表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

後の自分へ

作者: コサバサバ

 自分の思うことを言葉で完璧に表現することはできない。同じ言葉でも自分の感情を全く同じように表現しているとは必ずしも言い切れない、というよりかはむしろ同じであっていいはずがない。同じことをしたとしても、その時眼に入っているもの、直前にした行動、その日の気象や自分の気分、体調等…。全く同じ状況というものが再び訪れることはない。これは自明であろう。そのような事実を踏まえると感情や思いを次の自分に伝えることがいかに難しいものかと思い至るのである。例えば、同じ「嬉しい」という感情をとっても嬉しさにははるかに大きな幅があり、それらを全てひっくるめて「嬉しい」という言葉で包含している。日本語を母語に持つ私だからこそ「嬉しい」という言葉が大きなものであるが、きっと他の言語を用いる人々にとっては同様の感情を別の言葉で表現するのであろう。自分が「嬉しい」と一括りにする感情のこの部分はAという言葉で表すことができ、はたまた別の部分はB、ここはC…といった風に表すことができるのだろうなと思いを巡らせることは何よりも楽しいことである。だが、やはり自分の感情を完璧に表すことはできず、後の自分に対してその時その時の状況を踏まえて完全な状態で感情を残す、いや遺す、ということは難しい。おそらく不可能といっても差し支えないとすら思われてしまう。

 ではどうすればよいのか。ここでいつものことながら、言葉以外での表現、というものが登場するのである。真っ先に思い浮かぶものはやはり絵。第三者の自分が見ても大きな感動と衝撃を伴う絵は非常に多い。ということは自分に向けて絵を遺すようなことがあれば感情や思いを伝えることもきっと可能であろうかなと思うのである。これは自分が絵を通して表現できるような能力を客観的に見て持っていないと言えてしまうから思うのかもしれず、絵の力をおそらく過信している節もあるのであろうが、言葉を通して伝える表現とはまた一線を画した、より受け手によって伝わり方の違う表現なのであろうなと考えるのである。自分が絵というものの力を感じるきっかけが何であったか、などという都合の良い記憶を持ち合わせていないのは重々承知だとは思われるが、それにしても何かものすごい力を秘めているものであることは間違いないのだと、そう信じたい。

 絵の力、という面でいえばやはり表現のすごさというものを語るうえで自分は漫画というもののすごさを実感する日々が続いているようにも感じる。漫画というものにはストーリーがあったり絵があったり、言葉だけでなく幕間の絵だけで魅せる場面があったりと、あまりにも高度な技術や技法、技巧が凝らされたものであると感じる。なんと表現すればよいのかわからないのだが、自分は漫画を崇拝しているといってもおそらく差支えないのだろう。なんと素晴らしいものであるか、と。ここでどの作品が素晴らしい、などという論を展開することは控えるが、この文章を後々読むであろう未来の自分でも今の自分が素晴らしいと思う作品を否定することなどないだろうから、きっと同じような作品を頭に思い浮かべる事であろう。

 そのような論を展開したのち、本日最後に記すのは音楽を聴いているときは思考を放棄していることと同様なのではないか、ということである。別に音楽を聴くことを否定することなどしないが、街を歩けば耳にイヤホンをつけたまま歩く人のあまりの多さに少し辟易する自分のただの愚痴なのだと思って読んでいただければ幸いである。これは完全に主観なのであるが、音楽を聴いているときはほかのことを考えている余裕がないように思える。自分の好きな音楽を聴いているとき、歌詞を口ずさんだり口笛を吹いたり、外に出ずとも頭の中で歌詞や歌手を思い浮かべたりと、音楽を聴くことは自分の思考を音楽に捧げて他のことをある種放棄していることと同義なのではないか、と何の根拠もなく100%主観でお送りしてこの文章を閉じる次第である。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ