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フットボーラー補完計画Ⅲ その6

 部活の練習を早引けすると、健斗と翔太は電車で、俺と司は自転車でクラブの練習に向かった。


 つくづく飽きもせず、サッカー漬けの毎日が続いていく。


 俺と司はロードバイクを飛ばし、多摩っ子ランドの檄坂を登ると40分ほどでビクトリーズの練習場に着く。


 少し早めに到着してしまったため、俺と司で先にアップを始める。


 もっとも、既に部活で散々ボールを蹴って来たので今更アップでもないのだが…………すると、監督がやって来た。


「おう、神児、司、ナショナルトレセンの合宿どうだった」と監督。


 練習は昨日もあったのだが、大下監督は用事があったのか、昨日は途中からの参加で俺達と話す時間が無かったのだ。


「おかげさまで、順調でした」と俺。


「アレが順調なのかねー」と司。


「まあ、高柳さんからいろいろ話は聞いてるけれど、大活躍だったんだって、神児?」


 そう言うと意味深にニヤリと笑う大下監督。きっと高柳監督から色々聞かされているのだろう。


 下手に反論しても藪蛇になりそうなので、俺は監督の言葉をそのまま受け取った。


「はい、ありがとうございます」


 ただ、なんとなく気まずい思いも心の奥底に少しばかりあるのか、まともに監督の顔を見られない。


 すると、司。

「そういや、監督、今度の東アジア選手権の代表っていつ発表になるのですか?」


「U-15の大会って、確か7月の終わりだよな………ってことは、2週間後くらいかなー」


「じゃあ、7月に入ったあたりですか?」


「そうそう、で、大会が始まる5日前位にJビレッジに集まって合宿して、そのまま試合って感じかなー」


 そんなことを話していたら、健斗と翔太もやって来た。


「やっぱ、はえーなー、自転車だと」と健斗。


「ええっ、司君達、僕達よりも後から来てるよねー」と翔太。


 まあ、最近、裏道なんかも分かって来て、最短距離で来れるようになってきたからかな。


 ロードバイクを使うようになって本当に時間の余裕が出来るようになってきた。


 以前だったら、部活に出てそれからビクトリーズとかは時間的に厳しかったもんなー。



 アップがひと段落すると、監督がみんなを集めて、週末のリーグ戦のミーティングをする。


 今週の対戦相手はベルファーレ湘南。実は俺も司もこのチームと戦うのは前の世界を含めても初めてなのだ。


 これまでのリーグ戦の成績はビクトリーズは2勝1敗1分、ベルファーレは1勝1敗2分け、結構接戦になりそうだ。


 湘南というと、その昔は中田英寿に、呂比須ワーグナー。近年だと前の世界で2018年にJリーグカップを制したこともあるなかなかの強豪だ。


 さて、この時代の湘南ってどんなチームだったっけ?


 というわけで、司に聞いてみると、「コレクティブな守備をベースにしてカウンターを仕掛けてくるチーム。そして、とにかく運動量が豊富だ」という事だ。


 そういや、こっちの世界に来る前に何試合か見てたんだけれど、たしかいいサッカーしてたんだよなー。ただ、肝心なところで点が取れないイメージがある。


 はてさて、週末はどうなることやらと思うのだが、実は今週末はハードスケジュール。


 湘南戦が土曜日の午後の3時からのキックオフという事で、なんと午前中の八西中の試合も見れちゃうのだ。


 おまけに、朝の5時からワールドカップの対オランダ戦。まあ結果は知ってますけれど、やっぱ気になるじゃないですか。


 そんな感じで、ハードスケジュールの週末を迎えることとなる。


 チームのみんなも、週末の湘南戦よりも日本代表の試合の方に話題が集まりがちだ。


「まさか、本田の1トップがハマるだなんて」と綾人さん。


「中村俊輔の出番は無いのかなー」と大場さん。


「闘莉王と中澤さんの安定感ハンパねー」と健斗が。


「オランダと当たる前に勝ち点3取れてよかったー」と怜哉さんが。


 そうだよなー、たしかこの頃のオランダってロッベンにスナイデルにファンペルシーがいた頃だもんなー。


 たしか世界ランクも4位だっけ?




「あぶねー!!!」そう言っておお声を出す健斗。


「スナイデルのフリーキックやっば」と優斗。


「ってか、駒野さん蹴られてんのになんでこっちのファールなのよ」と遥。


「ロッベン出てないんだー」と翔太。


 えーっと、何をしているかというと、今は土曜日の早朝、司の家のリビングでワールドカップの観戦をしております。


 そして、何故だか健斗と翔太は昨日の夜から司の家にお泊りしてる。まあ、自転車の引き渡しとかいろいろあるからいいんですが、すっかり司の家の晩御飯に餌付けされてしまっている健斗。


 ちなみに俺や優斗や遥は朝、早起きして来ましたからね。


「んー、やっぱ、全体的に押されているねー」と難しい顔して司。


 まあ、結果は知ってるんですけれどね。あああー、長友惜しいぃぃぃー!。


 …………1時間後、


「ってか、川島、触ってんなら外にはじけよ」と遥。


「俊さん、いい所、まったくなかったなー」と司。


「まあ、いうても、中澤と闘莉王のDF堅っ!」と健斗。


「大久保さん、いいとこまで行ったんだけれどなー」と残念そうに優斗。


「岡崎、おしかったー」と翔太。


 結局試合は1-0でオランダの勝ち。結局ここの結果に関しては前の世界と全く変わらなかったのだ。


 さて、朝飯食ったら、優斗達の試合を見に行くかー!!


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