邪眼の竜使い1-1
俺の名前は小鳥遊勝弥。黒髪でいたって真面目な大宮高等学校普通科の二年生である。ここのところ特に何もなく楽しい夏休みが終わりをつげ、つまらない二学期が始まろうとしているところだった。
「つまらん・・・・・・つまらんぞ! 健斗!」
「そうは言っても普通が一番だぞ」
こいつの名前は宇都宮健斗。俺の幼馴染であり、クラスメイトでもある。髪が生まれつき茶髪でその外見から今まで不良と見間違われていたが、高校一年生の時に気分転換で眼鏡をしていると、とあるクラスメイトから眼鏡かけると真面目に見えるねと言われそれから眼鏡をかけるようになり、ついでにモテ始めた。
「いやいや。高校生活においては一番最初が肝心なんだよ。ほら、アニメとか最初の出会いで非日常的な展開に巻き込まれたりとかあるじゃん」
「一応言っておくが、この世界はアニメじゃないし今は二年の二学期初日だぞ。最初どころか終わりに向かって行っているとこだぞ」
「それを言ったらお終いだろ。人間、希望は捨てなればいつか叶うっていうだろ」
「はあ。それは非現実的だぞ」
「非現実的だからこそ、もしかしたらなんていう事があるかもしれないだろ?」
「そういえば勝弥、宿題終わらせたか?」
「現実は厳しいんだから非日常に逃げたっていいだろ!」
「素直にやってないって言えよ! はぁ、貸すぐらいはできるが?」
「さすが親友。頼りにしてるぜ」
「これが、小鳥遊聖子の息子だとは思えないんだけどなあ」
「なんで母さんの名前が出るんだ?」
「いや、何でもない。学校に急ぐぞ。急がないと宿題写す時間が無くなるぞ」
後ろに女の影が見えた。うちの学校の制服だったし健斗にでも思いを寄せている人だろう。ここは空気を読んで健斗を一人にするか。
「それは、やばいな。それじゃあ健斗、鞄貸してくれ」
「何でだ? 今から一緒に行けばいいだろ?」
「これだからもてる男は鈍感で困るなあ。いいから貸せ。先に学校に行ってるからな」
俺は健斗の鞄を無理やり奪い取ってその場から離脱し、学校に向かった。それから十分ぐらい走り続けてようやく学校についた。そしてその足で教室に急いで向かった。教室に着いたころにはホームルームまで十分もなく写すのには少し時間が足りなかったが、そんなこと言っても仕方がないので宿題を写すことにした。
「さて、写すか」
俺が学校について数分もしないうちに健斗が教室に入ってきた。
「あれ? 意外と早かったな健斗。もう少し時間かかると思ったんだけど」
「おい勝弥。俺を置いて何勝手に学校行ってんだよ。学校行くときは一緒って行っただろうが!」
「いい加減その鈍感さはどうにかならないのか?」
「なんだよさっきから鈍感って。こう見えても反射神経は良いほうなんだぞ」
「そういう事を言っているんじゃないんだよ。お前の後輩の河上紗耶香がかわいそうでならないよ」
「なんで今、紗耶香が出て来るんだよ」
教室の目の前の廊下に黒髪でショートカットで胸が高校一年生なのにDカップあるらしいと噂の河上紗耶香がいた。河上紗耶香は二年生がいるこの階に暇があれば来るので二年生の間ではかなり評価が高いらしいが、未だに河上紗耶香に告白したものはいないそうだ。
「噂をすればなんとやらだよ。健斗、お迎えが来てますが行かなくていいのか?」
「今はそれどころではないんだよ! あの時なんで俺をあの場所に置いて先に学校行ったんだよ。俺とはもう一緒に学校行きたくないのか?」
「お前は俺のことよりも、もっと大事なことがあると思うんだけど」
「今の俺はお前が一番大事なんだよ。だから返事を聞かせてくれ」
何故か周りが騒がしい。
「別にお前と学校に一緒に行きたくないってわけではないんだけどな。ほら、後輩との付き合いって大事じゃん?」
「勝弥、お前いつの間に彼女出来たんだよ。そういう事はまず俺に相談してからでもいいと思うんだけどな?」
「いや、彼女とかいねえし。むしろお前の方が先に彼女出来んだろ」
「勝弥はいっつもそう言う事言うのはなぜなんだ?」
「だって、お前の周りの方がたくさん女いるじゃん」
「あれは違うんだよ。あれはただの仲間だから」
そういうやり取りをしているとチャイムが鳴ってしまった。
次回へ続く
初めまして、作者です。このたびは読んでくださってありがとうございます。短めで更新して行こうと思います。暇だったらまた更新すると思います。