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始まりの竜  作者: 朱漓 翼
五部 氷鬼なる琅悸編
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ひとときの休息4

 時間は少しばかり遡り、女性陣が騒ぎ出す前のこと。過去から来た三人が温泉に浸かっていた。


「よくやるよねぇ」


「そうか? あれやってると、気分が紛れるんだ」


 さすがに疲れたと湯の中でくつろぐ姿に、二人は笑う。あれだけやっていれば、そうだろうと思っていた。


 秋星の趣味はブレスレットを作ること。そんな意外過ぎる趣味だから、一部の者しか知らない。


 いつから始めたのだろうか。秋星ですら覚えていないことだ。


「こっちに来て、何個作ったんですか?」


「んー、わかんねぇ。あとで数えてみっか」


 考え事をするときにも作業をするため、仕事の合間に作ることも珍しくない。未来に来て以来、度々作っていたことも二人はわかっている。


 なにか考え事をしているようだったが、秋星は基本的に一人で解決するので、踏み込まなかったのだ。


「そういえば、気になってるんだけど」


「あれだろ。白秋さんに頼まれて作ったもんだな」


 まさか召喚具にされるとは、彼は知らなかった。ただ頼まれた通りに作った物。


 華朱が持つ物は、秋星の細工だと二人は気付いていた。ブレスレット以外を作ることは、ほとんどといってない。


 そのため見逃しそうになったが、二人だから気付いたのだろう。


 時折、頼まれて他のアクセサリーを作る。その例外が、華朱の身に着けていた召喚具。


「あの技術はすげぇよな」


「父さん、確かに魔法の腕はいいけどさぁ」


「性格が難ありですよね」


 呆れたように夜秋がため息をつけば、飛狛も苦笑いを浮かべる。その通りだと思うのだが、それを夜秋には言われたくない気もする。


 あの父親を理解するのに、かなりの時間を必要とした。ようやく理解してみれば、とてつもないほどの曲者。


「なにをあんなに調べてんだろな。あの人、もう身体は問題ねぇんだろ」


「うん。自分の魔力とかは、もう平気みたいだった。でも、なんか調べてるんだよね」


 なにを調べているのかは、息子の飛狛でもわからない。妹ですら知らないと、彼はよく知っていた。


「気にしても仕方ないですよ。問題があるなら、説明してくれますよ。ないのだから、個人的なことなのでしょう」


 それもそうだと、三人は笑いながら出ようとした。そこへ柊稀達が入ってきたものだから、三人は苦笑いを浮かべつつ残る。


「誘ってくれればいいのに」


 柊稀が言えば、同意するように頷く黒燿。まさか三人が先に入っているとは思っていなかったのだ。


「みんな遊んでた……おもちゃを見つけたみたいだね」


 隣の会話が聞こえてくるなり、楽しげに笑って動き出した双子に、三人ともがなんとも言えない表情を浮かべる。


 頑張れと心の中でエールを送ったことだろう。


 そしておもちゃを見つけた秋星は、虚空の傍へ行っていた。


「虚空、揉んでやったら?」


 隣で小さく呟くのは、完全に楽しいおもちゃを得たと笑っている。


「大きくなりたいらしいしな」


 同じように、楽しげに笑うのが星霜。ニヤニヤと笑う二人に言葉が出ない。嫌なのに捕まったと思っているのだ。


「同じタイプだったのか」


 二人を見てため息をつくのが黒耀で、苦笑いを浮かべるのが柊稀。


 さすがに相棒は混ざらないだろう、という虚空の考えは甘く。


「相手が望むわけですし、やって差し上げたら喜ばれるかもしれませんね」


「夜秋殿……」


 すまし顔で完全に乗ってきた姿を見て、虚空の表情は引きつる。彼は来ないと思っていたのだ。


「アハハ! 夜秋はこの手の話、好きだぜ」


 絶句する虚空に、ニヤリと笑ってみせる秋星。陽霜はさすがに混ざらなかったが、嫌な三人に捕まったと気付く。


 この場にユフィがいなかったことは、彼にとって救いであっただろう。いれば間違いなく混ざっていた。






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