2話 Sランクパーティの加入
勇者パーティを追放されたため、路頭に迷っていた。
調合士が冒険者と言うのは世間一般的にはあり得ないこと。俺が勇者パーティに加入していたことにより、調合士も冒険者としてやっていけるということが徐々に知りわたっていったが、まだマイナーな職業だ。それに勇者パーティから追放された俺をパーティに加えたいという変わり者はそう居ない。
なんせ勇者パーティを追放されたのにパーティに加入させるということは勇者パーティから印象が良くなくなるってことだ。この世界で勇者は絶対。人の希望であり世界の希望。そんな存在に目をつけられたらどうなるかなんてわかり切っている。
(これからどうするか...)
そんな時、複数人近寄ってきて一人の女性が話しかけてくる。
「ねえ。一緒にパーティを組まない?」
「え? なんで俺を?」
意味が分からなかった。見ず知らずの人に突然パーティを組もうなんていう人がいるか? もし俺を知っていたらなんで誘った? 俺がパーティに入るってことはデメリットでしかない。
「まあわからないよね...。私はルミア。銀色の風って冒険者なんだけど聞いたことあるかな?」
「あ...!」
銀色の風...。誰だって知っている名前だ。なんせ世界に5組しかいないSランクパーティの1つだから。
「知っていてくれて嬉しいわ。だったら話が早いわ。どう? 一緒にパーティ組まない、アッシュくん?」
「なんで俺の名前を...。それになんで俺をパーティに?」
「君結構有名人だよ? 君は自分で知らないだけでいろいろな人を助けていたんだよ? 私もその一人」
俺が助けていた? 無能の俺が? そんなはずない。助けたなら記憶に残っているはず。
「記憶になさそうだね」
「はい...。それに皆さんおれが入ってもいいのですか?」
ルミアさんの後ろにいる人たちに尋ねる。すると全員が嫌な顔せずに頷く。
「全員okっていてるけどどうかな?」
「俺が入るってことは勇者に目をつけられる可能性もあります。デメリットでしかありませんけど...」
「そんなの関係ないよ。もし目をつけられたとしても私たちはSランク冒険者だよ? キミが気にすることないよ」
久々に優しい目がここまで嬉しい事だったのを感じた。
「ではお願いします」
「うん!」
この出会いが俺の人生を大きく変えていった。