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フットボールのギフト ~底辺Jリーガーの俺がフットボールの神様からもらったご褒美とは~  作者: 相沢孝
第十一章 飛躍のリバプール2年目編

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カタールW杯アジア最終予選 Ⅱ その5

 その後も、伊藤さんは水を得た魚の様にオマーンの左サイドを蹂躙する。


 これこそが森ジャパンの真骨頂なのだ。


 通常のサッカー強豪国なら快速ウインガーの一人や二人いるのは当たり前だが、今現在、左右にこのレベルのウインガーを揃えている国を俺は知らない。


 伊藤さんを抑えれば、三苫君が左サイドを抉り、三苫君を抑えれば、伊藤さんが右サイドを抉る。だったら、左右に快速DFを付ければいいじゃないかと思うが、そんな調子のいい話はどこにもない。


 そもそも、このレベルの走力を持ったDFが一人いただけでもめっけものなのだ。


 森ジャパンは今、三苫郁というラストピースを遂に手に入れた。ジャジャジャジャーン!!


 どうする一英、のんびりベンチでポカリ飲んでる場合じゃねーぞ。(ちなみにカズは今日もベンチです。ププッ)


 だが、オマーンのDFが耐えきっているのか、それとも日本が決定力不足で決め切れないのか、あともう一歩のところで得点につながらないSAMURAI BLUE。


 なんだか、二カ月前の試合を思い出してきちゃったぞ。ヤな感じ……


 するとそうこうしているうちに、17番のアルプサディーが俺達のサイドに戻って来た。……ッチ。


 さすがに日本も攻撃のタイミングがあってきたので、そろそろ点が入りそうだと思っていたが……やはり、あちらの監督さんは試合の流れを読むのが相当達者らしい。


 ならばと、今度は三苫君のいる左サイドが活性化する。


 ボールを持った司が三苫君、田中君のトライアングルでオマーンの選手達を躱すとあっと言う間にアタッキングサードに侵入する。


 オマーンはもう、前線からのプレッシングは諦めて、日本にボールが渡ると即時撤退してゴール前にブロックを敷く。ここら辺も相当仕込まれている。十分アジアの強豪国だ。


 司はそこから正確無比なクロスをゴール前に供給するも、身長に勝るオマーンDFが何とかクリアー。


 なるほど、ゴール前に鍵を掛ければそう簡単には点は取られないという自信があるのか。


 押してもダメなら引いてもダメ、右がダメなら左もダメ。


 後半に入ってから圧倒的にゲームを支配し続けているのに、不思議なくらいに点が入らない。


 ふと、選手の誰もが2カ月前の嫌な記憶を思い起こしそうになった後半の30分、森監督がさらに交代のカードを切る。見るとそこには背番号11番を付けた古畑さんが……


 『世界のKIYOGO』キター!!


 南君お疲れ。


 そうして南君の替わりにトップ下に入った古畑さんがオマーンの最終ラインをひっちゃかめっちゃかに引っ掻き回す。 


 すると投入された直後の後半77分、DFラインにいた司から前線へのフィードが放たれると、オマーンDFラインを突破しPA内に侵入した古畑さんが神トラップ発動。


 うわっ、なんなんすか、そのトラップ。


 自分の真後ろから飛んで来た40mオーバーのロングパスをつま先でビタ止め。


 いや、司のパス精度のおかげってのもあるけど……って、あっ、そうかー、古畑さんも背中に目が付いてる人種なんすね。時たまいるんですよねー、そういう人種。翔太とか一英とか大高さんとか……俺もそういう人になりたかった。(遠い目)


 しかし神トラップを発動するも、すぐさまガタイのデカイオマーンDFに囲まれてフィニッシュまで持ち込めず。うーん、残念KIYOGO。


 その後もオマーンのゴール前でゲームが進行すると、後半の35分、オマーンがゴール前で苦し紛れのクリアをすると、それを司が出足の素早いプレスで掻っ攫いPA横で待ち構えていた三苫君にパス。


 すると三苫君はトラップ一発で相手の体の前に出ると、スライディングをしながらゴール前にクロスを入れた。


 そこにやって来たのは『日本の稲妻』こと、伊藤の純也さん。


 ずーっと目の上のタンコブだったオマーンの17番が、三苫君に引っ張られるように左サイドに引き寄せられた瞬間、死角の大外から突っ込んで来た。


 伊藤さんはガラ空きとなったゴールにそのままボールを押し込む。


 2022 FIFAワールドカップ・アジア3次予選グループB 第六節 オマーン vs 日本の試合は後半の36分、伊藤純弥のゴールで0-1となる。(アシストは三苫君)



 みんなは得点を決めた伊藤さんの周りに集まりもみくちゃにするなか、俺はアシストを決めた三苫君のもとに行く。


「ナイスアシスト三苫君」


「ありがとう神児君」



 --------------------⚽⚽⚽-------------------- 


 

 試合は0-1のまま後半のアディショナルタイムに入ると、森監督は最後のカードを切る。


 交代ボードを見ると『15番OUT 25番IN』『14番 OUT 17番IN』


 大高さんが下がって拓郎の投入。なるほど!!


 そして……伊藤さんがお役御免で代りに入るのがカズー!?!?


 拓郎が指を3本にしながらピッチにやって来る。


 どうやら、スリーバックに変更らしい。


 すると、その後ろから、遅れてきた主役登場と言った感じで意気揚々とピッチにやって来たカズ。


 そして開口一番、「俺がダメ押し点決めるから、ボールが来たらとにかくよこせよ神児」と……


「……ヤだよ」と即座に返答する俺。


「はぁー!?」


「ったりめーだろ、残り三分、守りきりゃそれで勝ちなんだからリスクなんか背負いたかねーわ」


「こっちにだって、こっちの都合ってもんがあるんだよ!!」と明らかに伊藤さんに水を開けられその焦りが伝わって来るカズ。知るかっ!!


 そりゃー11月シリーズ、日本が取った2得点とも同じポジションの伊藤さんが上げたんだもんなー。お察しします。


 すると能面の顔のようになった司がやって来て「カズ、お前、森監督から何やるか言われてるんだろ」と。


「……ういっす」と途端に借りてきた猫のようになるカズ。


「まあ、いいや、神児、ボールが入ったらとりあえずカズに渡しとけ。あっ、それから間違っても上がろうとするんじゃねーぞ」と。


「……ういっす」と借りてきた猫のようになる俺。


 そんな感じで試合再開。時計を見ると後半の46分。


 キーパーの権田原さんから来たボールを受け取るとなんだかなーと言った感じで右サイドに張っているカズに渡す。


 すると、ここ二試合、これまで出番の無かったカズは待ってましたとばかりに得意の小刻みなステップからドリブルでゴリゴリ右サイドを抉り始めた。


 伊藤さんとは真逆のタイプのウインガーに目を白黒させるオマーン左SBのアルプサディー。


 ボールを取りに行こうとするもなかなか突っ込めず、ズルズルと後退するのみ。


 ほほー、なるほどーね〜。コイツはコイツで、こういう使い方があるんだー。


 為になるな~。為になるね~。


 すると一英はゴール前に行く素振りを見せてからターンをすると、相手コーナー付近で時間稼ぎに入る。


 ふんふんふん、やるじゃんカズ。やること分かってる~。


 そうして、散々時間稼ぎをして相手ボールになるも、日本がボールを奪い返してその繰り返し。


 結局、残り3分、オマーンはまともな攻撃らしいことを全く出来ず、日本はそのままゲームを締めることに成功した。


 んっ、よくやったぞ、一英、くるしゅうない。アッパレ!!


 こうして、2022 FIFAワールドカップ・アジア3次予選グループB 第六節 オマーン vs 日本の試合は0-1で日本の勝利となった。


(カタールW杯アジア3次予選順位表 第六節)


 挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
久保が前線にいるだけで常にカウンターを気にしなければならないから、覚悟の特攻が出来ないと 負けたら終わりのトーナメント戦ではないから失点の1つが予選での順位に響くから余計に出来なくなるか
つまり、上司に心酔しているカズと調教された神児は同列なんだね(((*≧艸≦)ププッ
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