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フットボールのギフト ~底辺Jリーガーの俺がフットボールの神様からもらったご褒美とは~  作者: 相沢孝
第十章 激動の海外挑戦編

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グランメゾン★サムライブルー その5

 すると、俊平がでっかな銀のトレイを持って来たと思ったら、タンスの上に置いているアレクサに向かって、「アレクサ、『グランメゾン★東京』かけて」と。


 『グランメゾン★東京』をかける?


 と思う間もなく、アレクサーのAIスピーカーから、



 ♪ ジャジャジャ ジャー ジャー ジャジャン! 


   ジャージャージャー ジャー ジャジャジャン! ♪



 と、最近では上司の声よりよく聞いている例のドラマのBGMが……


「うわーっ」とそこかしこで声が上がる。


 おやおや、みなさん、お好きですね。


 そして、「本日のアミューズ(突き出し)は、みなさん、ご存じの『ジロール茸とひもとうがらしのサブレ』になるのだー」とおにぎり。


「やーん、これ、陽菜知ってる~」


 いや、ここにいる皆さん、きっとみんなご存じですよ。ドラマ見てるし……


 と例のドラマで定番の突き出しが出される。


 だが、フィンガーフードと呼ばれているだけあって、本当に一つまみで食べ終えてしまった。


 うーん、俊平、原作に忠実に作るのはいいんだけれどさ、もうちょい量の方どうにかなんなかったのかなーと思いながらドンペリをクピリ。あらやだ、おいし~。


 すると、俺の思惑を瞬時に悟ってくれたのか、おにぎりは俺の前に余った『ジロール茸とひもとうがらしのサブレ』をゴロゴロと置いてってくれた。


 これはこれでなんか扱いが雑な感じするんだよなー。(わがまま)


 ぱくぱく2,3個まとめて口に入れてようやく味がなんとなく分かった。


 ジロール茸、和名あんず茸と言われているだけあってアプリコットのような甘酸っぱい香りがほのかに立ち上り、コリコリとした食感が楽しい一品だ。


 分かりやすく言うと、カリカリに焼いたトーストの上に、杏子の香りがそこはかとするフルーティーで歯応えのあるなめ茸を生ハムでちょこっと巻いたお料理です。(ほんとか?)あー、ドンペリおいしー。


「次は山羊のミルクのババロアなのだー」と俊平。


 途端に、「わーこれこれ」と言った声があちこちで上がる。


 目の前に置かれた白磁の器の中には、山羊のミルクをゼラチンで固め、オリーブオイルと粗塩で味付けられたババロアが……


 一口食べると、山羊のミルクのちょっと癖のある味とフレッシュなオリーブオイル、そしてそこにふわっと粗塩の塩味が口の中に残る。


 うん、今から食事するぞーって覚悟が出て来る一皿だな。


 その瞬間、俺の脳裏にふわっと浮かんだアイデアを俺は必死に打つ消すことにした。


 先生、味の素が一振り欲しいです……だめだめ。


 まあ、正直、それほど、「おおお~」って感じのメニューでもない。もっとも、先付に前菜の一品目。いきなりインパクトのある食事を出されたら、メイン迄持たないというのももっともな考えだ。


 たしかに、フランス料理の展開を考えるのならばそれは間違いでは無い。


 だが、それはごもっともだけどオレの考えは違った。(しゃきーん!!)


「すいませーん、白ワインのおかわりおねがいしまーっす」


「はーい」と今日はソムリエ代りの遥。


「えーっと、ソムリエさん、今日の白ワインはなんですか?しるぶぷれ」と俺。


「とりあえず、栓が開いてるのから飲んでもらってるわ」と遥。


「ぱーどん?」


「当たり前でしょ。足の早いものから食べることになってるんだから。大方、ミッシェルさんのお店でペアリングで出されていた白ワインの残りよ。まあ、でも、そこら辺のレストランで飲む白ワインと比べたら雲泥の差だから有難く飲みなさいよね」とドバドバとシャンパングラスに注ぐ遥。


 えー、せめて、白ワイン用のワイングラスに注いで欲しいなー。と思ったところ、「洗い物アンタ自分でやるんだったら、そっちのグラスに注いであげてもいいわよ」と夫婦そろって人の心を読むのが上手なソムリエさん。


「ういまどまぜ〜る」と俺。


 すると、「それから『ソムリエ』は男性名詞、私の事、呼ぶんなら『ソムリエール』でしょ。そんなんだからフランス語の単位落とすのよ」と痛いところを突く遥さん。


 俺はドンペリの香りを僅かに湛えたシャンパングラスを片手に持ち「めるしーぼくー」とそう答えた。

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― 新着の感想 ―
これは弥生さんから大目玉(理不尽だけど)くらう案件ですね(ゴリゴリ)。 お酒が絡むと愛する神児にも鬼になると定評のある弥生さんですものね♡
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