は前を通っただけだったし。
(うん、やる事がいっぱいだぁ)
それにしても、
父上はここの存在を、どこまで知っているのだろうか???
(ひい爺ちゃんに『ここの金や物には手を出すな』って言われていたとしたら……!!)
そのひい爺ちゃんが亡くなった今、ここが狙われる?!
「護らなきゃ!!」
「……ダルマシオ様、いかがなされました」
「あっいや、ちょっと、色々と決意表明を、ね」
これに関しては『ユピアーナ様』にも、相談をしよう。
「あっ、デザートいただきまーーーっす……」
ちなみに少女メイド(11歳くらい)のリボンはちゃんと白だったよっ!
そりゃそうか。
「うん、おいしい、ぷにぷにぷるぷるしていて、甘くて美味しい!!」
「良かったわ、お姉ちゃんまた討伐に行ってくるわね」
「えっ、これ」「昨日、ダンジョンでね」「その時のかぁ」
……ダンジョン視察とかは、さすがにいいかな。
学院の授業でありそうだけれども! その時は、さてどうしよう。
(メイド任せにできるといいなぁ)
基本的に内容がそこそこ異なる場合、
なろう板を先出ししてカクヨム版は後になります、
日によっては大きく時間が変わる場合があります。
(例:なろう板は昼、カクヨム版は夜、など)
ご了承くださいませ。