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第1話 プロローグ
「ああ……頼む。もう少しだけで良いから、私に命をくれないか」
年老いた男が必死にそう願うも、彼の身体からは生気がゆっくりと抜け落ちていく。目の前には煌びやかに光る黄金の扉。その扉に手をかけたモノの、老人の力ではビクともしなかった。
「まだ、まだ私には知らないモノがあるのだ……この先に、追い求めていた真理があるかもしれないというのに」
世界の全てを知るために、その最奥を求め彷徨った人生が終わりを迎える。
「諦めぬぞ……私は必ず……世界の全てを知って見せる」
老人の口から最後の言葉が紡がれた後、彼の心臓は脈打つことを止めた。
今日は3話更新です