表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

56/116

『装備はたまに人見知りをするらしい』

 その後、もう少し互いのお姫様(基本的にオウリ語り多め)と四精獣の予備知識云々を教えて貰い、夜にお店で少しお酒交えて雑談した後に解散した。


「君たちはこれから何処に行くんだ?」


 といっても、最終目的地は同じ聖域だけど。

 セリアがターリャを撫で回しながら答えた。


「ゲーパ・カルーポよ。西の島。そこに私にちょうど良い竜種の情報を聞いたの」

「ゲーパ・カルーポか」


 ウンドラ国の西にある島だ。

 詳しい話はわからないけど、エルフと呼ばれる人、……人?人種が住んでいると聞いた。

 耳が長いって話だけど、本当だろうか。


「また会ったときにどんな竜だったか教えてね、セリア」

「ふん。あたりまえよ。というかターリャも頑張りなさいよね」

「うん!」


 お互いに持っていたアクセサリーを(ガルアのではない)交換していた。

 いつでも連絡できるのでは?と思ったのだが、なんとオウリは冒険者ではなかったので、あの機械が使えなかった。

 冒険者になれば良いのにと薦めたのだが、身内に見付かると面倒とかなんとか。

 オウリの過去が気になるところ。


「そちらはこれからどうするのです?」

「そうだな。ターリャの為にもたくさん竜を狩らないといけないとわかったし」


 ならばやることは一つ。


「昇級して、ソロでも竜種を討伐できるようにするよ」

「それが良いですね。確かにB級はソロでの依頼発注はしてくれないと聞きますし」

「ああ」


 もうターリャを置いて依頼は受けない。

 もう二度とあんなのはごめんだ。

 近くにいれば護れる。

 それにターリャが近くにいないとドラゴンを倒してもなんの意味もないからな。


「では、またいつか」

「じゃあね、ターリャ!」


 手を振るセリアにターリャが大きく振り返す。


「また会おうねー!!」


 俺は手を振らなかったが、軽く頭を下げた。

 お互い頑張りましょうの意味で。

 姿が見えなくなるまで二人を見送った。

 さて、忙しくなるぞ。


「行くか、ターリャ」

「うん!」









 翌日、ギルドに来た。

 いつもなら掲示板か受付に直行するのだが、今回は申請の看板が吊り下げられている所へ向かった。


 受付の人がこちらに気が付いて、この国の会釈をした。


「こんにちは。ご用件はなんでしょうか?」


 ここの申請受付は下獣(戦闘の際に使う人に慣れた妖魔の申請)や職種変更、そして今回のような昇級試験の申し込みなどに活用する。

 受付の椅子を引いて座る。


「昇級試験の申請に来ました」


 受付の目付きが変わった。


「タグを拝見いたします」

「はい」


 首から下げたタグを机に出し掛けて、ロングスタの特定タグだけ外してから机に出した。

 危ない危ない。

 付けっぱなしだった。


 受付さんがタグを手に取り確認した後、何かの機械の上に置く。

 モニターを確認した受付がタグを返却してくれた。


「確認いたしました。トキナリ様」


 あれ?ウンドラでは俺の名前を正確に発音できるんだ。


「タグを拝見いたしましたところ、昇級の条件を満たしておりました。B級からA級への昇級の申請でお間違いないですか?」

「はい」

「あともう一つ確認なのですが…」

「なんでしょう?」


 なんだろう。


「トキナリ様は盾職からお変わり無いですか?」

「? はい」

「他にもなにか武器の所持などは?」

「?? いえ。え?なにか気になることでも?」

「……その、タグの蓄積された妖魔の魔力痕跡の中にクエスト申請されていない竜種の魔力が記録されていましたものですから。それも、二度も」

「…………タグって、妖魔の魔力を記録できるんですか?」


 初耳なんですけど。


「ふふっ、従来の型は受けた依頼の数と内容のみでしたが、この新型はタグに残された冒険者と妖魔の魔力を解析して特定することができるようになったのです!」

「それは凄いですね」

「でしょう!」


 どや顔で自慢してきた。

 相当の自慢だったんだろうな。

 

「ところで、どうなんですか?」

「…ええと、盾職のままなのですが、この盾が少し仕組みがありまして」


 左手の盾を元の大きさに戻す。

 ビックリしている受付の人。


「ここの柄がとある条件が揃うと抜けるようになるのです。それで倒しました」

「ほおー?これは珍しい。ちょっと触ってみても?」

「どうぞ」


 盾を受付の方に傾けると、ターリャが慌てて割り込んできた。


「あ!ダメダメ危ないよ!」

「へ?」


 バシンと強力な静電気が出たみたいな音と光を発して受付さんの手が弾かれた。


「わっ!?」

「大丈夫ですか!?」

「いたたた。…ビックリしました…、結構人見知りな装備ですね」

「人見知り……??」


 装備に人見知りも何も無くないか??


 軽く痛みを散らそうと手を振っていた受付が気を取り直す。

 そして何事もなかったかのように、机の横の引き出しから書類を引っ張り出した。


「それではこちらに記入をお願い致します。文字は書けますか?」

「一応」

「わからない、もしくは書けない文字がありましたら教えてください。代筆いたしますので」

「わかりました」

「書き終えましたら日付の確認を行いますので」


 ちょっとしたトラブルがあったものの、それ以外は何事もなく申請の手続きを完了した。

 一つだけ、「形式は盾用、もしくは一般用とありますがどちらになさいますか?」っていう謎の質問かあったけど、まぁ大丈夫だろう。


 準備の時間もあるからと、試験は一週間後になった。


 控えのタグをチェーンに繋げて首から下げておく。

 これで大丈夫だ。


 ギルドを出て、宿に向かう。

 そういえば、ターリャが受付にダメと止めようとしていたよな。


「ターリャ」

「なに?」


 屋台に売られていた棒付きべっこう飴を舐めながらターリャがこちらを見た。

 盾を指差す。


「こいつは人見知りなのか?」


 四精獣の特徴として、お供と認定した人間に四精獣の特性がそのまま写された装備が授けられる。

 ターリャの場合はこの盾だった。

 それをオウリに聞いて、この盾を手に入れた時のターリャの言葉がストンと腑に落ちたものだ。


 ターリャが頷いた。


「うん。トキ以外には触らせたくない」

「そっか」


 盾というより、ターリャが人見知りだったか。


「この一週間、どうするかなぁ」

「図書館行ってー、あとターリャの鍛練してー、あとあと!ルシーを思い切り走らせたい!」

「じゃあそうするか。…依頼もするんだぞ?」

「はーい」


 そんな感じでわりと忙しなく日々が過ぎ、あっという間に一週間後になった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ