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トゥーロン国際選手権 その8

 弥生と笑顔で別れてから、すぐさまあの金髪ヘアバン野郎の事を思い出し激おこぷんぷん丸になる俺。


 だってほら、弥生の手前、そんな顔見せられないじゃん。私にも見栄ってものがあるんですよ。見栄ってもんが!!


 気分転換にプールでひと泳ぎしようかなと思って部屋に戻ると、相変わらず司の野郎が小難しい顔してPCとにらめっこ。


 おい、もしかして、監督よりも明日の試合の事考えてねーか、お前?


 すると、テーブルの上に置いてある1枚のプリントに目が止まる。って、この野郎、さっきのパツキンヘアバン野郎じゃねーか!!


 俺のあまりの剣幕に、椅子からずり落ちそうになる司。あっ、わりい。


「どっ、どうした、神児」と顔を引きつらせて司。


「こっ、この野郎が、さっき、弥生にちょっかい出して来やがったんだよー!!」と俺。


 俺の様子を見てすぐさま何かを察した司。


 面倒くさいことに巻き込まれるのが嫌なのか、何があったのかは全く聞かず、さっさと話しを先に進める。もうちょっと話を聞いてくれてもいいんじゃないですか?上司なんでしょ、アンタ。


「明日戦う、イングランド代表のグーリッシュだよ、そいつ」と司。


「グーリッシュ!?こいつ、イングランドの選手なのかよ!!ってか、なんかどっかで聞いたことある名前だな」と俺。


「お前、覚えてないのかよ」とあきれた様子の司。


「覚えてないって!!」そういって、俺はそのヘアバン野郎の顔が映ったプリントをひらひら。


「そいつは、ジェームス・グーリッシュ。俺達がこっちに来る前にニュースになってただろ。当時の英国最高額の1億ユーロの移籍金でマンCに行ったグーリッシュだよ」


「はぁ!!こいつがか!?!?」


 俺はそう言って、そいつのプリントをペシペシ叩く。


「おうよ、前の世界ではイングランドのイエニスタって言われたグーリッシュだよ」


「マジか……」俺はそう言うと、グーリッシュの写真をマジマジと見る。


「ってか、明日のイングランド戦、メンツ相当えぐいぞ分かってんのか?」と司。


 エグイも何も……だって、グループリーグ敗戦が決まっちゃったじゃないですか。うちのチーム。


「ちなみに、どんなん?」


 俺はそう言って司のPCを覗き込む。


「GKのピーコックフォードはロシアW杯の正GKだよ」


「おおっふ、マジすか」


「ほかにもガーナーズのチェンバートやら現役のプレミアリーガーがわらわらいるぞ」


「やだ、イングランドさん、マジじゃないですか。ちなみにイングランドってオリンピックたしか……」


「ああ、オリンピック予選、ポルトガルとスウェーデンに負けてグループリーグ敗退だ。大方、チームが選手派遣に協力的じゃなかったんだろ」と司。


 まぁ、確かに、こっちのヨーロッパって、国によっちゃあオリンピックをまったく重要視しない国もあるものなー。


「でも、なんで、トゥーロンはそんなにガチメンバーなの?」


「さあな。リーグも終わってひと段落着いたら、納得できなかったんじゃねーの、予選の結果に」


 なるほど。それで、司も手師森監督も、ギニア戦が終わってから籠りっきりで対イングランド戦の対策を練ってたのか。


 これまで、消化不良が続いていたこの大会も、最後にいっちょ景気よく、パーっと花火を打ち上げたくなってきたな。


 ちなみに、予定では俺明日出るの?


「ああ、監督から聞いたところじゃ明日は俺もお前もスタメンから出ることになってるぞ」と司。


 なるほど、じゃあ、ちょっくら、このグーリッシュ君に今日のお礼をのし付けてお返ししようじゃないか。


 俄然むくむくとやる気が湧いて来た俺。


「なんか変な事考えてんじゃねーよな」と司。

 

「いえいえ、滅相もございません」と俺。


 まぁ、将来の一億ユーロの男に爪痕一つくらいは残しといてやるかと思った。なあ、翔太(推定50億の男)


 と、その時、「僕、関係無いよね!」と、どこからともかく翔太の声が聞こえたような気がした。


挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
[良い点] と思ったらいきなり出てきたグーリッシュ……
[一言] スレッジハンマーSHINJIがツゥーロンに降臨かw
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