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青春の日々

 一人称練習作品と成りますので、出来はお察し下さい。

 長編小説も投稿しております、よろしければご覧下さい。

 パン、パン、パン、風を切り裂く乾いた音がそこかしこから響き渡る。


 「弾を寄越せ!早く!」

 「メーディック!メーディック!」


 耳を裂く怒声は土の壁を伝って穴倉を駆け回る。僕は土の壁の脇に掘られた穴から重たい木箱を引きずる様に取り出すとえっちらおっちらと引きずりながら声を荒げる男の元まで運んでいく。


 途中、土壁に身を寄せ何事かを呟く男を蹴飛ばす。こちらは一生懸命働いているのに自分だけ休むとは“フテイ”野郎だ。意味は分からないが最近習った言葉を使ってみる。僕は優等生なのだ。


 「遅いぞ!さっさと渡せ!」


 土壁の上部には重たそうな赤く変色している鉄の筒が固定されており、盛大に弾をばら撒いていた。僕は何も言い返さずにせっせと筒の横に付いている箱の中に木箱の中から取り出した弾を設置していく。言い返すと蹴りが飛んでくるのはここの真理である。沈黙は金と言う事らしい。


 弾の設置を終えると僕はひょこりと穴倉から顔を出す。地上では良く分からない生き物が雄叫びを上げてこちらに向かってきている所だった。


 肩に担いでいた棒を向けて引き金を引くと乾いた音が鳴り響く。狙いは適当だ、取敢えず前に討てば何かしらに当たる。今回も、狙っていた奴の後ろに居た奴に当たった。


 当たるとキャンと吠えて霧の様に消えていく。人間と違って死体の処理をしなくていい事だけが彼奴らの長所であると思う。


 そのまま引き金を引き続けていると隣からファンファーレの音が鳴り響く。周囲を見渡すが何も変化はない。ここでは時折そんな音が聞こえる、奴らを一定数殺すと鳴るそうだが、誰もその正体を知らない。


 暫く単調な作業を繰り返す。立派な大人になるには単純な作業を何度も繰り返して体で覚えるのが一番らしい。つらつらと考え事をしていると空から轟音が響いてくるのに気付く。周囲からは歓声の声が響き渡る、先ほどまでのピリピリした空気が嘘みたいだ。


 上空に目を向けると遥か遠くに黒い点が見え、みるみる大きくなっていく。それは最終的には人型になるのだろう。“アームドスーツ”と言うものらしいが詳しくは習っていないので僕は知らない。人類最強の兵器だと酒に酔ったおっさん達が話しているのを聞いた事がある。


 もちろん僕はお酒を飲んだ事はない。お酒を飲むと成長が止まるらしい、煙草だったかな。そのまま見ていると隣から蹴りを喰らってしまった、とてつもなく痛い。


「余所見するんじゃねえ!」


 僕は何も言い返さずにまた単調な作業を再開する。二度目は貰いたくないのである。何でこんな事をしているのかつらつらと考えてみる。


 僕の生まれる前のさらに前は、もっと平和で豊かだったらしい。らしいと言うのは平和で豊かと言うものがどんなものなのか僕には良く分からないからだ。


 隊で一番年上の曹長の爺さんが時折酒の席で教えてくれる。僕は酒を飲まないので配給される切符を気前よく隊のみんなにあげるので結構人気なのだ。決してカツアゲされている訳ではないはず。


 奴らが最初に現れたのは半世紀も前らしい。突然そこら中に現れて大変だったそうだ。今でも十分大変だがとにかく大変だったらしい。奴らは色んな姿形で主にファンタジーに出て来る適役の姿らしい。


 良く空を飛んでいるドラゴン、今相対している犬っころ、時たま出て来る豚人間や土の中から顔を出す巨大芋虫なんかだ。


 それから人間は一生懸命戦って、戦って、戦って、いっぱい死んでいった。僕が居るのはかつての満州、中国東北地方と言う場所らしい。ここには石油があるから“シシュ”しなければいけないのだ。


 六年戦って生き残れば大学に行ける。大学に行って卒業できれば本土で生活できるそうだ。だから僕は大学に入学して卒業できるように優等生でなくちゃいけないのである。


 お父さんと、お母さんは大学に行っても卒業できなかったから本土で暮らせないらしく別の場所で戦っている。昨日、先月の手紙が届いたから先月までは確実に生きているはずだ。今は分からない。


 あと二年、生きていれば大学に行ける。がんばって勉強すれば本土で暮らせる。本土にはもう奴らは居ないらしい。結界で守られているから、ここには結界張れないのかなあ。


 大地に次々と火柱が立ち上がり奴らを消し去って行く。歓声も最高潮だ、今日の仕事もこれで終わりの筈、僕はいそいそと隣の赤く変色した筒を部厚くサイズのぶかぶかな手袋を嵌めて交換する。持った瞬間にジュと手袋が焼ける音がして熱が手にまで伝わってくる。長く持っていたいものじゃないから素早く新品の筒と取り換える。


 取り換えが終わると地上に目を戻す。巨大な空飛ぶ蛇に人類最強が落とされた所みたいだ。まだまだ仕事は続きそうである。今夜はゆっくり眠れるだろうか。僕は肩を僅かに落とすとまた単調な作業に戻るのであった。

 上品に調度品が置かれている部屋に二人の男が向かい合う様にソファーに座っている。二人の間にある机の上には、上等な琥珀色のウィスキーと透き通った宝石の様な氷が置かれている。


 「……兵はどんな感じだ?」


 顔に苦労が幾重にも刻まれ、白髪の割合が増えつつある初老の男性が口火を切る。相対する年配の男は琥珀色の液体で口を潤すと、朗々と語り始める。


 「我等が忠勇無比たる帝国軍人は例え矢弾が尽きようとも、必勝の信念を胸に……」

 「止めてくれ、そんな事を聞きたい分けではない」


 初老の男は年配の男の口上を遮る。

 

 「酒の席なんだ、立場を忘れてくれ」


 懇願にすら聞こえる初老の男の願いに、年配の男は居住まいを正す。


 「弾が無い、兵が無い、指揮官が無い、士気が無い、全てが不足している……充実しているのは死に場所だけだ」


 年配の男はそこまで言うと、コップに残ったウィスキーを一気に煽り言葉を続ける。


 「……我等は何の為に戦っているのだ……兵は故郷の景色を忘れるどころか、内地を知らない、外地生まれの外地育ちが兵になっている、内地との繋がりは使えない士官に、時折思い出したかの様に派遣されるアームドスーツの部隊位ではないか」


 年配の男の言葉に初老の男は項垂れる。


 「何の為の戦いか……」

 「兵は休息を欲している……部隊をローテーションで良いから内地に帰すべきだ」


 幾度となく繰り返された請願に初老の男は小さく首を振る。


 「我等は不浄な存在なのだよ……“結界”がどの様な原理か知らないが、“外”の人間は、あまり入れられないらしい」


 初老の男の告白に年配の男は激昂する。


 「棄民ではないか!?国は何を考えている!!」

 

 年配の男を宥める様に初老の男は口を開く。


 「……もはや政府に力は無いよ、全て聖女の口先一つで決まる世の中だ、聖女が否と言えば否となる」


 初老の男の目に映るのは諦めの色であった。結界は確かに内地に平和を約束した、外地を化外の地として切り離す事によって。


 日本列島を覆う結界それがどの様になされるものか知る術は無い。結界に関する全ての技術は巫女の一族により秘匿され研究する事も学ぶ事も出来ないからだ。


 胸が悪くなる話に年配の男は盛大に舌打ちするとコップにウィスキーを注ぎ一気に煽る。高濃度のアルコールにより血圧が上がり男の顔を赤くする。


 「不愉快な話だが、その巫女の一族からもっと不愉快な話が届いている」

 「俺達は軍人だ!民間人に従う義理はないはずだ、違うか!」

 「言ったろう、政府に力は無いと、もはや唯のイエスマンでしかない……話の内容だが、君達の部隊に或る一団を迎えて欲しい」


 初老の男の言葉に年配の男は鼻を鳴らすと顔を背ける。


 「俺達の部隊は指揮官不在だ、余所を当たってくれ」

 「或る一団、そこに含まれる少年が君達の次の指揮官になる」


 年配の男はがっくりと肩を落とす。初老の男はその姿を視界に収めながら脇に置いていた鞄の中から書類を取り出し年配の男に渡す。


 「スクール出の子供じゃないか!」

 「少年には中尉の階級が、少女達には少尉と准尉の階級が与えられている」


 資料の中には一人の少年と五人の少女達の詳細なプロフィールが書かれていた。


 「聖女たっての願いだそうだ、君達は肉壁となって六人の子供達を守り抜く」

 「何の為に!?」

 「“対話”としか教えられていない、何に対しての対話か、大凡の見当はつくがな」

 「ヘリにでも乗せりゃあ良いだろう」

 「現在の我等にとって、継続的な制空権を得る事がどれほど困難か、私より君の方が知っていよう」


 年配の男は顔を不機嫌に歪める。


 「君達は装甲車に分乗し対象を護衛しつつ目標に肉薄、少年達の対話を支援する」

 「分けの分からない行為を全力で支援して死ねってか?」

 「相変わらず理解が速いな」


 年配の男はコップを握ると初老の男へ向かって投げつける。コップは初老の男の頬を掠める様に飛んでいくと壁にぶち当たり、床に氷と僅かに残っていた琥珀色の液体をまき散らすのであった。

 僕達の朝は早い、まだ日の出ない時間にラッパの音が響き渡る、起床の合図だ。眠い目をこすりながら体を起こすと他の班員に遅れない様にテキパキと支度を行う。


 皺の無い様にきっちり布団を畳むと指定の場所に積んでいき、昨夜のうちに準備をしていた軍服に袖を通して軍靴を履き駆け足で“校庭”に向かう。折角戦地から出られたのだからもっとゆっくりすれば良いのに。


 僕達の部隊はこの間の戦闘で新任の少尉が“駄目になった”から再編の為にターレン郊外の駐屯地に来ているのだ。ゆっくり休めると思っていたら新兵に交じっての教練、教練、教練の毎日に嫌になる。代理指揮官の軍曹はどっかに行って戻ってこないし。


 欠伸をかみ殺し、神妙な顔を作って校庭に整列していると、教官が竹刀を片手にやってくる。教官は毎日同じ事しか言わないから適当に聞き流し、話が終わると同時に駆け出して校庭のトラックを走る。注意するのは速度を出しすぎない事、遅すぎない事、列の最後尾だと教官が遠慮なく竹刀で叩いてくるのだ。だから一番後ろにならない様に注意しながらゆっくり走るのが鉄則なのだ。


 教官が満足するまで走ると束の間の休み時間となる。僕はゆっくりとストレッチを行い、筋肉を解していく。これをしないと背が伸びないらしい、唯でさえ隊で一番背が低くて馬鹿にされる事が多いから丁寧にストレッチを行う。


 満足するまでストレッチをしたら水飲み場で頭から水を被り手拭いで体を拭いて良く。運動で火照った体に水の冷たさが心地よく感じられる。


 一通りの事が終わると待ちに待った食事の時間だ、僕達は慌てて食堂へと駆け込んでいく。食堂は既に戦場と化していてそれなりの広さの部屋が男達で埋め尽くされている。


 僕はプレートを両手でしっかり確保すると流れに逆らわず進んでいき主計兵から食事を貰うと天気も良いから外に出て開いている場所を探す。校庭に面する土手の所が開いているからそこで食べるとしよう。


 さて、今日の朝飯は山盛りのマッシュポテトに申し訳なさそうにワカメが一切れ浮いている味噌汁とビスケット、相変わらずのメニューにうんざりする。


 周囲を軽く見渡して周囲の人間が僕に注意を向けていない事を確認すると素早くビスケットをポケットにしまい食事を始める、と言ってもマッシュポテトを口に含んで味噌汁で流し込む作業を繰り返すだけなんだけれど。


 食事を素早く終わらせると食器を指定の場所に戻しトイレの大便器に駆け込む。トイレにドアなる文明的な物は無く壁に幾つも便座が設置されているのみなので、込んでいる時に長く座っていると待っている人から容赦なく蹴りを貰うのである。まったく野蛮である。もちろん僕も待つ側になったら容赦なく蹴っている。


 トイレに段々と人が増えてくると僕は立ち上がり便器を次の人に明け渡す。午前の“授業”は完全武装での行軍訓練だったはずだ。思い出すと嫌になる。僕は規定の装備を準備すると校庭に面する土手に腰掛ける。時間にはまだ余裕がある様なので予習をする為だ。優等生に予習は欠かせないものなのだ。


 ポケットから何度も読み返してボロボロになった“聖書”を取り出す。僕は仏教徒らしいけど、らしいと言うのは両親が仏教徒だけど僕は一度もお寺に行った事がないからだ。


 大学では“英語”の勉強があるらしいので古本屋で英語の本を探したら聖書しかなかったのだ。他には漢字だけの本とか、韓国語で書かれた本があったけど読めないし興味が無かったから買ってない。


 僕は使い慣れた本のページを開くと声に出して読んでいく。発音は米軍の兵士さんに機会が有れば読んでもらっているから大丈夫なはず、でも意味が全く解らない。日本語の聖書が有れば良いのだけど。ここいらでは手に入らないみたいだ。幾ら探しても見つからない。何でも日本語の本はほとんど“デンシ書籍”なる物らしい。どうやって見るのだろう。


 しばらく声を出して読んでいると班員が集まってくる。そろそろ良い時間らしい。僕は本をポケットにしまうと、他の班員と一緒に校庭に並ぶ。


 朝と同じ教官が竹刀片手にやってくる、軽いデジャブ処か慣例の行為である。もちろん話す言葉も朝と同じである。本当は本土で発明された人型ロボットなのではないだろうか。


 僕達は用意していた荷物を背負うと早足で歩き出す。教官の罵声をBGMに阿保な内容の歌を歌いながら半日ずっと歩き続けるのである。僕は班で一番体が小さいのに背負う荷物はみんな一緒、甚だ不公平である。


 昼頃になると教官も疲れたのか解散となる。僕達は使った装備を片付けると食堂に向かう。教官が早く飽きればゆっくりお昼が食べられるけど張り切っている時は最悪で食べられない事もある。今日はどちらでもなかったから普通に食べられた。メニューは塩味のふかし芋に小魚の佃煮ともやしのサラダである。


 「昨日も芋、今日も芋、明日もきっと芋、芋、芋、芋、ドイツ人かよ」

 「ドイツ人は芋食べるの?」

 「ジャーマンポテトっていうほど食うらしい。ジャーはドイツって意味でマンは人な」


 今日もまた一段と頭が良くなった。ドイツ人はジャーマンポテトか良いセンスだ。


 午後の授業は物理なので“教室”に移動する。“席”は決まってないのでみんな思い思いの場所に座る。僕はいつもの窓側最前列、優等生はこの場所なのだ。と言うのも部屋が全体的に薄暗いから窓側じゃないと“教科書”が見にくいのだ。


 しばらくすると教官がやってくる。班長の号令で僕達は挨拶をして席に着く。今日の教官は“当たり”だ。質問すると結構詳しく教えてくれるし疲れて寝てしまっても怒らない。この教官が全部担当すれば好いのに。


 僕達は教科書を開き教官の声に耳を傾ける。午前の授業で疲れた体は睡眠を欲しているけど我慢、我慢。優等生は我慢が大事ななり。班員は次々撃沈されていき起きているのは僕を含めほんのわずかだ。羨ましい、寝たい。


 教官は“黒板”に弾道計算の式を書き出していく。空気抵抗に重力加速度、なんかの呪文みたいだgとかxとか数字じゃないし。これが理解出来れば遠くの敵にも命中させられるらしい。ああ瞼が重い。

 

 いつの間にか気を失っていたみたいで教官の手を叩く音で目を覚ます。今日はこれまでらしい。明日は“兵学校”も休みで久しぶりに街に繰り出してまともな物を食べようとみんなで話し合う。みんなでお金を出し合って鶏を買って食べる事になった。


 夕飯は飯だった。お米が三で麦が七の麦飯だった。麦飯とほうれん草のお浸しにたくあんと軍隊名物正体不明の肉だった。なんかパサパサした肉で全体的にこれじゃない感が漂う。食堂にいる兵士達も何かこれじゃない感で複雑な空気が醸されていた。


 今日も一日良く動き、良く学び、よく食べた。言い方を変えると昨日とほとんど変わらない日常だった。僕は就寝までのわずかな自由時間で手紙を書く。返事が来ないから届いているのか心配だけど両親に向けて他愛もない話を紙に綴る。ps、日本語の聖書を見つけたら送って下さい、まる。

 

 僕は班員にお休みの挨拶をすると就寝する。明日の予定に自然と笑みが漏れる。大きな鶏が買えると良いな。


 翌日、僕達は兵学校の衛兵に挨拶すると外出許可書を提示して小銃を担いで街に繰り出す。兵学校の周りには軍人相手の商売人が市場を形成していて大抵の物は手に入る。僕は仲間に断りを入れると古本屋に立ち寄る。残念、目当ての聖書は売って無かった。


 僕は鶏を物色している仲間と合流すると一緒に鶏を選ぶ。あれが大きそうだ、それの方が肉が柔らかそうだとか結局大きい鶏を買った。この後仲間の一人が贔屓にしている飯屋に行って料理してもらう予定だ。そこで働いている女給に“オネツ”らしい。


 昼まで時間があるから鶏の血抜きをしながらぶらぶらする事になった。往来の真ん中で捌く訳にもいかないので一旦市場の外れに向かう。


 「ブゥゴオオ!!」

 「キャアア!」


 市場に悲鳴が響く。唯事じゃない。見れば往来の真ん中で豚人間が暴れているのが見えた。僕達は小銃を構えると走り出す。


 豚人間は市場の建物や売り物に手当り次第に当り散らしていた。僕達は片膝を着いて銃口を豚人間に向けると引き金を引く。タタタ、タタタ、タタタ。鉛玉は狙い違わず豚人間に吸い込まれていき悲鳴と共に霧の様に消えていくのだった。


 隣の仲間からファンファーレの音が聞こえるのをみんなで無視して豚人間が消えた跡を眺める。


 「気味悪いぜ、撃ち込んだ鉛玉まで消えてやがる」


 僕達が何発も一斉に撃ち込んだはずの鉛玉は豚人間と共に霧となって消えていた。


 「君達!何を考えているんだ!」


 何を騒いでいるのかと僕達が頭を上げるとそこには僕と同い年くらいの少年と少女達が僕達を睨むように立っていた。


 (お前外しただろ)

 (なんで俺?) 

 (お前射撃の成績一番悪いだろ)

 (あの子可愛くね?) 

 (て言うか誰だよ)

 (日本語を話す、どう見ても本国からの観光客。後は解るな)

 (うげえ、お偉いさんの子供がパパの職場見学ってか?)


 この間僅か0.1秒。


 「失礼しました!」


 僕達は何がいけないのか解らないけど取敢えず声をそろえて謝罪する。

 

 「こんな街中で発砲するなんて非常識な!まずは民間人の避難が先だろう!」

 (見つけ次第殺すんじゃねえの?)

 (俺が知るかよ)

 (ぼくちゃんヒーローてか)

 (可憐だ……)

 (お偉いさんの無茶振りは日常茶飯事だぜ)


 この間僅か0.1秒。


 「はい、申し訳ありません!」


 僕達は少年の言っている事の意味が理解出来ないけど取敢えず声をそろえて謝罪する。


 「俺に誤っても意味がないだろ!」

 (じゃあどうしろってんだ?)

 (無茶振りキタコレ)

 (あの子が俺を見つめている、惚れたか?)

 (早くどっか行かねえかなあ)


 この間僅か0.1秒。


 「失礼しました!」

 

 僕達は少年が何に対して怒っているのか理解出来ないけど取敢えず声をそろえて謝罪する。


 「クエ!クエ!クエエエ!」


 それまで静かにしていた鶏が騒ぎ出した。


 「その鳥は如何する気だ?」


 如何するも何も僕達は目配せする。


 (お前が行けよ)

 (やだよお前がしょってるんだからお前が行けよ)

 (悪いが俺は軍人だ、俺に惚れれちゃあいけないぜ嬢ちゃん)

 (お前いけ、はい決定)


 この間僅か0.1秒。代表して僕が発言をする。


 「はい、食用です」


 軍人の心得その一、端的に発言せよ。ちなみに軍人の心得は1080まである。


 「その鳥、生きているじゃないか!」


 生きていない鳥がいるのだろうか。


 「可愛そう…」


 それまで僕達を睨むだけだった銀髪に赤い瞳をした小柄な少女が口を開いた。


 (何が言いたいんだ?)

 (お偉いさんの思考は理解不能)

 (俺が可愛いだと!)

 (激しくめんどくさい)


 この間僅か0.1秒。


 「購入した以上は適切に処分しなければなりません」


 僕はドヤ顔で言い切る。ドヤァ。


 「返してきなさい!」


 バッサリだった。


 「はい、失礼しました!」


 僕達は少年の言葉が理解出来ないけど取敢えず声をそろえて謝罪すると踵をそろえて素早く撤退に移る。まるで購入元に鶏を返しに行くが如く僕達は何食わぬ顔で裏通りに姿を隠すとその場で鶏を絞めて遠回りで目的の料理屋に向かうのであった。


 翌日、それまで音信不通だった軍曹が急に現れて僕達を校庭に集めた。新しい指揮官が着任したのかな。


 「本日付で指揮官殿が着任する!」


 ドンピシャだった。


 「中尉殿こちらへ」


 軍曹が案内したのは昨日の少年少女達だった。


 (マジあれかよ)

 (うぜえええ!)

 (これは最早、運命の糸で結ばれているのか)

 (女の子可愛い、野郎は死ね)

 (どうせすぐウンコ漏らして本土に帰るんだろ。ママ~てな)


 この間僅か0.1秒。


 「はい、よろしくお願いします中尉殿」


 僕達は何をお願いするのか解らないけど、取敢えず声をそろえて中尉にお願いをする。


 「よろしく、俺が君達の指揮官になる……」


 僕達はみんな神妙な顔をして中尉殿の言葉を聞き流した。大事な事は後から軍曹が伝えてくれるだろう。


 「……と言うわけで、改めてよろしく」

 「はい、よろしくお願いします中尉殿」


 僕達は何をお願いするのか解らないけど、取敢えず声をそろえて中尉にお願いをする。


 「それでは中尉殿、詳しい話は後ほどブリーティングルームでよろしいでしょうか?」

 「それで良いけど軍曹、その敬語なんとかならない?ほら軍曹の方が年上なんだし。敬語だとなんだがむずかゆくって」

 「はい、中尉殿、規則です」 

 「敬語は止めてもっとフレンドリーにさ」

 「はい、中尉殿、規則です」

 「仲良くしようぜ!」

 「はい、中尉殿、規則です」

 「……解散」

 「小隊各員は1400第三会議室に集合するように以上解散」


 流石軍曹殿、僕達に出来ない事をやってのける、そこに痺れる憧れる。

僕達は新任の中尉達と軍曹が居なくなったのを確認すると食堂へと向かう。


 「いやあ女の子達すげえ可愛かったなあ」

 「あのパツキンの子なんか胸がすげえでけえな。ボンキュボンてな!」

 「解ってねえな一番は栗色の長い髪を生やしたあの子だろ、大和撫子って言ってな」

 「違うね!赤い髪を短く切りそろえたボーイッシュなあの子だね、一人称は僕に違いない、なあ僕ちゃん」

 「止めてください、僕は黒髪をポニーテールにした気の強そうなあの人が好みだな」

 「銀髪をたなびかせる麗しの姫君があの中で最も可憐だ……」

 「黙れロリコン、小さいてレベルじゃねえぞ」

 「……あんなに可愛いのにお手付きかぁ」

 「お手付きってなんだよ」

 「どぉせ、中尉のエクスカリバーで私を満たしてぇぇ、な世界なんだろ」

 「夢のねえ奴」


 会話の内容は自然と先ほどの女の子達の話題となる。あの子が可愛いだの、可愛い女の子を侍らせる中尉はいけ好かないだの。僕達は芋と玉ねぎのポトフ擬きを食べながら話に花を咲かせるのであった。キリッとした表情が可憐なんだけどなあ。


 少し早目に会議室に着いた僕達は軍曹達が来るまでだらけていた。僕はポケットから聖書を取り出すとビスケットをかじりながら流し読みする。


 「またそれか、おもしろいのか?」


 仲間の一人が暇を持て余したのか僕に話しかける。


 「勉強だよ、英語の……これしかなかったんだ」

 「何が書いてあるんだ?」

 「知らない」

 「知らないのに読んでるのかよ、題名はなんだよ」

 「聖書」

 「聖書かよ、あれだろアダムとイブがリンゴ食ってセ○ロスする話だろ」

 「そうなんだ」

 「それも知らないのかよ、あれだよ大工のおっさんの嫁がマリアって名前でな、不倫して電波ゆんゆんなイエスって野郎を生んだんだよ、そんでそのイエスって野郎が詐欺をやりすぎて磔にされたって話だ」


 新発見である。聖書はイエスって言う詐欺師の壮大な一生を描いたベストセラー小説だったらしい。


 午後二時を少し回った所で会議室に軍曹と中尉達がやって来た。僕達は一斉に立ち上がると敬礼をする。


 「すまない、少し遅れてしまって」


 中尉はそう言うと僕達を眺めた。


 「……中尉殿返礼を」

 「ああ、すまない」


 中尉の敬礼を確認すると僕達は敬礼を解いた。


 「……ん?ああ、着席してくれ」


 僕達が着席すると中尉は咳払いをしてから軍曹がホワイトボードに広げた満州の地図を示しながら作戦の説明を始め、僕達は雑談もせず神妙な顔で聞き流す。重要な話は後で軍曹が説明してくれるはずだ。


 「……以上だが質問は?」


 中尉の作戦を要約すると。


 1、敵地奥深くの目標地点まで中尉達を護衛せよ。


 2、目標地点でなんやかんやする中尉達を護衛せよ。なんやかんやは機密だから内緒。


 3、なんやかんやした中尉達を敵地奥深くから無事に本隊まで護衛せよ。


 天国に最も近い作戦の様だ。


 仲間の一人が挙手をすると、軍曹が発言を許可した。


 「中尉殿はどの程度戦闘行為が可能かお聞きしたい……それによっては護衛の方法も変える必要があると考えます」

 「俺達にはアームドスーツの専用機があるから大丈夫だよ」

僕達の思考は今一つになった。

(お前らだけで行けよ)


 仲間がまた一人挙手をすると、軍曹が発言を許可する。


 「この作戦の成功で我々は何を得るのでしょう?」

 (言っちゃったよこいつ)

 (無茶しやがって)

 「この作戦には人類の未来がかかっている……つまり、この作戦の成功で得るものはズバリ未来だ!」


 得られるものは二階級特進らしい。

 僕達はジープとトラックに分乗して目的地を目指す事になった。僕は車の免許を持っていたからジープの運転担当になった。


 僕の運転するジープは他の班員を乗せながら、軍曹の運転するジープを先行する。軍曹の運転するジープには中尉達も乗っていて、その後方を数台のトラックが追いかける形だ。軍曹のジープが攻撃されたら指揮は誰が取るのかな。


 走行中も化け物達は休みなく襲撃を繰り返すから反撃のガトリングの音が僕の耳に響いてうるさい。途中小休止を取ると中尉達の命令で周辺の化け物を一か所に集めるように命令を受けた。“レベルアップ”に必要らしい。意味が解らない。軍曹も不満な顔をしている。


 案の定、僕のジープが囮役になった。敵が追いつけるように速度を出せないし殺しちゃダメだから反撃も出来ない。命令違反は“銃殺”だから僕は諦めて従う。


 「あああ!もう!貧乏くじかよ!」

 「反撃ダメなら俺ら要らないじゃん、僕ちゃんだけで行けよ」

 「命令だから仕方ないだろう、僕だってやだよ……レベルアップってなんだよ」

 「知らないのか?ゲームで敵を倒すとポイントが溜まって能力が上がるんだ」

 「中尉殿はゲーム脳って奴だな」


 班員はやってられねえと叫びながらガトリングの弾を盛大に辺りにばら撒く。うるさいし、弾がもったいないから止めてほしい。


 適当に辺りを走り回って敵を集めると予定の場所までゆっくり逃げる。飛行型も現れてかなりスリリングだ。


 「あれは撃っていいだろ!このままじゃ死んじまう!」

 「右!右から来る!右いいい!!」


 僕はハンドルを大きく切るとさっきまでいた所の地面が大きく抉られる。空飛ぶトカゲが忌々しそうに僕達を睨み付けているのがサイドミラー越しに映るのが怖い。


 「もっと速度出せよ!」

 「馬鹿野郎!それじゃあ振り切っちまうだろう!」

 「振り切って!て、振り切っちゃダメじゃねえか、マジかよ……死ね、中尉は死ね、苦しんで死ね!来たああ!!左!左いいい!!」

 無事に予定地点まで敵を引き付けると中尉達がいつの間に着たのかアームドスーツに身を包んで待ち構えていた。僕はジープを中尉達の間にすり抜けさせる。


 「ゴオオルウウウ!!生きてる!俺生きてる!」

 「すげえ!見ろよ火の壁だぜ!」


 中尉達の集中砲火に敵はあっと言う間に霧になって消えていく。敵の掃討が終ると中尉達のアームドスーツも敵と同じように霧の様に消えていく。僕達は中尉達がじゃれ合っているのを横目にガソリンの補充をするのであった。

 何度か中尉達のレベルアップに付き合いながらも僕達は奇跡的に欠員を出さず目的の場所へと到着した。


 「……でけええ」

 「すげええ、これが?」


 そこに居たのは傷ついた巨大な空飛ぶ蛇だった。中尉達は空飛ぶ蛇に近づいていくと少女の一人が空飛ぶ蛇の頭を触り始めた。僕達は各々銃を構えて攻撃の準備を行う。


 「止めて!敵意を向けないで!」


 栗色の髪の少女が僕達に向かって叫ぶ。でもどうしろって言うのだろうか。僕達は軍曹に視線を向ける。軍曹は困った顔をしていた。


 「銃を下げろ」


 僕達は軍曹の指示に従って引き金に指を掛けた状態で銃口を地面に向ける。


 「だから敵意を向けないで!あなたたちは殺し合いに来たの!?」


 だからどうすれば良いのだろうか。僕達は互いに顔を見合わせる。軍曹も困り顔だ。騒ぎで目が覚めたのか空飛ぶ蛇がその巨大な身体を持ち上げる。僕達はとっさに銃口を向ける。


 「止めろ!自分達が何をしていのか分っているのか!」

 「殺意を向けないで!みんな落ち着いて!」


 中尉達の叫び声に僕達は何を如何すれば良いのか解らず困惑するほかない。空飛ぶ蛇は僕達を見渡すとその巨体を震わして咆哮を天に木霊させる。


 「私達は敵じゃないの、落ち着いて!」

 「早く銃を下げろ!」

 「軍曹!敵が!」


 空飛ぶ蛇の咆哮に呼応したのか、僕達を囲むように化け物がどんどん集まってくる。僕達は集まる敵に銃口を向ける。


 「止めて!殺意を出さないで!」

 「撃つんじゃない!銃を下げろ!」


 中尉と少女達が喚くけど敵はどんどん近づいてくる。


 「攻撃許可を!早く!」

 「撃つな!銃を下げるんだ!」

 「敵の包囲が!攻撃許可を!」


 空飛ぶ蛇の咆哮が再度大地に響き渡って僕は恐怖でどうにかなりそうだ。どうすれば良いのだろうか、軍曹に視線を向ける。軍曹は困惑気味に周囲と中尉を何度も見比べている。


 「撃つな!撃つんじゃないぞ!銃を下げるんだ!」

 「でも敵が!」


 外円に居た兵士が敵に食いつかれた。


 「うわああ!!離せ!化け物が!!」


 タン、自分の腕に食いつく化け物を打ち殺した。それが引き金だったのだろうか。敵は一気に雪崩込んで来た。

 

 「来るな!来るな!!」

 「軍曹!発砲許可を!軍曹!!」


 タン、パン、パン、パン、タタタタタタ。僕はジープから大きな筒を取り出すと構える。


 「止めて!攻撃を止めて!」

 「命令を聞くんだ!攻撃を中止しろ!」


 中尉達が何かを言っているけど僕は粛々と準備を開始する。


 「ああああ!!腕がああ!!助けて!助けて下さい!軍曹!!」

 「冷静になるんだ!殺意を無くせば大丈夫だ!」

 「どうすれば良いのですか軍曹!指示を軍曹!!」


 僕は空飛ぶ蛇を見つめる、蛇も僕を見つめた。周囲に飛翔音が響き次いで爆音が覆う。

 

 「ガァアアア!!」


 初弾命中の様だ、これで蛇の目は後一つ。


 「君は何をやっているんだ!?」


 中尉が何か叫んでいるけど僕は次弾の準備を行う。戦車の装甲すら貫けるはずなんだけどなあ。


 「貴様は何をやってるかと聞いている!」


 僕は喚く中尉に顔を向ける。


 「はい、中尉殿、戦争です」

 「君のせいで!平和が遠のいたんだぞ!解っているのか!」

 「はい、中尉殿、戦争で良いではないですか、僕達は兵士なのですから」


 僕はスコープに蛇の顔を映すと引き金を引く。


 フテイ野郎:図太い男、他を顧みない男

 アームドスーツ:外骨格型パワードスーツ、武装服の意味、敵性技術を使用しており虚空より出現させる事が出来る。

 シシュ:死守、撤退が許されず、死ぬ事が前提の防衛。

 結界:内部では妖魔が出現しないが、外部より因子が持ち込まれた場合はその限りではない。

 外:外地、日本列島以外の土地。

 対話:話し合うこと、相互理解の手法。

 校庭:グラウンド、学術施設において運動をする目的で整地した土地。

 駄目になった:戦争神経症、シェル・ショック。

 授業:技術、知識の習得を目的とした指導、教育。

 聖書:言わずとしれたベストセラー本。

 英語:グレートブリテン島を中心に発達した言語体系。

 デンシ書籍:電子書籍、書籍の内容をデジタル方式で記録した物、専用の装置を介して閲覧出来る。

 教科書:学術的内容を分かやすく説明した物、書物。

 席:作業を行う為の椅子及び机。

 黒板:伝えたい内容を二次元で表現するための板。

 兵学校:民間人を兵士にする為の施設。

 オネツ:御熱、夢中になる、恋い焦がれるさま。

 レベルアップ:妖魔を倒して一定以上の経験値を積むこと、ゲームではスキルポイントが入手出来る。



 少年:ゲームの主人公、ゲームのステージをクリアする毎に准尉→少尉→中尉→大尉→少佐→中佐→大佐→准将→少将→中将→大将と進む

 少女達:ゲームのヒロイン

 空飛ぶ蛇:ゲームのヒロイン、ゲームでは主人公が少尉の時のイベントで説得すると少女になる。

 ファンファーレ:ゲームでレベルアップ時になる曲、音。

 スキル:ゲーム時の攻撃、回避、防御手段、スキルポイントを振ると効率が良くなったり、新しい能力が増えたりする。

 火の壁:スキル攻撃、一斉射撃、弾薬の消耗が早く、命中率が低い。ゲーム時は範囲攻撃。

 平和:ゲームのハッピーエンド、主人公はヒロイン全てと結ばれて大陸の奥地で生活する。残存する人類の多くは日本列島に移住する。

 ゲーム:マップ型ターン制の戦略RPG、クリアする毎に指揮出来る部隊数と生産出来る兵器の種類が増えていく、アダルトゲーム。


 ゲーム時、主人公は初めて着任した小隊で巡回中、傷ついた龍を発見し保護する。感謝した龍は人型になり以後主人公に懐く。主人公はその功績と龍の監視、監督の為中尉に昇進する。


 物語、神様転生を果たした主人公は原作知識に未来技術や特殊な能力など圧倒的な力を手に入れハッピーエンドを目指す。手始めに巫女の一族に介入したり、研究施設を破壊したりでヒロインを救う。意気揚々と乗り込んだ大陸ではゲームと違い命令に従わない部下に四苦八苦。それでも諦めずハッピーエンド目指して頑張ります。


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