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始まりの竜  作者: 朱漓 翼
五部 氷鬼なる琅悸編
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思い出の歌2

 互いに本気になった。剣と槍が重なれば、空気を震わすほどの衝撃が放たれる。


 精霊眼の力が周囲の魔力を掻き乱す。乱れた魔力は琅悸の剣に裂かれ、彼には被害がいかない。


 普通の魔力は琅悸に届かないため、飛狛は精霊眼を使っての攻撃が主流。負荷はそれなりにかかっているはずだと、黒耀や華朱は思う。


 二人とも精霊眼を使うからこそ、わかることもあるのだ。


「あれ、大丈夫なの?」


 気になって問いかければ、飛狛をよく知る双子はなんともないと頷く。


「今のお前らがどのような感じかしらねぇけどよ、飛狛にはあれが当たり前だ」


「当たり前って……」


 そのようなことがあるのかと華朱は驚く。精霊眼はそれなりの魔力と、身体への負荷がかかる。こちらが自分にとっての当たり前なだけに、違いを痛感させられた。


「んー、使い慣れているだけの可能性もありますけどね。飛狛は、ちょうど世界統合の辺りから姉さんと動いていて、精霊眼を使っていますから」


「そういや、そうだったな」


 調査に使っていたと夜秋に言われれば、秋星もそっちの方があり得るかと頷く。


 華朱は、とりあえず大丈夫らしいと納得することにする。これ以上は理解できない気がしたのだ。


「強いとは思っていたが、ここまでやるか」


 それはどちらに対しての言葉だったのか。おそらく両方なのだろうと華朱は思う。悔しいと黒燿が思っているのにも気付いている。


 当然だ。彼は黒竜族最強と言われている魔法槍士なのだから。自分の力量が敵わないとわかれば、さすがに悔しくもなる。


 二人の戦いは次元が違う。さすがに夜秋と秋星も表情が引き締まる。


 飛狛は二人にとって自慢の魔法槍士。信じてはいるが、それでもかわいい甥。心配になってしまうのは仕方ない。


 実力が拮抗すれば、殺す気でいる琅悸と、殺さずにと考える飛狛では多少の力量差がでてくるはず。二人が一番気にするのは、それがどう出るのかだ。


 いざとなれば、もちろんどちらも動ける。動くつもりでいた。


 だからこそ、二人は一瞬たりとも逃すことなく見ている。目の前で繰り広げられる戦いを。


 激しい戦闘は、周囲の地形を変えるのではないか。そう思わせるほど二人の力がぶつかり合う。


「飛狛さんの力って、属性を変える?」


 戦いを見ながら柊稀は気付く。氷は炎で溶かされたのではない。属性が変換されたのだと。


 自分の得意とする属性にしているのか、真逆にしているのか。そこまではわからなかったが、変換されているということには気付いた。


「そうですよ。飛狛は属性転換。妹は見たものを真似る力があります。精霊眼のおかげでしょうが」


「あー、嫌だ嫌だ。大会ではいっつもそれでやられる」


「ですね。僕も嫌ですよ」


 自分に置き換えて考えれば、確かにと誰もが納得する。平然と苦手な属性に変換し、跳ね返されれば嫌にもなるというもの。


「おっと……ユフィ、結界頼む」


「おぅ」


 やばいと秋星が結界を頼んだ瞬間、槍が強く輝き出す。


霧幻鏡波(むげんきょうは)!」


 周囲を包む霧。キラキラと輝き、光を反射している。まるで鏡だと柊稀は思う。


「げっ、あいつ本気じゃねぇか!」


「はい。本気ですね」


 低姿勢で槍を構えた姿を見て、ユフィがやばいと慌てたが、双子は動じることはない。


 むしろ、それがどうかしましたか、と言いたげな夜秋に表情が引きつったほどだ。


「ヘマはしねぇよ」


 秋星が言えば、夜秋も頷く。殺さないでやると決めている以上、やりすぎるような真似はしない。


「飛狛、だもんな……」


 黒い気が渦を巻くように集まり、槍は強い輝きを放つ。集められた力を見ながら、確かに威力は下げられているとユフィも気付く。


闇精牙狼破(あんせいがろうは)!」


 獣が狩りをするように、低姿勢からの猛ダッシュ。気は黒い獣を見ているような錯覚を起こさせる。


緑槍乱舞(りょくそうらんぶ)!」


 霧により、囲むように現れた幻惑。当たればやばいが、すべてを打ち消すには本体を狙えばいい。


 霧は鏡の性質を持っており、反射を利用した攻撃なのだとわかれば、対策は簡単だ。


「ちっ…」


(勢いがありすぎて、防げないか)


 無数の槍を生み出す魔技ならば威力の軽減ができるかと思ったが、琅悸が予測していた以上の力。役に立たなかった魔技に思わず舌打ちすると、すぐさま次を考える。


 ならばこうしようと、琅悸の剣は再び輝く。避けるのが厳しいなら、避けるのはやめた。


 代わりに、直撃と同時に攻撃をする。その瞬間なら避けることは不可で確実に当たるはずだと。


 当然ながら、自分へのリスクも承知の上。このようなやり方をすれば、琅悸自身もただでは済まない。






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