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始まりの竜  作者: 朱漓 翼
四部 朱華と華朱編
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双狼の襲撃2

 積極的に攻撃してこなかった為、彼女が防ぎに来るということを失念していた。相棒となる李黄は、雷耐性が強いと、忘れてはいけなかった。


「李蒼を傷つける奴らは、みんな許さない」


 ふわりと髪を撫でる風が吹いたかと思えば、辺り一体に炎が巻き上がる。


 今の雷で、彼女のスイッチが入ってしまったようだ。戦闘態勢になった李黄が、李蒼より少し劣る速さで、李蒼以上の力を見せつけてくる。


「李蒼、李黄……」


「口出しするか?」


 敵意を剥き出しの李黄に、飛狛は首を振った。手出しはしない。ただ、気になっただけ。


「主の命なら、朱華を殺すことに荷担するのか? お前達は朱華の気持ちを理解できるんじゃないか?」


 それがどうしても気になった。


 飛狛はこの中で誰よりも知っている。李蒼と李黄がどのような経緯で造られ、どのような扱いを受けていたのか。


 だからこそ、朱華のことを理解できるはずだと。


「なら、お前達に仕えるのに聞いてみろ。我らと変わらないだろ」


 李蒼の言葉に、ハッとしたような表情を浮かべる。説得はできない。


 説得するつもりが、納得させられてしまったと気付き、飛狛は険しい表情を浮かべる。


 この二人を止めるには、力付くでやるしかない。もしくは華朱を止めるのだ。


「我らは、我らの意思で主殿に従っている。間違っていようが我らには関係ない!」


 一瞬で詰められた間合い。力強く打ち付けられた李蒼の拳が、容赦なく陽霜を吹き飛ばす。


「くっ…」


 なんとか叩きつけられるのを回避し、反撃しようとすればすでに目の前にいる。体制を崩したところに李蒼の蹴りが放たれる。


「やらせるかぁ!」


 蒼翔の放った矢が雷を帯びて襲いかかる。弱点なら集中的に攻めてやるつもりだった。微かにでも効くのであれば、使うべきだと思ったのだ。


 しかし、赤い瞳が金色に変化し弾いてしまう。次の瞬間、水の渦が周囲を氷へと閉ざす。


 水と氷が荒れ狂い、視界が奪われる。


「蒼翔!」


「えっ…虚空!」


 呼ばれる声で前を見れば、金色の炎が向かってくるところ。李蒼に意識が偏っていて、李黄を気にしていなかったのだ。


 庇うように身体を抱き抱えられ蒼翔は、直撃を免れた。


「くっ…うっ……」


 代わりに蒼翔を抱き抱えた虚空が直撃を受け、左肩から背中を焼かれる。


 金色に輝く瞳で李黄が冷ややかに見下ろす。邪魔をする限り、二人は徹底抗戦するつもりだ。主が望むままに。


「黒耀お兄ちゃん、隙を作ります。先へ行ってください」


「柏羅?」


「主を止めるしかないと思います。一瞬ならみんなでやれば隙を作れます」


 彼女達は主が命じない限り、決して攻撃をやめないだろう。だからこそ、先へ進む必要がある。


 こちらに残る戦力を考えれば、送り出せるのは一人。


 陽霜と星霜は二人で一緒という考えがあり、虚空はあの怪我では行けない。それに、耳の問題もある。


 援護しかできない瑚蝶、蒼翔、莱緋は問題外だ。行くなら柏羅か黒耀しかない。


「行きたそうにしていますね。なにかあるんじゃないですか」


 柏羅は気付いていた。彼が目の前の戦いより、その奥を気にしていることに。


「……あぁ。助かる」


 不謹慎にも笑みを交わし、二人はすぐさま引き締めた。


 事前に話はしていたのだろう。柏羅が双子へ目配せすると、了承の意を伝えるよう頷く二人。


 瑚蝶、莱緋も同じように頷くと、準備は完了だ。怪我をした虚空には下がってもらうのが一番。


 動くとしても、彼なら察してくれるだろう。なんの問題もない。


 陽霜が李黄へ、星霜が李蒼へ同時に斬りかかる。一秒の狂いもない攻撃に、どちらも援護へ行くことはできない。


 それは問題もなく、どちらもが相手を蹴り飛ばした瞬間、瑚蝶と莱緋の魔法が放たれる。


 視界を奪うほどの強い光が柏羅によって放たれた瞬間、黒耀は動いていた。


「……っ」


(さすがだ)


 二人の隙をついても咄嗟的に攻撃をしてきたのを見て、戦闘能力の高さを知る。この魔道生物は、敵としては非常に厄介だ。


 けれど、それぐらいで動きは止まったりしない。仲間が作ってくれた大切なチャンス。


 無駄にするわけにはいかないと黒耀は突き抜けた。


 通り抜けた黒耀を追おうとすれば、頭上高く跳び上がり柏羅が背後に回る。


「お前らの相手は、俺らだよ」


 刀を構え星霜が油断なく李蒼を見れば、応えるように戦闘体制。


「あなたは、僕だよ。ここからが……本番だ!」


 目付きも雰囲気も変わり陽霜が斬りかかる。戦い方も変わった相手に、李黄が唸り声を上げた。


「ふっ、狼は狼らしくしてな!」


 地面を蹴ると同時に、先手を打たれないよう李黄が動く。素早さではやはり李黄が上だ。そこで勝負をしても意味がない。


(速さでは、絶対に勝てない。狼は耳もよければ、鼻も利く。こちらは殺すわけにもいかない、か)


 色々な条件が重なり、自分の置かれている状態が不利なのは理解している。それでもこの二人を相手にするには、自分と星霜が適任だと思う。


 一騎打ちに持ち込めば、少なくともここで足止めぐらいはできるだろう。


(弱点は風……。けど、効くのか)


 李蒼が効かないなら、李黄も効かないと考えるのが普通。そして、李黄の方が使える力も多く、強い。


 陽霜にしては珍しく、不機嫌そうに舌打ちした。






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