名探偵 秀。
看護婦「ごめんなさいね。本人の強い要望だから諦めて。」
一翔「どういう事ですか?そんなはずはないですよ」
看護婦「まぁ私達には分からないけど患者さんが嫌がっているのに合わせる訳には行かないのよ。他に連絡する手段は無いの?直接本人に確認出来る方法は?」
看護婦が僕を疑いの眼差しで見つめる。
「そ、そうだ。ライン。」僕は、ポケットから携帯を取り出すとラインを確認した。
昨日から既読にならない。疲れて寝ているのかと思ったがまさか、こういう事?
看護婦がギロリと睨む。
僕はどうする事も出来ないまま病院を出た。
僕が甘かった。毎日が約束されている僕らとは違い彼女は毎日が命がけなんだ。確かに僕みたいな甘ちゃん一緒にいたく無いよね。僕があまりに無神経だったんだ。彼女の薬になれたらなんて図々しいよね!
あれっ。雨かな?冷たい物が頬を伝う。
僕の顔は気が付くと涙と鼻水でグシャグシャに、なっていた。
「一翔。大丈夫?」
振り返ると美麗が立っていた。
僕は、美麗に抱きしめられた。
美麗「大丈夫だよ。一翔は何も悪くないよ。大丈夫だから。」
美麗は強く僕を抱きしめると頭を撫ぜてくれた。
美麗はいつも隣にいてくれた。僕は本当に大切な人が誰か今気が付いたよ。
一翔「美麗、僕から離れないでくれ。もう離したくないよ」
美麗も泣きながら「うん…いいよ!ずっと隣にいてあげる」
僕らは時を忘れて抱きしめ合い泣いた。
秀「、、、ふん。図々しい女だ。自分が何をしたかわかってるのか?人として最低だぞ」
秀はパイプを咥えながら腕を組んでいる。
僕が動けばこの展開は180°ひっくり返る。でも一翔、僕も、反対なんだ。彼女とは結ばれない。彼女は生きられない。最期に深い悲しみに落ちるくらいなら今の内に手を引くべきだ。
忘れよう。いつか、今日を笑える日が来るよ。
ん、紙飛行機、、、
秀はジャンプして紙飛行機をキャッチすると紙飛行機を一枚の紙に戻した。
(もし奇跡がおきて小林君がこれを読んだらいいな〜。本当にありがとうね!私は感謝の気持ちで一杯だよ!じゃあ、さよならね- 希夢)
秀、、、やばい。俺も泣けてきた。
秀は、紙飛行機をポケットにしまうと歩きだした。これで良いと何度も言い聞かせて。
美麗「一翔!遅い!遅刻しちゃうよ!」
一翔「ごめん!寝坊した!」
、、、紙飛行機?
美麗「どうした?」
一翔「嫌。見間違いだった」
僕は、美麗の手を握ると二人で学校まで走った。
季節は秋になり彼女の温もりと隣にいてくれる事に幸せと感じる。ただ無理矢理剥がされた瘡蓋は簡単に癒えはしない。希夢ちゃんがまだ生きていて僕を求める事があるならば僕は全部捨てて彼女の元へ走るだろう。