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元剣聖のスケルトンが追放された最弱美少女テイマーのテイムモンスターになって成り上がる  作者: ゆる弥


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61.説得

 決闘が終わってすぐ、トウカお嬢様の両親に話を聞くべく屋敷の中にいた。


『こちらへどうぞ』


 爺やに案内された俺達は客間のような所に通され、ソファーに腰掛けていた。


「どんな人なんだろうね?」


『どんな人って、骨とゾンビだろ?』


 そもそも人族じゃないから話が通じるのかどうかも分からない。

 話してみないとどんな人達かも分からないしな。


 ───コンコンッ


『失礼致します。この度はトウカがご迷惑をお掛けしたようで、申し訳ありませんでした。私はハッコツ家当主のホワイトです』


『妻のシロンです。この度は誠に申し訳ありませんでした』


 深々と謝られてしまった。

 両親が共に九十度のお辞儀をしながら入ってくる。


「そんなことないです! 私も楽しかったですから!」


 ミリアは迷惑をかけられたなんて思っていない。

 純粋に勝負を楽しんだのだから。


『ありがとうございます。何かお話があるとか』


 話をゆっくり聞いてくれるようで二人とも向かいのソファーに腰を落とした。


「実は、今回の事態になったのは───」


 今までの経緯を両親に説明した。

 街でトウカお嬢様が暴漢に襲われ、そこを救ったこと。

 ナイルに惚れたようで結婚を迫られたこと。

 トウカお嬢様はリビングアーマー族との婚約が嫌だということ。


『ふぅぅぅ。そうですか。まさかそこまで嫌がっていたなんて。どうしたものか』


「婚約破棄はできないんですか?」


『トウカの代はリビングアーマー族と結ばれる事になっているんです。実は───』


 ホワイトさんの口から語られたのはこの国ならではの文化であった。

 魔族は強さを求める種族であって、色んな種族と結ばれる事で全体的な能力が底上げされると言われているそうだ。


 確かに何かに特化した種族同士が結ばれれば、苦手な部分を補って生まれてきた子は高い水準の能力になるのかもしれない。


 そういった風習があるから、リビングアーマー族の方ももうトウカお嬢様と結ばれるつもりで準備しているんだとか。

 つまり、好みとかそんな事は二の次で、能力を向上させるための結婚という儀式だということだ。


「それって意味ありますか?」


『意味……ですか?』


 俺も疑問に思っていた。

 魔族が他の種族と結ばれて能力値を底上げするのは良いだろう。

 しかし、反面として自分たちの高い部分の能力は平均値の方に引っ張られて下がってしまうのではないだろうか。


 それは自分に合ってない能力が向上し、合っている能力が下がってしまうという悪循環な気がするがそこは気にしないのか。


 ホワイトさんはミリアの言葉を意図を図れずに固まってしまっている。

 どういう意味かを思考しているんだろう。

 俺が口を挟むことにした。


『つまり、今のしきたりは長所を消すことになりませんか?』


『あぁっ! よくお分かりで。それはその通りなんでございます。なので、あまりしきたりに従いたくないんです。でも、そういう風潮であるこの国で伯爵の地位の私がそれを無視するのは難しいのです』


『なるほど。それを覆すことが出来る可能性ってないんですか?』


 少しの間、沈黙が部屋を支配する。


『そうですねぇ。うーん。魔族は強さがあればある程度は融通が利きます。実は来週、武闘大会が開かれることになっているんです。そこで、リビングアーマー族を打ち倒すことが出来れば、それを理由に断ることができるかもしれません』


 なるほど。リビングアーマーの強さに疑いを持ったからそんな状態では婚約してられないと破棄すればいいわけだ。

 でも、それだとトウカお嬢様のお相手も同時に探さないと、また違う種族に言い寄られたら意味が無いんじゃ。


「それはいい案ですね! 出ますよ!」


 元気に出場を表明したのはミリアだ。


『それが、魔族部門と獣人族部門になってまして。リビングアーマー族なので、魔族部門なんですよ。人族は獣人族部門だから部門が違うんですよ』


「ナイルも出るから大丈夫です! ねっ!?」


『本当ですか!? スケルトン族の方が出てくれるなら話が早い!』


 手を鳴らして喜んでいるホワイトさん。

 シロンさんもニコリと笑っている。

 ゾンビは一応肉があるから表情が分かっていいな。


 ゾンビと言っても、見た目は顔色が悪いだけでほぼ人族と変わらないからな。

 中身は魔石で運用されているから魔族なのは確かなんだけど。


『出場はします。でも、勝ったあとのトウカお嬢様の婚約者はどうするんです? 募集する訳にもいかないでしょうし』


『それなんですが、実はトウカに結婚させたいと思っていたスケルトン族がいるんです』


『それなら、最初からその方にすればいいのでは?』


 少し下を俯いて頭をポリポリとかいてこう言った。


『断る方法が見つからなかったんです。私は戦闘は不得意です。だから、ミリアさんとナイルさんが来るまで武闘大会の事を忘れていたくらいでした。でも、希望が持てた。有難う御座います』


「トウカさんの気持ちが私達を動かしました。どうか幸せに結婚して欲しい。そう思い、今日は直談判に来たんです」


 空気が柔らかく暖かくなった。

 柔らかくしたのはホワイトさんとシロンさんである。


『有難う御座います。あたし達の事で申し訳ないのですが、武闘大会よろしくお願いします』


「はいっ! まっかせて下さい!」


 胸を張って叩く。

 なんとか説得できたようでよかった。

 

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