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始まりの竜  作者: 朱漓 翼
三部 神具編
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始祖竜の力2

 柏羅のサポートから手合わせの相手まで、ほとんどを黒耀がやっていた。だからこそ二人の間にできた絆がある。


 合図も視線を合わせるだけで十分。いつのまにこれだけ成長したのか。


 みんなが見守るなか、二人が同時に攻撃を仕掛けた。


黒竜聖牙破(こくりゅうせいがは)!」


王竜煉獄(おうりゅうれんごく)!」


 黒い気をまとう黒耀と、赤い荒々しい気をまとう柏羅が同じタイミングで攻撃をする。


 白麟の左手がなにかを描くように動き、次の瞬間、光の槍が大量に降り注いだ。


「キャッ」


 触れる直前に光の槍が邪魔をし、二人を阻む。光の槍はそれだけではなく、背後にいた仲間達へも襲いかかっていく。


 広範囲の攻撃を平然とやる力は、さすがと言うべきなのかもしれない。


「結界で防げない。この力、なんなんだ?」


 虚空が答えを求めるよう黒耀を見る。


「……天使…いや、だが」


 あり得るのか、と彼は小さく呟いた。


 剣技はなんとか受け止めていたが、魔法が防げない。見かねたように星霜が戦闘に加わる。


 四人がかりで攻め立てるが、白麟は想像を裏切るほどの強さを見せた。


 魔法はそこまで使わないが、とにかく剣技が強い。魔技が強いわけでもなく、力押しで弾いていくのだ。


「星霜!」


 体制を崩したところ、光の渦が襲いかかる。陽霜が慌てたように結界を張るがすり抜けてしまう。


「星霜様!」


 直撃を覚悟した星霜の視界に、ここにはいないはずの銀色の髪が。


「莱緋!?」


 里へ置いてきたはずの少女がなぜかいる。それも気になったが、もっと驚くことが起きた。


 光り輝く魔法陣が描かれ、光の渦がすべて受け止められてしまったのだ。


 そのまま金色に輝きだす魔法陣は、凄まじい力を放出する。一撃で白麟を吹き飛ばしたほどの。


「今だ!」


 ふらっと後ろへ倒れた少女を受け止め、星霜が怒鳴る。


 莱緋のお陰で白麟は体制を崩した。狙うのはこのタイミングしかない。立て直されたら、また隙を作るところから始めなければいけないのだ。


魔竜破傲陣(まりゅうはごうじん)!」


 言われるまでもないと言うように、虚空が動く。魔刻山では倒すために使ったが、今回は束縛のために放つ。


黒鳳槍(こくほうそう)!」


 束縛と同時に黒耀が動き、力強く槍を突き立てた。直接魔力を送り込み、黒耀は造られた身体を壊す。


 残されたのは神竜の腕輪であった剣が一本。ここからは柏羅がやるのだと注目を浴びれば、少女の瞳は強く輝きだす。


 これで最後の神具ということは、始祖竜の力を完全に取り戻したことになる。


(柏羅が、柏羅じゃなくなるのかな)


 始祖竜としての人格は別人であった。それを考えると、柊稀は少しばかり不安だった。


 柏羅の中へすべての力が戻っていく。力と共に始祖竜としての記憶が戻る。


 遥か彼方の遠い、遠い昔の記憶。まだ仲間がたくさんいた頃の記憶。


 すべてを取り戻した少女へ、始祖竜の本能が問いかける。どうしたいのかと。


「お兄ちゃんといたい……」


 柊稀や仲間達といたい。それが柏羅の答え。ここで生きていきたいと。


 そのためにどうすればいいのか。答えはすべてが自分の中へある。


「まだ、できない……」


 この戦いが終わるまで柏羅はそれをしたくない。この先、もっと過酷になるからだ。


 やっと自分というものを取り戻した。だからわかることがある。彼女は、仲間のために動くのだと決めた。


 どこかで始祖竜の本能が笑う。それでいいと言っているのか、それとも呆れているのか。柏羅には判断できないが、受け入れられたようだ。


 光が身体の中に入り込み、別々であった柏羅と始祖竜の本能は混ざり合った。


 強い光が身体を包み、少女はさらなる成長を遂げた。身長は決して高くないが、容姿はどこからどう見ても女性のものだ。


 金色の瞳からは強い輝きを感じられたが、始祖竜ではない。柊稀には、目の前にいるのは柏羅だとハッキリと言い切れた。


「あら、可愛らしいじゃない」


「うんうん。可愛いね」


 美人というよりは可愛らしい女性になり、瑚蝶と蒼翔が笑みを浮かべながら見る。


 当の柏羅は恥ずかしくなったのか、近くにいた黒耀の後ろへ隠れてしまった。


「気になることがある」


 そんな柏羅を気にせず、黒耀が切り出す。


「行こうぜ。たぶん、答えは中にいる」


 言いたいことはわかっているというように星霜は歩き出す。同じことを彼も思っていたからだ。


「潮時、かな……」


「はい」


 陽霜の呟きに、黒耀は真剣な表情で頷いた。






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