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フットボールのギフト ~底辺Jリーガーの俺がフットボールの神様からもらったご褒美とは~  作者: 相沢孝
第八章 (再開)魂のJリーグ編(2ndシーズン)
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白い小さい闘牛士 その7

 ボールを持ったボドルフスキが司を引き連れたまま中央に切れ込んで来た。


 うおー、流石ドイツ代表歴代得点ランキング第三位!!


 ゴリゴリ感が半端無いですぞ!!


 そしてそれと入れ違うようにイエニスタが左サイドにノーマークで張っている。


 ん……あれっ、これヤバい奴じゃね?


 そう思う間もなく、ポドルフスキの利き足である左足から矢のようなスルーパスがイエニスタに入る。


 だが、それを瞬時に察知した森永さんが同時にボールをカットしに行くと、闘牛士マタドールよろしくイエニスタはお得意のターンで森永さんのチャージをひらりと躱した。


 白い小さい闘牛士マタドールの本領発揮。


「うわぁぁああー」と今日一番の盛り上がりを見せる『キングアマラオスティディオンinチョーフ』


 さらに飛び込んで来たGKの木林さんも、ボールをファサっとアウトサイドに持ち運んで躱すと、イエニスタは体勢を崩しながらもボール一つ分空いたゴールニアサイドをしっかりと通してきた。


 お見事としか言いようのないイエニスタの一人舞台だった。



 昭和高田生命2018年度J1第20節、SC東京vs神戸FCの試合は後半の18分1-1となる。



 ♪ そして~ イエーニスータ~ …… ♪ 


 と、デビュー一試合目からちゃっかりイエニスタのチャントを準備していた神戸サポーター達。


 今やスタジアムは興奮の坩堝と化している。



 もしもし、この試合、俺達のリーグ戦の最後の顔見せでもあるんですよね……


 そこからは、イエニスタの独壇場だった。


 くるくる、ひらひら、くるくる、ひらひら、ピッチの中を縦横無尽の走り回るマタドール……というか白い小さい水すまし。どないなっとんじゃい!!



 ♪ そして~ イエーニスータ~ …… ♪ 



 神戸のゴール裏からイエニスタのチャントが鳴りやまず。


 うるせえー!!


 すると、その直後だった。三郷さんから入ったパスを、またひらりとターンしてケンティーを置き去りにすると、東京DFをあざ笑うかのようにノールックのアウトサイドで『世界のKIYOGO』にパス。


 もしもし、それは、元同僚のロナウジーニョさんのお得意技だったはず……


 今度は線審の旗は上がらず、残念。


 完璧な抜け出しで東京のPA右ポケットに突っ込んでくるとギリギリまで木林さんを引き付けてからの中央に折り返し。


 そこに飛び込むのはドイツ歴代第三位のストライカー、ルーカス・ポドルフスキ。


 司も何とか追いすがるが一歩及ばず。


 スライディングで確実に面を作り、東京のゴールにズササーと流し込んだ。


 昭和高田生命2018年度J1第20節、SC東京vs神戸FCの試合は後半の21分ルーカス・ボドルフスキのゴールにより1-2となる。ぎゃふん!!



 ♪ オーポルディー シャララー ラララララー ♪


 ♪ オーポルディー シャララー ラララララー ♪



 神戸のゴール裏から今度はポドルフスキーのチャントが鳴りやまない。


 ちなみに『ポルディー』ってポドルフスキさんのニックネームなんだって。


 ふーん、よかったですね。楽しそうで。(ビキビキビキ)


 やばい、悔しさのあまり、思わず鼻血が出てきそうだ。


 バルサのElエル Ilusionistaイノセニスタ『魔法使い』が機能し始めて、たったの10分そこそこで試合をひっくり返してしまった。


「マジ半端無いって、イエニスタ、めっちゃターンするんだもん、あんなん、普通、ボールキープできへんもん」


 そんな声が東京の選手達から聞こえてきそうだ。


 さて、どうしたもんやら……すると、健ちゃん監督が交代ボードを掲げると、『8番out、14番in』


 えーっと、高柳さんアウトでウッチーがイン?


 えっ、右SB二枚入れて何したいんだ?


 すると、司が手招きして俺を呼んで来た。


 もう、嫌な予感しかしない。でも、行かないと怒られるしなー……


 俺はいやいや司の元に近づいていくと……「テメー、ちんたら歩いてんじゃねーぞ、さっさとこい」とおかんむりの様子。


 だったら、お前が来ればよかったじゃん。


「あ”あ”、なんだって!!」と目を逆三角形にして司。


 だから、勝手に人の心読むなって。


「んで、なんすか?」


「呼んだ理由分かってんだろ」


「いや、まぁ、なんとなく……」


「ウッチーを右SBに入れて、オメーはイエニスタにマンマーク」と分かりきったかのように司。


「……ですよねー、でも、大丈夫、相手は古畑さんだぜ?」


「まあ、ウッチー、スピードだけはあるから、どうにかなるだろ。それよか、イエニスタ押さえないとどうしょうもない」と、今や神戸の大黒柱となったバルサの魔法使いを指さして司。


「……だなー」ため息をつきつつ俺。


「ケンティーにはもうちょい前目にポジション取ってもらって攻撃に加わってくれないとこのままじゃ尻すぼみだ」と司。


「まあ、ごもっともで……ってか、一英にももっと中盤まで下がらせてゲームの組み立てに加わらせればいいんじゃね」


「……たしかに。たまにはお前も気が利いた事いうなー」


「ああん、なんだって!!」


「おーい、一英~」


 そういったまま、司は一英の方に行ってしまった。


 おい、無視すんなよ…

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