プロローグ
この小説は文学に疎い人間が、思いついたことをなぐり書くものです。後出し設定や読み返し展開が多数待ち受けています。
「素人の作品だし、つまらなければ途中で止めれば良いや」という方だけお進みください。
素人による、時間があるときの暇つぶしですので暖かい目・長い目で眺めてくださいませ。
彼を襲ったのは一瞬の眩暈、気づいた彼の目の前には見知らぬ部屋、そのアラサーは困惑の表情を浮かべてその場に立ち尽くすよりほかになかった。
それにしても彼は幸運だったと言えよう。そう、いわゆる昨今のライトノベルの一大ジャンルにまで発展している異世界物、日本人が異世界と言う冒険の舞台へ旅立って成功を収めていく英雄譚、その主人公たちと同様に。
異世界に放り込まれたものが、その世界にて生存・機能できるかは女神の悪戯でもなければまったくの偶然によるものなのかもしれない。相当に似通った世界か、それこそチートのような出鱈目な性能を得なければ生き抜ける確率はあまりにも絶望的な数字でしかないだろう。並みの地球人では少なくとも出発地点が上空5000mに選ばれてしまったなら落下後に生きてはいないだろう。おそらく異世界に呑まれた人々の多くは個人の物語を紡ぐこと無く終わりを告げられているのだろう。
この話の彼の場合は幸運が重なりに重なった稀有な存在といえよう。
そんな彼の幸運な状況をいくつか説明するとしよう。
一つ目は、彼を迎えたその世界は彼の命を直ちに奪う環境ではなく、地球に似通った大気、重力、気候などを有した環境であったことである。
二つ目に、たどり着いた場所である。彼の存在する空間座標は、それこそ天空でもなければ深海でもマグマの中でもない、一見ごく普通の家の一室であったことである。まぁ、もちろん異世界ゆえただの部屋ではなかったのだが。
最後に、彼を拾った異世界の文明レベルは地球のそれを下回っていたことである。もちろんとある方向では圧倒的上位であって、あるいはその要素を発展させればあっという間に地球の文明を抜き去るだろうが。ひょっとするとかの世界は文明レベルを上げる存在の到来を望んでいたのかもしれない。
さて、ようやくこの物語の主人公たる彼、緑邊 当夜の紹介に移ることができる。彼は、普通の大学を卒業し、一般企業に就職して6年、新人からようやく脱したよくいる日本で働くサラリーマンであった。彼には仲のよい両親も、大きく年の離れた姉、それなりに会話のある妹、おじさん呼ばわりをする姉の娘、その友人その他諸々の友人たちと織りなす日常は決して退屈なものでは無かったし、彼は異世界を求めるほど不満を持ち合わせていなかった。いや、一つあるとすれば毒舌な姪の工作のおかげか彼女ができないことだろうか。
そんな平和に生きる当夜に取って、現代日本という命の直接的なやり取りの少ない世界から命をかけることが当然のこの異世界【エキルシェール】へ飛ばされたことはあまりに大きな冒険だといえる。そんな彼のステータスは、神に祝福を与えられたわけでもなく、【エキルシェール】でも標準的な肉体強度に過ぎず過酷な世界を生き残る、あまつさえ英雄譚を残すにはあまりにも心もとないものだったといえる。しかしながら、幸いなことに地球の科学技術や知識は【エキルシェール】で暮らしていくための一助としては破格であったことが最も大きく最後にして最大のアドバンテージであった。
そもそも【エキルシェール】とはどのような世界なのだろうか。大気は地球のそれとほぼ同じということにはすでに触れているが、ほぼというところに大きな差異があるとも言える。そこにはマナと呼ばれる未知の因子が含まれていた。マナ、その名から連想されるようにこの世界では魔法と言うものが存在する。それと同時に精霊という存在まで住まう世界だった。そして、そこに生きる者たちもまた独特であり、人族と呼ばれる限りなく人に近い者のほかに、【深き森人】と呼ばれるエルフ、ドワーフ、小人族、獣人族などファンタジー要素にあふれる者たちがいるのだった。もちろん、魔物までいるのだから冒険者と呼ばれる職業すら存在するのである。
この物語は、そんな緑邊当夜を中心とした異世界【エキルシェール】での日々の出来事をつづったものである。
表現の改善にはできる限り努めますが、小説の書き方を学びなおすほど余力はありませんので、できる範囲でとなります。なお、語彙の不備や誤字誤植等ありましたらご連絡いただけますと幸いです。