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一話 槍だ! 槍を持て!



 なんとか大学に合格し、東京から静岡へ。念願の一人暮らしが始まった。安アパートでも文句は無い。ワンルームに風呂トイレ、台所があれば男子学生には十分だ。

 引っ越しから三日、今日はいよいよ入学式。授業についていけるかよりも大学デビューにコケないかどうかが心配だ。入学式一時間前から慣れないスーツを着て自室をそわそわ歩き回る。


「ハンカチ、ティッシュ、財布、スマホ、大学の地図、入学案内、飲み物……」


 手提げ鞄の中身の八度目の確認をしていると、突然全身が沸騰した。いや沸騰したかと思った。


「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!?」


 熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い!

 なんだこれ焼け死ぬ!

 本能的に風呂場に走り込み、蛇口を全開にした。冷水を浴びながら転げ回る。


「あ゛あ゛あ゛あ゛い゛い゛い゛い゛があ゛あ゛縺薙・繝。繝シ繝ォ縺ッ 繝シ縺ョ逧・ァ倥∈縺ョ繝。繝・そ繝シ繧ク縺ァ縺吶€・……」


 声にならない声を上げながらのたうち回っていると、沸騰した時と同じぐらい突然冷めた。一瞬前の灼熱地獄は何だったのかというぐらい涼しい。

 幻覚、いや幻熱だったのか?幻覚にしては生々しかったが。

 ……よく分からないが、熔鉱炉に突っ込まれた殺人機械の気持ちは分かった。

 首を捻りながら風呂場の床から立ち上がった時、致命的な事実に気付いてしまった。全身から血の気が引く。


「やっべぇ……」


 入学式まであと一時間。スーツ水浸し。どーすんだこれ。

 か、乾かさないと。乾燥機! は持ってない! 絞って乾かして、いやいっそコンロで炙るか?

 槍を拾い、水を吸って重くなったスーツを脱ぎながら右往左往していると、何やら外が騒がしい。悲鳴やら急ブレーキの甲高い音やら、ライオンの咆哮のようなものまで聞こえる。


「んだよ今度はよぉ……」


 次から次へと何なんだ。

 槍を脇に挟み、両手でズボンを絞りながら台所の窓から外を覗く。

 街並みをぱっと見た限り平穏そのものという気もしたが、すぐに気のせいだと分かった。町は平穏とは程遠い。


 スーパーの駐車場に六、七メートルはある紫色の木が生えている。塀に衝突したらしい軽トラから白い翼が生えたオッさんがよろよろ這い出していると思えば、そのすぐそばでは下半身が魚のぐったりしたばーさんをじーさんが道の端に運ぼうとしている。

 コンビニの屋根を石でできた巨大ウニのようなものが突き破ってトゲを出し。何か得体の知れない赤黒いデロデロした物が横断歩道に散乱し、通行人が逃げ惑ったり腰を抜かしたりスマホで撮影したりしている。

 そんな意味不明な光景があちこちに見えた。


 これは……

 これは……!

 これは……?


 訳わからんがズボン絞ってる場合じゃなさそうだ。なさそうだが、どうすりゃいいんだ?

 警察? 警察か? 救急車か? 自衛隊か? 呼んでどうするんだ? 呼んだ方が良いのか?


 クッソ、分からん分からん分からん!

 そうだ、落ち着け。深呼吸だ。

 吸ってー、吐いて。

 吸ってー、吐いて。

 吸ってー、吐いて。


 よし。

 落ち着いた。

 うむ。

 とりあえずパンツ一丁はまずい。何か着よう。


「タケ! 無事か!」

「キャー!」


 ジャージに着替える途中で玄関が勢いよく開き、熊柄パジャマにポニテの小柄な女子大生が飛び込んできた。


「なんだい、女みたいな悲鳴を上げて」

「ク、クロか。びびった」


 クロは土埃がついたスリッパを履いたまま上がりこむと、俺の服を無遠慮に捲りあげた。


「ちょ、やめろやめろ! 痴女か!」

「異常が無いか確認しただけだよ。無事で何より」


 パンツの中身まで覗こうとした痴女を槍で押しのけると、クロはシレッと言った。こんにゃろう、普通に聞いて確認すればいいだろが。


「タケは体が熱くなって風呂に飛び込んで水浸しになって、服を脱いで慌てて着替えたところだろう? 混乱しているだろうから、私が確認した方が早いと思ってね」

「マジか当たってる。すごいな、なんで分かるんだ」

「簡単な推測だよ。タケの事なら何でも分かるさ。何年の付き合いだと思っているんだい?」

「十八年だろ。ん? 十九か? 誕生日来てないから……いやそんなんどうでもいいんだよ。何が起こってるんだ? 外はエライことになってるし関係あるか知らんけど体燃えたし」

「ふむ。私も仮説を組み立てている途中だけど。そうだね、まあ座るといい。少し話そう」


 そう言ってクロはベッドの端にちょこんと座り、対面の椅子を指した。

 流石クロ。もう仮説があるのか。

 俺が椅子に座ると、クロは話し始め、る前に聞いてきた。


「ところで、その槍はまさか自作では無いだろうね」

「槍?」

「手に持ってるそれだよ」

「ああこれか。これは……ふぁっ!? 槍!? なんで!?」


 慌てて槍を手放した。槍は床に硬質で重そうな音を立てて転がる。

 どどどどどこから出てきたんだこの槍。違和感なさ過ぎて全然気付かなかった。普通に肩に担いで椅子に座ってた。

 足元にあるのは鈍い銀色の不思議な質感の槍だ。棒に赤い金属のような穂先がついただけのシンプルな槍。もちろん引っ越しの荷物にこんな業物っぽいのはなかった。しかし現実にここにある。妖怪か。妖怪の仕業なのか。


 不気味……ではないな。怖……くもない。

 なんだろう。びっくりはしたけどこの槍はあって当然って感じだ。むしろなんで今まで槍無しで生きてきたのか分からん。


「この槍は、あー、いつの間にか持ってた」

「そうか……うん、なるほど」


 クロは何か納得していた。何がなるほどだよ分かるように説明してくれよ耳モニモニすんぞ。

 俺の邪念に気付いたのか、クロは咳払いして語り出した。


「今の状況だけど、私は全ての人間か、かなり多くの……そうだね、全人類の百分の一からそれ以上はモンスターになったと考える。

 順を追って根拠を挙げよう。私も五分ぐらい前に太陽に飛び込んだかと思うくらいの高熱を感じた。熱過ぎて意識飛んだおかげでトイレに頭を突っ込まずに済んだ訳だけど、鏡を見たらこうなってたのさ」


 そう言って、クロは前髪をかきあげた。額にルビーのような紅い宝石が埋まっていた。暖かみのある、見た事もないぐらい美しい色だ。

 でも肉にめり込んでるんだよなぁ。


「大丈夫なのかそれ」

「心配どうも。痛みは無いよ。私はこれをタケの槍のようなものだと考える。いつの間にかあったし、違和感も無いからね。あの灼熱の結果だろうね。

 そしてこれが街の外にも言える。ほら、見てみるといい」


 窓の外を見ると、太眉付きの血走った目玉がついた赤黒い風船のようなものがフワフワ飛んでいた。

 わぁお。子供にあげたら大泣き確実。


「あんな感じのモンスターがウヨウヨしてる。しかしだね、観察してみるとアレは人間が変化したみたいなんだよ。車の中から這い出てくるモンスターとか、コンビニを突き破ってるモンスターとかがいる一方で、人気の無い場所、例えば屋根の上とか、田園にモンスターは見当たらない。逆に路上や商店には多いね。人間の原型を残してるモンスターが多い事と、私とタケの実体験を併せて考え、同時多発的に広範囲で人間のモンスター化が起きたという仮説を立てたのさ」

「モンスター化ねぇ」


 話の筋は通っているが、イマイチ納得いかない。


「現実と空想ごっちゃにしてないか? ここ三次元だぜ。もっと現実的にバイオハザードとか、集団催眠とかは無いわけ?」

「無いね。ほら」


 クロは机の上に置きっぱなしだったカッターを手に取ると、手の甲を薄く切った。呆気に取られる俺の前でクロは赤い血が滲み出る傷口に手を当てる。クロの手は柔らかい光を放ち、みるみる傷を塞いだ。


「この通り。魔法だよこれは」

「いや、治療用ナノマシンとかあるだろ」

「粘るね」

「そりゃなあ」


 だって魔法だぜ?

 二次元に行きたいヤツは山ほどいるが、まさか二次元の方が三次元にくるなんて考えられるか?

 ……いや、同人界隈だと割とある展開だな。日本人の業の深さよ。


「まあ魔法でもナノマシンでもいいさ。タケも何か出来るようになっていないかい?」

「何かってなんだ」

「この回復は私には呼吸するように使える。本能で分かる、とでも言うのか。タケも同じ感覚が無いかな?」


 本能で?

 …………。


「無い」

「無いのか……」

「あ、いやでもなんつーのかな、力漲る感じはする。今ならかめは◯波出せそうみたいな」

「出せるのかい?」

「いや無理だけど。んー、全能感っつーのかね。クロは小さい頃テンション上がってる時にさ、パンチ一発で電信柱へし折れる気がした時なかったか?」

「ああ。あった、あった」

「そんな感じがする」

「ふむ。それは本当に折れるようになっているかも知れないね」

「いや手の骨の方が折れるだろ常識的に考えて」

「常識なんて捨ててしまえ。論より証拠だ、タケの力を測ってみようじゃないか。ちょうど私の部屋に握力計とかベンチプレス用のダンベルがあるから」

「なんであるんだよ」


 アパートの隣部屋、クロの部屋はダンボールの山だった。こいつ荷解きしてねぇ。引っ越してから何やってたんだ。


「まずはこれ」


 クロがダンボールを漁って投げて寄越した握力計をキャッチする。握力計使うのは久しぶりだ。

 確か高三の時に50kgぐらいだったから、


「ふぬっ! まあ今回も50ぐらい……クロ、これ壊れてないか」

「いくつだった?」

「右110kg」


 前回の倍以上? こんな馬鹿な。


「そんなものか。500はいくかと思っていたけど。左は?」

「あ、ああ、今測る」


 あれやこれやとダンボールから出てくる女子大生とは程遠い器具を次々と試し、ざっと身体測定を終える。


「先生、どうなんですか俺の体は」

「身長172cm、体重67kg。脈拍正常。握力左右110kg、立ち幅跳び310cm、ベンチプレス150kg、反復横跳び74回。ちょっとしたアスリート並だね」


 クロはカルテっぽいものを片手に感嘆の声を上げた。

 知らない間にプロテインをキメたような数値だ。腹筋を見下ろすとうっすら割れていた。力こぶを作るとムキィッと盛り上がる。ヒューッ! こいつはすげぇや。

 たった数分でスポーツもやってない普通の大学生がこのマッスルを手に入れるのは科学的には有り得ない。たぶん。クロの言う通り、魔法的ななんやかんやが原因だろう。

 しかし。それで手に入れたものが筋肉ってさあ……それ魔法じゃなくても良くね? 鍛えれば普通に手に入るやつやん。


「アスリート並って、人類超越してる部分とかないのか」

「握力のギネス記録は192kg。成人男性平均が47kgだったかな。110kgはそれなりに素質がある成人男性が鍛えれば十分実現可能な範疇だね。他の記録も同程度」

「そうか……」


 どうせならクロみたいな魔法っぽいものが欲しかった。

 筋肉。筋肉かあ。凄いけどさあ。凄いだけなんだよなあ。

 いや、そうだ、まだ槍があった。俺がスポーツテストをしている間、クロがゴソゴソ調べていた。


「この槍は? ミスリル製とか? 実は生きてるとか?」

「金属ではないようだね」

「あ、そうなん?」

「うん」

「…………」

「…………」

「……それで?」

「それだけ」


 それだけかよ。じゃあ俺が手に入れたのは筋肉とただの槍? ファンタジーっつーより戦国武将じゃねぇか。鎧があれば完璧だ。


「手持ちの道具では精密検査はできないからね。なんとも言えない。地球上には無い未知の物質という事も考えられるけど」

「丈夫そうではあるよな」

「そうだね。しかし下手な調べ方をして壊すのは憚られる。詳しい情報は専門機関に依頼した方が良さそうだ」


 専門機関か。普段近くて遠い言葉がこんなにも身近に感じるとは。

 何やらエラい事になってきた。いっそナンデモ鑑定団に持ち込むのもアリな気がするな。

 が、その前に。


「そろそろ突っ込んでいいか?」

「うん?」

「実験だの考察だのしてる場合じゃなくないか。さっきからサイレン鳴りっぱなしだぜ」


 火事か避難訓練ぐらいでしか聞いた事のないけたたましいサイレンが鳴り響いている。窓を閉め切っていてもうるさいぐらいだ。

 火事。避難。非常事態。サイレンが鳴りそうな状況は全て当てはまっている。こんなにのんびりしてないで避難した方が良いんじゃないだろうか。


「君は実に馬鹿だな」


 しかしクロはやれやれと首を振った。


「敵を知り、己を知れば百戦危うからず。今は敵、モンスターを知る事と変化した己を知る事はかなり近い意味を持つ。避難するにせよ立て籠もるにせよ、何ができて何ができないかは知っておいた方が良い。それにこんな状況で避難所がマトモに機能すると思うかい? 避難の途中で襲われたら? まずは情報を集める事だよ。ほら、ぼんやりしてないでタケは部屋の要塞化を頼むよ。そのダンボールに釘とノコギリと金槌が入ってるから。板はその辺の物を適当に使って窓を塞いでくれ。それが終わったら断水する前に水道からできるだけ真水を確保。私は電気と通信が止まる前にネットを調べる。はい、行動行動!」

「お、おお!」


 言われるがままに要塞化を始めた。

 ベッドを解体した板で窓を塞ぎ、風呂場の蛇口を全開にして水を貯める。逃げられなくなっても困るので、玄関はダンボールを積んで塞ぐだけにしておいた。これならすぐに崩して逃げられる。

 よし。後はそうだな、食料か。冷蔵庫は……空だ。ゴミ箱にはカップ麺とカロリーフレンドの空が突っ込まれている。こいつ自炊してねぇ。


「クロ、米とか野菜は買ってないのか? 食料の残りは?」

「んー? チョコとスナック菓子が二、三袋あるかな」

「他には?」

「無い」


 おいおい。

 すぐ飢えるぞこれ。俺の部屋も似たようなもんだ。立てこもりの選択肢ないだろ。


「心配しなくても人間は食料が無くても三日、水があれば一週間は生存できる。私もずっと部屋に篭っているつもりはないよ。明日か、明後日には外に出るさ」

「なんだ、考えてるならいい。もう頭脳労働は任せるわ」

「任された」


 真水の確保は全く問題なかった。風呂の浴槽をいっぱいにして、空き缶と鍋とフライパン、思いつく限りの容器に水を貯めてもまだ断水しなかったし、濁りもしなかった。考えてみれば、人間がモンスター化したというクロの仮説が正しいなら、地下に埋まっている水道管がどうにかなるはずがない。モンスター化した人間が穴を掘って水道管をへし折る性癖に目覚めたなら別だが。

 むしろ地上数メートルの高さで無防備にプラプラしている電線の方が危ない。もし巨人化、巨大化した奴がいたらウッカリ引っ掛けてちぎってしまいそうだ。


「こっちは終わった。何か分かったか?」


 槍で肩を叩いてほぐしながら、デスクトップパソコンの前に陣取るクロの後ろから覗き込む。クロは幾つもウィンドウを開いてスクロールしながら答えた。


「トゥイッターのタイムラインとスレッド、ニュースサイトを追ってみた。情報が錯綜しているけど、この町で起きているような事が世界中で起きている事は間違いないようだ。アメリカ、ロシア、イギリスはもう非常事態宣言を発動している。ドイツは首相が変死した疑いが強い。他の国については情報の信憑性が低くてなんとも言えないね。それと、集会や会議、大会の最中に事件に遭遇して、それを撮影した動画がいくつか上がっていた。それを見た限りでは平均して約十人に一人の人間が変化している。変化と同時に死亡するケースも多いね」

「即死って事か?」

「だね。私達は運が良かった。口から炎を吐けるようになったとか、右手が熊みたいになったとか、複眼になったとか、空を飛べるようになったとか、魔法か超能力を示唆する自己申告の書き込みが多い。あとは変異者の暴走、かな。モンスターが暴れてるって書き込みも多い。原因は幾つか考えられるけど、まだ絞り込むには情報が足りないかな」

「なんかバイオハザードみたいだな」


 感染源が特定できない分バイオハザードよりタチが悪い。モンスターに噛まれたら感染広がったりするのかね。

 廃墟と化した町でモンスターを駆逐しながらサバイバル……一人だとあっさり死にそうだ。クロから離れないようにしよう。二人なら大抵の事はなんとかする自信がある。

 決意を固めていると、クロが恐れ慄いたような声を上げた。


「うわっ。タケ、タケ、これは凄いぞ」

「んー? うっわ、なにこれすげえ。怪獣映画みたいだ」


 クロが再生している動画はアメリカで撮影されたもののようだった。どこかの高層マンションの窓から外を撮影したものらしく、窓枠にアメコミヒーローのフィギュアが写りこんでいる。興奮して英語で早口にまくしたてる撮影者の声はほとんど聞き取れなかったが、解説されるまでもなく状況は分かった。遠くの山から歩く巨大な木が町に向けて進撃してきている。超高層ビル並の高さの巨木が根っこを足のように二つに束ね、確実に町に迫っていた。巨木が一歩踏み出すたびにカメラの画面が揺れている。


 その巨木を迎え撃つように、戦闘機が一撃離脱を繰り返していた。獲物を狙う猛禽のように高高度から降りてきてミサイルを発射し、あるいは爆弾を落とし、離脱していく。

 しかし大きさが違い過ぎる。攻撃が命中するたびに巨木の体から爆炎が上がるが、屋久島の縄文杉にマッチを投げるようなもんだ。全然効いてねぇ。

 逆に、巨木が五月蝿いハエを追い払うように腕のような太い枝を振り回すと、戦闘機は簡単に枝葉に絡め取られ爆発炎上した。ものの数秒で二機が撃墜され、戦闘機隊が撤退していく。

 そして脱出したパイロットの落下傘を無視して、巨木は悠々と進撃する。足止めにすらなっていなかった。

 動画はそこで終わった。やべえよアレ。世界も終わりかねない。


「とんでもないな。もう核ぶちこんじまえよ。アメリカさんの得意技だろ」

「そう簡単にハリウッド映画のようにはいかないだろうけど。核兵器の使用は十分有り得そうだ」


 クロは深刻そうに言った。

 モンスターを放置するとヤバい。

 モンスターを核で駆逐しても放射能汚染でヤバい。

 どうあがいても地球がヤバい。

 神様なにやってんの。こういう時こそ出番だろ!


 しかし祈りも虚しくネット上の被害報告は増えるばかり。神も仏もあったもんじゃない。

 まあ知ってた。人類は自分でなんとかするしかないって事ですね分かります。


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