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フットボールのギフト ~底辺Jリーガーの俺がフットボールの神様からもらったご褒美とは~  作者: 相沢孝
第八章 (再開)魂のJリーグ編(2ndシーズン)
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フットボーラー補完計画 ーThe last lesson Ⅱー その8

 そのまま、前半のアディショナルタイムをどうにかこうにかやり過ごし、俺達は地獄のような気持ちで控室に戻って来た。


 そして控室ではハセケン監督がこれまた地獄のような顔でお出迎え。


 やれやれ、どうやらミーティングが長くなっちゃいそうだな。


 そんなことを考えつつ、俺は自分のロッカーの前の椅子に座ると、‶バン!バン!バンッ!"と正面に置かれたホワイトボードにネームプレートを叩きつけるように勢いよく貼ると、そこには、『ディアル・アルベルト』と『長井謙佑』と『橋元拳人』の名前が……


「えーっとこれって……」とヘッドコーチの安田さん。


「後半開始と同時に選手交代だ」と一言。


「えっ、ちょっ、ちょっと待ってください、監督。この試合、延長線あるんですよ!!」と驚いたように安田コーチ。


「だからどうしたー!!」とハセケン監督。


 シーン……と、静寂に包まれるロッカールーム。


 そして……「もう言わなくても分かるよな」と……


 そこにいる皆は、心の中で「はい……」と静かにお返事。


「あとは、各々で話し合っておけ」とそれだけ言うと、監督は安田コーチと何やら話し合いを始めてしまった。


 俺は、心の中で、「ナンチャン、リンスさん、大林さん、おつかれちゃーん」と、前半で交代する三人に労をねぎらう。


 そして、この時点で俺と司は試合終了までピッチに立ち続けていなければならないのも確定。


 さっ、じゃあ、あとは、「なあ、司、ちょっと訳を聞こうじゃないか」と司とのマンツーマンの話し合いに入ります。チャンチャン。



「……訳ってなんだよ」と珍しく俺の目をそらしながら司。


「遥のことに決まってんだろ、デコスケ」と珍しく普段とは攻守交代している俺。


「いわなちゃ、ダメ?」と司。


「ったりめーだろ、ちゃっちゃと言えよ、時間ねーんだよ」


「はぁ……」とまるで日本海溝のような深いため息を吐く司。ため息をつきたいのはこっちだよ!!


 時計を見ると、ハーフタイムは残り10分を切っていた。




  --------------------◇◇◇--------------------




 まぁ、要約すると、アレだ。


 遥に相談せずに司が勝手に海外移籍の話を先に進めてしまったことに対して遥様が激怒ぷんぷんらしいのだ。


 えっ、お前、遥に話さず海外移籍の話決めちゃったの?


 俺ですら弥生に逐一相談したぞ?


 すると、「いやー、大体の流れが決まったら話そうと思ったら、その時には決まっちゃっててさー」と視線を合わせずしどろもどろ。


 まあ、確かに、津久谷っちと知り合ってから電光石火だったもんなー、リバプール決まったのって……


 でもさあ、そういう時程、夫婦間の会話って大切なものよ。


 そういう訳で、遥様より「最高の壮行試合にしてあげるわね、うふふ」と言われてしまった司。


 ちなみに遥のサッカーIQに関しては、前の世界でも相当達者だったが、この世界に来てからというもの、司とアホのように喧々囂々のレスバを繰り返し、今では司とどっこいどっこいと言っても過言ではないサッカーIQの持ち主となってしまった女版ジョゼ・モウリーニョ。


 ディフェンシブな戦い方をさせたら、あんた、『カッチカチやでカッチカチ、ゾクゾクするやろ!!』って感じの遥様の戦術。


 遥様はこのところご自身が所属している女子サッカー部の練習そっちのけで、最高の壮行試合をしてあげようと男子サッカー部に入り浸りだったらしい。


 それを見ていた西島監督、「だったら、一ノ瀬(遥の苗字ですよ)にも今度の試合、ベンチに入ってもらったら」と……そんな感じで、今では西島監督そっちのけでベンチの前で大声を張り上げらっしゃいます。


 ほんとにゾクゾクしてまいりました。


 さて、後半戦に参ります。

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― 新着の感想 ―
そう言えば、遥様は【愛情】の重い方でしたね(笑) これで負けたら・・・( *´艸`)
報告連絡相談の大事さを身を以て教えてくれる上司
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