18.野営とスキル取得
空が薄暗くなってきた頃。
街道を少し外れたところで視界を遮れる草むらのあるところを探す。
「あそこがいいんじゃない?」
草が生い茂っているゾーンがあった。
視界を遮れる場所だ。
火を起こしたあとがある。
ここならいいかもな。
「よーっしっ! 薪になる枝を探そう」
待て待て。一人で行くな。
「あっ。ごめーん!」
なんか……このやり取りいい。
「ん?」
いや、なんでもない。行こう。
「うん!」
枝をその辺から集めてきて石も探してきた。
石でコンロを作り出して枝をピラミッド型に積み上げる。
火をどうつけるかだが、それは魔法が出来れば一番いいんだが。そうもいかない。魔道具のライターに近いものを使ってつける。
魔法陣が描いてあり魔力を流す事で炎が出てくるのだ。便利なんだよなぁ。
パチパチと枝が音を鳴らしながら俺たちを照らしてくれている。ほのかに温かく、ユラユラ揺れる様は俺達の心を癒してくれる。
ボーッとしばらく眺めていると、ハッと気付いた。飯作んないと。
買ってきていたフライパンを作ったコンロの上に乗せる。
熱がフライパンにつたわり、すぐに熱くなった。肉を投入する。ジュージューと香ばしい香りを漂わせながら美味しそうなキツネ色になっていく。
「わぁ。いい匂い!」
調味料もなかったのだが、今回は金があったから買ってきたのだ。塩をかける。それだけでどれほど美味しいことか。
はい。どうぞ。
フライパンから皿に肉をのせる。
ミリアの口からはジュルリと言う音が聞こえる。
行儀が悪いよ? ミリア?
「エヘヘッ。ごめーん!」
まぁ。許すけど。
ミリアは肉にかぶりついた。
買ってきた肉だからホーンラビットの肉かな?
引き締まってて美味しいらしい。
美味しそうだなぁとは思うのだが、不思議なことに食べたいとは思わない。それがスケルトンとしての体のせいなのかもしれない。
ミリアが肉を食べ終わるとスキルの取得作業をしようという話になった。
「ナイルは何系のスキルがいいの?」
やっぱり体を強化させたいかな。
「んー。でも、【頑強】と【硬化】はとってるしゃん?」
そう言いながらスキルボードを操作する。
「あぁー。でも、もう一段階上のスキルならあるかも! えーっとねぇ、【身体増強】【孤軍奮闘】【四面楚歌】【下克上】かな!」
身体増強がなんか霞むな。
体がないからどう作用するかわからないから、それはちょっとやめようかな。
その他のやつの説明はあるか?
「うん。【孤軍奮闘】は、敵が多いほどステータスが上昇するみたい。次の【四面楚歌】は、後ろに味方を抱えた状態で敵を前にした時、大幅にステータスが上昇するんだって。最後の【下克上】は、レベルが20以上上の敵を前にした時に大幅にステータスが上昇するんだって。以上!」
ありがとう。なるほどな。
悩むところだなぁ。
敵が多い時は上がった方がいいけど、いつもミリアを守って戦うことを思うとなぁ。
強い敵の時にステータスが上がるっていうのも捨て難い。例えば、ドラゴンと退治したような場合だと、ステータスが上昇して倒せる可能性が出てくるってことだもんなぁ。
「私が足でまといになっちゃってるからねぇ。なんかごめんね?」
前にハッキリそう言ってしまったから気にしてたのか?
そうだったら、すまん。
今は、俺が守りたいんだ。
謝ることないさ。
「【四面楚歌】なら、私が居ることでステータスが上昇するんだよね? なんか、それは私も役に立ってるのかなぁって思える気がするんだけど……でも、私のワガママだから……」
それもそうだな。
足でまといだって気になるくらいなら役に立ってると思えてる方が居やすいか。
じゃあ、【四面楚歌】にしようか。
「うん! 獲得したよ! これで、私を守ることでステータスが上昇します! おめでとー!」
はははっ。
おめでとうなのか?
まぁ、良いけどさ。
「ふふふっ。でも、テイマーってみんなこうなのかな? 守ってもらう見たいな……」
あぁ。俺も会ったことがないからなぁ。
ミリアもスキル獲得できるのか?
「うん。できるよ? でも、何とっていいかわからないからずっと放っておいたんだ」
そうなのか?
それは勿体無いな。
例えばだけど、隠密見たいな気配を薄めるスキルとか取れば攻撃対象にならないんじゃないか?
「あー確かに。見てみよう」
スキルボードを操作しているのを横で眺める。
「【気配遮断】がある!」
それとれるか?
「とれる! ポイント余ってるからね」
それなら、それとミリアも体を強化するスキルとったらどうだ?
「そうだね! 私も【頑強】をとろう! へへへっ。お揃いだね?」
横からこちらに笑顔を向ける顔を炎が照らし、ほのかに赤くなっている。照れているように見える顔が余りにも可愛くて……見惚れてしまった。
「なぁに? そんなにジッと見てぇ?」
あぁ。いや、すまん。
ちょっと考え事をしてた。
「ふぅーん? さては、見惚れてたなぁ?」
はぁ。なんて幸せな時間なんだろうか。
この時間がこのまま続けばいいのに。
初めてそんな事を思ったのであった。




