sweetpain
僕は今日も謝る事が出来ずに病院を立ち去る。
「あら、あなたはこの前。」
振り返ると綺麗な女性。
おそらく彼女の母親だろう。
「希夢に会いに来てくれたの?あの子なら休憩室で紙飛行機作ってるわ。」
「い、いや僕は、違うんです、、、」
母親らしき女性はニコリとすると僕を促す。
僕は合わせる顔がない為、下を向きながら休憩室へ向かう。
「希夢!お友達よ。」
その声に反応してこちらを見る。
僕と目が合う。
「ふん。」
彼女は眉間にシワを寄せて頬を膨らませてそっぽを向いた。
終わった。終わった。あんな漫画でしか見た事が無い様な拒絶反応。
、、、かえろ。
ぎゅっ、、、
不意に手を握られた。顔を上げると彼女がニコリとして「ねぇ、屋上行こう!凄く景色が良いの!お母さん!少しだけ良いかな?」
母親はニコリとして軽く頷く。
屋上で彼女はフェンスに手を掛けてずっと遠くを見た。 何かを決意した様に振り返ると
希夢「、、、えっと、はじめまして。私の名前は和泉 希夢 (いずみ のぞむ)14歳 O型
性格は天真爛漫って言われる。さっきの人はお母さんね。私は5年前からここに入院してる。心臓の病気でいつ死んでしまうか分からない。もしかしたら明日はいないかも」
彼女は胸に手を当ててうつ向くが直ぐに顔を上げてニコリとする。
春一番が吹く。
春の風が彼女を追い越して僕に降り注ぐ。
少しだけシャンプーの香りがした。
ショ−トヘアーが似合う彼女。
乱れた髪を両手で直す彼女はとても無邪気で
口元はニコリと笑顔を絶やさない。
色白で痩せているけど瞳が大きく、小顔で
かわいい子だ。
彼女を直視出来ない僕にニコリとしながら言う。
「ねぇ、あなたの事も聞かせて?」
「あ、ああ。うん、、、僕は、、、
、、、、、、、、」
希夢「えっ同い年なんだ!小林君ズバリモテるでしょ!彼女いる?」
一翔「え、い、いないよ。それに全然モテないよ
何処にモテる要素があるの?全てノ−マルだよ」
希夢は少し照れた様にうつむくと
「、、、やさしい顔してる。」
僕らはお互いの事を沢山話した。
どれくらい話しただろう。屋上の扉が開くと希夢の母親が迎えにきた。
希夢も少し疲れたのか顔色が良くない。
母親にもたれながら病室へ帰る彼女の後ろを歩きながら僕は言う。
一翔「ねぇ、明日も来て良い?」
希夢「、、、じゃあ、明日はまだ死なないよ!」
彼女は小さくガッツポーズをとると病室へ入っていった。
彼女は横になると直ぐに寝てしまった。
その後母親と少し話した。
母「小林君ごめんなさい。強引に希夢に合わせてしまって。でも親は大切な子供の為なら何でもするわ。あの子のあんなに喜ぶ顔見たのは久しぶり。本当にありがとう。
でも無理しないでね。私達は色んな事に慣れているから明日行きたくなくなったら無理しないでね
今日は本当にありがとう」
母親は深く頭を下げる。
帰り道、僕は彼女との会話一つ一つを思い出しては照れ笑いを浮かべ彼女の温もりが残る手の掌を見つめる。ふと悲しい気持ちになり彼女のある言葉がリフレインする。
「明日いないかも、、、」
嬉しさとドキドキと悲しみがミックスした初めての気持ち。
sweetpain。




