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推しが母を轢きました  作者: はちったん
1/1

当たり前




「お母さん、、?お母さん、、!お母さん……!!」



心臓が飛び出そうなほど強い鼓動。そんな私の鼓動に反比例するかのように母の鼓動は小さく少なくなっていく気がする。


お医者さんが一生懸命母に心臓マッサージをしながら手術室に駆け込む。



さぁ、どこから時を巻き戻そうか____。






「お母さんってさ生きるモチベーションあるの?」


「何言ってんのよ、早く食べなさい!」


私はふと思ったのだ。お母さんは毎日母親という職をそつ無くこなしてるいるけどなにをモチベーションにして生きてるんだろう。

私の生きるモチベーションはなんてってたって、今をときめくアイドルグループの山橋くん。

2年前から俗に言うオタクをしてきた。人気急上昇中で2ヶ月後にデビューを控えている。つまり私は人生最高潮ってわけです。


目の前に用意された目玉焼き、よく周りは塩派か醤油派かで言い合っているが私は断然、目玉焼きにはケチャップ派。

ケチャップで 山橋♡ と目玉焼きに描く。



「朝から気持ち悪いことしてないで早く食べなさい、もう時間よ」


「はいはーい。あ、ねぇ、今日Sステに山橋くんでるから!録画!宜しくね!」


「分かってるなら自分でやればいいのに、、まぁとにかくやっとくから早く食べなさい!」



思っていたより進んでいた時計の針を横目に用意された朝ごはんを口に駆け込む。いつもやめてと言ってるのに一向に出され続けるキンキンに冷えた牛乳も喉に流し込む。



「牛乳!やめて!冷たい!行ってきまーす!」


「はーい。いってらっしゃい。」



今日も引きこもりの妹の部屋の前に立ち今日も大きめの声で叫ぶ



「詩!お姉ちゃんは学校に行ってくるぞー!明日こそ一緒に行こうな!」


「うるさい、毎日うざい」


「はいはい、お前はかわいいな!好きだぞ!」



妹は半年前、中学校でいじめにあいそれ以降引きこもり。

かわいくて明るい妹だったのにいまはその面影もない。

どんなに引きこもろうと可愛くて愛おしい妹だから引きこもりもイジメも私にはどうでもいい。



「こら!なごみ!はやくもう8時20分!」


「はいはーい!ほら、うた!いってらしゃいは?」


「、、いってらっしゃい、」


「はい、いってきます。」



学校で裏でコソコソ言われたりすることもある。あいつの妹は虐められてるだ、引きこもりだ様々。

あいにくうちの父親は出張続きで家にいることが少ないので、それもおまけのように、シングルマザーの子だとか、父親は不倫して出ていったとか。よくそんな妄想を思いつくなぁとは思うけど。


だけど私はそれなりにしあわせだ。私の幸せの八割は山橋くんのおかげだけど。ありがとう山橋。



「おはよ、さなぽん!」


「おはよ〜なごみ〜今日もギリギリだね」


「毎日スリルあって楽しいじゃん」


「馬鹿だね今日も」



今日もさなぽんとくだらない会話をして、くだらない授業をあくびしながら受けて、山橋くんのSステを楽しみにスキップして帰る、、

今日も当たり前の日だ。ふとそんなことを考える必要すらないほど当たり前の日だと思ってた。



「失礼します、月島、ちょっと。」



授業突然副担任の先生が入ってきた。

おお、なんだなんだ。ちゃんと副担任の先生がもってる教科の課題は出したぞ。てか課題出してないくらいで授業中わざわざ呼び出すなよと思いながら、ドアの外に出た。内心は怒られるんじゃないかとビクビクしながら。



「なんですか?」


「お母さんが救急搬送された。今すぐ病院に行きなさい。」



そこからの記憶はあまりない。慌てて帰る準備をする私を心配そうに見つめるさなぽんを横に私は何かを考える余裕がなかった。











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