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オリンピック日本代表vsオリンピックブラジル代表 その14

 俺は優斗からのパスを受け取ると、鳴瀬神児の必殺技、『ウルトラ スーパー ロイヤル デラックス ギャラクテカ スペシャル ストップ アンド ゴー』を発動させる。


 この技はライン際でストップアンドゴーを繰り返す技なのだー。


 えっ、それって、小学生でもやるただの ストップ アンド ゴーじゃねえ?


 と思った貴兄の皆々様。


 根本的な所が何も分かってない。


 所詮、小学生のストップ アンド ゴーなど、せいぜい一度や二度、繰り返す程度の児戯。


 ところが、私の『ウルトラ スーパー ロイヤル デラックス ゴールデン エクリプス ファイナリー ストップ アンド ゴー』はそんな程度じゃすまされないのだ。


 じゃあ何回やんだよ?と思われるかもしれないが、そもそも回数という概念ではない。


 じゃあ、さっさと言えよ、面倒くせーなーと思われるのも癪なのでさっさと言うが、答えは「相手の足が売り切れるまで」だ!!


 シンプルだろ。相手が音を上げるまで永遠に繰り返すってのは……


 脳裏に翔太や三苫君のうんざりした顔が目に浮かぶ。


 おや、答えを聞いて眉間に皺を寄せているのは気のせいですか?


 そうそう、先日、明和の練習中に、司相手にコレやったら「テメー、いい加減にしろ!」とブチ切れて、足の裏見せてスライディングしてきやがったんですよ。


 それって、試合だったら一発レッドですからね!!プンプン!!


 そういうわけで、カルセロさん相手に、『スペシャルローリング……(しつこい)』を繰り返す。


 そして、カルセロさんを引きずってゴールライン付近までやってきたら優斗にボールを優しく返す。


 優斗はハーフライン際まで上がって来た槇原さんにボールを返す。


 槇原さんはペナルティーエリアの外まで出張って来た櫛引さんにボールを返す。


 そして、GKからのビルトアップが始まる……


 すると再び、『スペシャル……(以下略)』


 そんなのを何回か繰り返したら、流石にカルセロさんのマークが甘くなってきたんで、一気に内に切れ込んで、ゴール前30mからのスカッド!!


 やはりこれだけ距離があるとなかなかゴールに決まらないが、変わって入ったGKのウィルキンソンさんが鬼の顔してカルセロさんにマーク外すなと叫んでいる。


 ナイフを持っていたら今にでも刺して来そうな形相のカルセロさん。


 うん、でも、大丈夫。だってここ、サッカー場だもん。


 せいぜいスパイク見せてスライディングしてくるのがいいとこでしょ。


 それに、それやったら一発退場だし、そもそもスライディングで止められるスピードは既にカルセロさんの足には残ってない。


 大切なのは振り切られない程度のスピードで相手の体力の最後の一滴まで絞り切ることなのです。えっへん。


 すると、流石にフォローに入ってくるブラジル代表の仲間たち。


 そうなれば、こっちにとってはしめたもんで、さっさと優斗に戻して、マークが薄くなったところを突いて攻撃してもらう。


 こういう、相手の急所を突く動きは司が大の得意としている。ほんと嫌な奴だね。うん。


 えっ、そんなことやってて、点入らないじゃねーか?と思われるじゃないですか。


 別にいいんですよ。点が入らなくっても。だって、今、うち、勝ってんですもん……


 地獄のような時間稼ぎ。それが、「ウルトラスーパーロイヤルデラックスゴールデン……(以下略)」なのだ!!


 ってかさ、翔太、おまえ、今、ブラジルの逆サイドスッカスカになってんだから、ちゃんと点決めとけよ。


 そういうとこやぞ、詰めが甘いって言われんのは。



 すると、後半35分、ついにカルセロさんの交代ボードが掲げられる。


 ああ、カルセロさん、さようなら。


 あなたとボールを追っかけ回した夢のような35分。僕は一生忘れないよ。


 もっとも、カルセロさんにとっては地獄のような35分だっただろう。


 んじゃ、その前に……ということで、カルセロさんがピッチから居なくなる前に、俺は最後のデュエルをカルセロさんに仕掛ける。


 すると、精魂尽き果てたカルセロさんは俺にあっさり交わされると、その場で膝から崩れていく。


 そんじゃ、まあ、お言葉に甘えてという事で、ドフリーになった俺は、ブラジルゴール前25m付近から、本日何度目かのスカッドを発射した。


 ……が、あらやだ、ちょっと力み過ぎちゃって、アウトに掛かり過ぎちゃった。


 ボールはキーパーのド正面。


 と思ったとその時、今日俺に好き勝手にされたブラジルのCBのカリオさんが鬼の形相で足を投げ出し俺のシュートをブロックしにきた。


 すると、何という事でしょう。アウトに掛かり過ぎたボールは足ではなく、カリオさんの顔面にジャストミート。


 バカンッ!!という音と共に、衝撃を吸収されたボールはふんわりとブラジルゴールの右隅に吸い込まれていく。


 哀れ、完璧に逆を突かれたウィルキンソンさんはゆっくりとゴールに収まっていくボールをただ見送るのみ。


 後半36分、国際親善試合、オリンピック日本代表vsオリンピックブラジル代表の試合は、鳴瀬神児選手のウルトラスーパーロイヤルデラックス……(以下略)により、3-1となった。


挿絵(By みてみん)


 ドッペルパックだワン!!

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― 新着の感想 ―
[良い点] こんなんリアルにいたら面白すぎる
[一言] 夢をみているのでは???
[一言] カルセロは膝をやった。 カリオは首をやった。 呼ばれた救急車は4台になった。 神児のキルスコアは4増えた。
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