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始まりの竜  作者: 朱漓 翼
三部 神具編
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雪精の塔3

 旅への同行を決めた蒼翔。これから邪教集団に会うことがあるだろう。


 本人達を見て、また調べてはみると彼女は言ってくれた。古代種であれば、興味もあるのだ。


「それで次の行き先だが。ユフィ、調べてもらったことどうだった?」


「あぁ、虚空に頼まれた件な」


 精霊をパシリにしやがってと言いながらも、彼は真剣な表情で報告した。


「虚空が言う通りだったぜ。竜王山は、完全に入れなくなっている。神具の関係だろうな。あそこには一番強い神具があるだろ」


 天竜王と連絡がとれない。だから見てきてくれ。そう頼まれ、ユフィは見に行ってきたのだ。


 結果、竜王山はもちろん、麓街すら入ることができないほど神具の力が溢れていたと言う。


「あれは苦労しそうだ。最後がいいぜ」


 竜王山には二つの神具が保管されている。取り戻した神具の力がなければ、あの中へ入るのは厳しいとの見立て。


 ならば、エルゼートにある神具を取りにいこうと、意見は一致。このまま西へ行けば、エルゼートとベル・ロードを繋ぐ小島がある。


 すぐにでも行けると、地図を見ながら話を進めたが、問題が発生した。


「小島へは、今行けない。島全体に結界が張られている」


「神竜の神殿はこの小島にあるのです」


 魔法槍士とフェンデの巫女のみが知る、神竜の居場所。小島となっているせいで、島丸ごと邪教集団にとられていたのだ。


「オルドへ行こう。俺の家に、テレジナへ続く道がある。そこから水の神具を取り戻しに行けばいい」


 テレジナを指差し、経路を示すよう水の神具までの道のりを示す。さらに指を戻し、そこから次へ。


「セーベル地方に二つ。風、火と進み、船でタンディール地方へ行けば地の神具」


「またテレジナからオルドへ行き、船でシェサーラへ行けばいいってわけか」


 琅悸の示す経路を見ていた虚空は、シェサーラの地図を隣へ並べて見る。


 シェサーラには、どうやってもオルドからの船しか行き方がない。世界統合前にあった、便利な次元を越える門はないのだ。


「……いや、タンディールからシェサーラに行く方法はある。ユフィ、妖精族の許可が取れれば使えるよな」


「まぁ、な。お前が頼めば使わせてくれるんじゃね? 妖精族は、地竜王の末裔には甘いからな」


 初代地竜王が妖精族を護ったこともあり、今でも末裔には恩を返そうとしている。それが妖精族だ。


 琅悸が頼めば動くことは間違いないだろうと、ユフィはハッキリと言った。


「じゃあ、琅悸の判断に任せます」


 妖精族に頼むか、頼まないか。仮に頼まなくても、シェサーラへ行く方法はあるのだから。


「……わかった」


「よし! 決まったなら休もうぜ。俺疲れちまった! うっ……」


 なにもしてないだろ、という冷ややかな視線を浴びせられ、ユフィは言葉に詰まる。


 ここまで冷ややかに見られるとは、さすがに思っていなかった。


 固まるユフィを置いて、部屋から出ていく一同。


「シクシク。俺、泣いちゃう」


――まったく、あなたは変わりませんね――


「あったりまえ! 俺は何百年経とうが変わらないぜ!」


 琅悸がいれば、自慢げに言うなと突っ込んだかもしれない。


 だが、今ここにユフィを突っ込む者は誰もいない。


――いざとなれば、動くつもりですか?――


「そのつもりだ。俺も、なんもせずってわけにゃあいかねぇさ」


――そうです、か――


「動くまでは言うなよ。俺のこと」


――わかっています――


 動かずに済むのが一番だ。ユフィは空を見ながら呟いた。


 自分が動かず、彼らが自力で自分達の世界を救う。それがユフィの願いである。


 知っているからこそ、黒欧も同じことを願っていた。すべてがいい方へと進むことを――――。






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