知らない天井ですってよ
初投稿なので手加減しながら感想やアドバイスなど色々お待ちしてます。
担任の最後の仕事としてはハードすぎんだろ!
振り返り生徒を見るも半分くらいは泣きそうになっているが、もう半分は喜んでるじゃねぇか、ガッツポーズしてる奴もいるし。
「王様、私たちはいきなり連れてこられて戦えと申されても大変混乱しております。なので一度皆で話し合いたいと思うのですがお許し願いますでしょうか?」
王様となんか話したことないから言葉遣いがわからん、というか日本語が通じてるし、向こうの言葉もわかるのはなんでだ?これもスキルという奴か?
「うむ、よかろう。その前にそなたらのステータスを調べさせてもらう。その後にライラに会議室まで案内させるゆえ、そこで相談すればよい。」
それから王様たちの前にボーリングの玉ほどの大きさの水晶のような物が運ばれてきた。
どうやらその玉に触れればスキルにジョブといった適正職種、身体能力が数値化されたものが見えるらしく、一度発現すれば後は心の中で『ステータスオープン』と念じれば個人で確認できたりもするらしい。
俺たちは順次並ばさせられて、その玉に触れさせられてステータスを調べられていった。なぜか最後尾にブリーフ一枚の中年男性も並んでいたが、皆指摘しないので俺も特に突っ込まずにそのブリーフ男の後ろに並んだ。
このブリーフ男、どっかで見たことあるような。
喜んでいた生徒から順次水晶の前に並んでいき手を添えていく。
中には勇者や聖女、賢者に剣聖など凄そうなジョブが出るたびに周囲の王族含めた貴族らしき人物達がどよめき立ったりしたが、ありふれた職種や戦闘職種でないものには分かりやすいぐらい落胆したり、中には舌打ちする貴族達もいた。
なんか値踏みされてるようで、嫌なかんじだな。
というか段々舌打ちしか聞こえなくなってきた。
それもそのはず、前にいた生徒たちのジョブは勇者や聖女等凄そうなのばかりだけど、後ろの生徒になるにつれて段々ジョブがショボいというか雑というか...
勇者、聖女、賢者、剣聖、拳聖…… 戦士、魔法使い、僧侶、狩人…… 料理人、清掃人、裁縫士、飼育員、町人、傍観者
…… 後半何があった!?明らかやる気ないだろ!このままいけば俺もとんでもないジョブになりそう。
そう思いながら後ろから生徒達が一喜一憂する様を見ているうちにもうすぐ自分の番になろうかとするときに一際大きなどよめき立った。
ブリーフ男の前の女生徒、確か去年から関西の方から転校してきて早々に援助交際で補導された問題児、神木 鈴だ。
水晶に映し出されたジョブは『ビッチウィッチ』……
ダジャレかよ!!
なんだこの悪意満載のジョブは?誰か裏で操作してんじゃないのか?確かに神木は進学校には珍しいツインテール茶髪で化粧もバッチリでピアスもつけてるし、なぜか拳ダコもあってヤンキーみたいでビッチっぽいけど。
ほら、神木背中震わして泣いてるよ~、あれ、泣いてない?メチャメチャ水晶睨んでるよ!水晶に触れてない反対側の手が強く握りすぎて血が滴り落ちてるし、手をおいてる水晶もアイアンクローされてミシミシ音をたててるっていうかヒビが入ってるですけど...
あらら、神木が兵士みたいな人たちに両脇抱えられてつれていかれてしまったよ。
遠くから神木の怒声と殴りあうような音が聞こえるが、残りが俺を含めて前のブリーフのおっさんだけなので早くしろと急かされる。
っていうかこのブリーフはこちらの世界の人じゃないのね、誰なんだ?見た目は30代後半くらいだろうか、キモい中途半端なロン毛でデブで鼻息が荒く尋常じゃないくらい汗かいてるし、さっきからずっと王妃たちのおっぱいばかり見てるし、なんといってもブリーフ一枚!しかもちょっとテント張ってんだけど、どこからどう見ても只の変態だろ。
でも、あの教室に居たってことは生徒なのか?いやいやこんな変態を生徒にもった覚えはございません。
ちなみにブリーフ男のジョブは『変態勇者』
本日二人目の勇者キタァァー、しかもなんか変なのついてるぅぅーwww
っていうか完全に見た目だろ!!素養とか才能とか関係ないだろ!!
周囲のお偉いさん達も笑顔がひきつっちゃてるよ、当の本人はメチャ喜んでるし、嬉しいか?そのジョブ。
嬉しさのあまりにブリーフ男はクルクル回転し出してオッパイ王女ことライラ第2王女の前で片膝をついて止まり手の甲にキスをしてしまった。
さすが勇者、行動も勇者だな。
変態だけど
その後、このパン一勇者は急いで駆け寄ってきた近衛兵らしき人達からボコボコにされて足をもって引きずられながら退出させられた。
まぁそうなるわな。
やっと最後の俺の番なのだけど、もう変なの出る未来しか想像できなねぇよ。
「おい風間とやら、今の変態勇者もお前の生徒か?違うのならこちらで処分するが。」
「なっ!?」
軽っ!処分って殺処分ってことだろうか、それとも追放処分とかか、いずれにせよ誘拐まがいな事をしておいて俺らの存在軽すぎだろ、異世界人の戦力がほしかったんじゃないのか?
「いえ、彼は副担任という私の補佐をする仕事に就いております、なので関係者です。
一見おかしな格好にも見えますが我々の世界の副担任という仕事に従事している者は皆あのような動きやすい服装をしているのです。」
「ただの変態にしか見えんが。」
恐らく変態です。
「...」
「...」
「...」
「...」
ひょえー眼光で日と殺せるじゃないかっていうくらい睨んできてるよー
「うむ、わかった。最後はお主じゃ、早う水晶に触れよ。」
「あっはい。」
ふぅ~セーフ、どこの誰かなぜあの教室にいたのかわからないけど、このまま放っておいて処分されるのも可哀想だから何とか関係者を装って穏便にすむよう便宜を図ってもらおう。
これで最悪な結果は回避できたか、後は俺がここでいいスキルだかジョブだかを引いて少しでも自分達が丁重な扱いが受けられるようにすれば...
神木さんのアイアンクローで今に粉々になりそうなくらいひび割れてる水晶に手を置く。
「...クソ坊主?」
え?何それ?ただの悪口じゃん。舐めてんのこの水晶、叩き割るぞこの野郎!
「あっ」
次の瞬間、あまりの結果にほんの少し手に力が入ってしまい、元々ヒビが入ってた水晶は無惨にも粉々に砕けてしまった。
「あははは...」
(プルプル...)
やばい、王様めっちゃプルプルしてる。
怒ってるのか?それとも笑いをこらえてるのか?
「この馬鹿者が!誰かこいつも引っ捕らえて牢屋にぶちこんどけ!」
やっぱりめっちゃ怒ってたー!
その後、俺は襲い掛かってくる兵士達に揉みくちゃにされ多少善戦するも、見かねて出てきたケツのようなアゴをもつ男にボコボコにされてビッチな神木さんと変態勇者の待つ牢獄へ連れていかれた。
「知らない天井...」
身体中の痛みに耐えかねて意識が覚醒していく。
気配がする隣を目線だけ向けて伺うと、パン一の変態がボコボコの顔面して身体中もアザだらけになりながらそれでも幸せそうにイビキをたてて熟睡してる。
「知らない変態...」
前に読んだことのある異世界ラノベとずいぶん勝手が違うんだけど、どうやらこの異世界はチートだのハーレム要素は薄そうだ。
毎日更新?いやいや怒濤の毎時間更新じゃ!
嘘です、すいません、安定の不定期更新です。