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フットボールのギフト ~底辺Jリーガーの俺がフットボールの神様からもらったご褒美とは~  作者: 相沢孝
第八章 (再開)魂のJリーグ編(2ndシーズン)
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フットボーラー補完計画 ーThe last lesson Ⅱ- その3

 やられちまった……


 キックオフ直後の拓郎のオーバーラップ。


 俺達が明和にいた時から散々使っていた戦術オプションをこの場面でまんまと使われてしまったのだ。


 もっと細心の注意を払わなければいけなかった。


 『後悔先に立たず』とはよく言ったものだ。


 気がつけば、あっという間の先制点。


 スタンドはドンドンパフパフと大いに盛り上がっている。


 それにしても完璧にデザインされた明和の先制攻撃。ここのところ優斗にばっか目を奪われていたが、実は明和で最も警戒しなければならなかったのがこいつだったのだ。


 カムイ・フンペ=アイヌ語で鯱のことを『神の鯨』と呼ぶのだが、最近でのこいつの通り名が『八王子の鯱』からこれに変わってしまった。


 これは昨年の天皇杯、明和がドサンコーレ札幌と戦った時、決勝ゴールを上げた拓郎のことを、地元メディアが神の鯨カムイ・フンペと讃えたことから始まったのだが、本人もこの呼び名を甚くお気に入りで、『八王子の鯱』よりも『カムイ・フンペ』の方がカッコいいのねーとノリノリだという。……知らんけど。


 まぁ、『八王子の鯱』にしても『カムイ・フンペ』にしても、どっちにしろ厄介なことに変わりはない。


 すると……「上等だ、あんにゃろうー」と目をバッキバキにした司がやって来た。


 あれ……もしかして、私これから詰められるんですか?(ドキドキ)


 だが、「おもしれーじゃねーか、ウチと殴り合いするだなんて」と、思いのほか好戦的な司。


 あら……どうしたのかしら、試合前に何か変なもの食べたとか……いや、こいつとは同じ物食べてたもんなー。ちなみに食べたものは寮の食堂から持って来たバナナとおにぎり。


「えーっと、面白いですか?」と恐る恐る尋ねる俺。


「ホントにおもしれー訳ねーだろーが!!」と鬼の目をして司。


「……ですよね」


 そのついでに心の中で「ごめんなさい」を言う俺。


「このタイミングで拓郎を前線に出すってことはウチと殴り合いをするってことだ!!」


「……ですよね」


「だったら、こっちの望むところだ。ゴール前に拓郎が居なかったら何点だろうがすぐに取り返せる」と、おっしゃられると、のっしのっしと上司はご自分のポジションにお帰り遊ばせました。ふーやれやれ。


 俺はとりあえず「詰められなくてよかった~」と一安心。


 すると司、いきなり踵を返して「二度目はねーぞ神児、分かってるよな!!」と。


「……はい」


 さっき、優斗と対峙した時以上の冷や汗が流れて来た。おー怖っ……だが、拓郎が頻繁にゴール前から前線に出て来るのなら、こっちにもやりようってものがある。


 拓郎無しでも、大学サッカーでなら十分な高さを持っている明和のDF陣だが、J1のレベルと比べると明らかに高さが足りて無い。


 昔からの友達に対してこういう事ははあまり言いたくないが、武ちゃんも、順平も大輔も180あるかないか……正直、拓郎のいないDFラインならば、J屈指の攻撃力とクロスの精度を持つ東京。サイドからクロスをバンバン入れるだけで何点かは取れるだろうというのが、分析班から出て来た大方の予想。


 チームとしても、拓郎がDFラインからいなくなった直後のショートカウンターを狙って行こうというのがお約束になっている。


「さあ、優斗、拓郎、そして明和のみんな。J1屈指の火力を誇る東京の攻撃をとくと味わってもらおうか……」と、思ったんだが、えーっと、これって……


 みると、拓郎がゴール前にでんと構えての……5バック!!


 東京のキックオフが始まる前に既にゴール前に5-4のブロックを敷く明和。


 ちょっ、話が違うんですけれど……

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― 新着の感想 ―
まあ、だよねぇ~(笑)( *´艸`) プロから先制したら、【鯱】は【亀】に成るわな(((*≧艸≦)ププッ
そりゃ(明らかな格上に対して先制したら)そう(最後まで気合の徹底守備)よ
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