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十月十八日(金) -6-

「しっかし、この一方的な文通も飽きるわよね」

 

 愚痴りつつ紙を広げる。

 周囲には焦げて崩れている部分があるが、それでも文字の書かれた部分は綺麗な状態だ。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


親愛なるアカデミーの皆様へ

 

 四人目の愚者がその屍を晒した。

 

 残るは二人。偉大なる愚者の屍が、私を導いてくれるだろう。

 

 動き出した運命は止められない。

 

 どんなに抗おうが、惰弱なる人の力では、私を止めるなどできようはずもないのだ。

 

 警告を無視し、私に挑もうとする者達よ。貴様らにできることなどない。

 

 無力さを噛み締め、ただ私の来訪を待つが良い。

 

 それが諸君らに残られた唯一の路なのだから。

 

                                 七人目より

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 


「リアル、挑もうとする者って私達のことかな? 警告っていうのは昨日の事件のことかな?」

「おそらくね。にしても相変わらずセンスの欠片もない文章だわ」

「前までの物と変わりないな。特に得られる情報はないか」

「あら、それは違うわ。今回の手紙と人形は沢山のことを示唆してくれてる」

「本当か?」

「失礼ね。アタシが嘘をつく人間に見える?」

 

 しれっと言い切るリアルに、ハチは苦笑を浮かべざるを得ない。

 リアルの嘘にいつも振り回されているのは、他ならぬ彼女なのだ。

 

「お前の人間性なんぞどうでもいい。何が解ったというのだ?」

 

 下らない話に付き合う気がないとばかりに、続きを促がす。

 

「来訪者がどうやって、この悪戯をしているのか。ううん、この表現は適切でないわね」

 

 リアルの言葉に真樹が怪訝な顔になる。

 

「来訪者がどうやって、悪戯の実行を指示しているか。それがやっと見えてきたわ」

「おい! 本当か!」

「はいはい。慌てないの。お楽しみはね、もったいぶってこそ価値があるのよ」

「貴様、何を下らないことを!」

「あはは、冗談よ。ちゃんと説明してあげるから、その前にアスリートさんを呼んでくれない?」

「今、風紀委員が事情聴取中だ。終わり次第連れて来てやるから、少し待ってろ」

 

 踵を返して、歩き去っていく。

 

 離れる大きな背中を見送っていたハチに、リアルが顔を向けた。

 

 その嬉しそうな表情を見れば、何を考えているかすぐに解る。

 

「待ってる間に、ハチには軽く頭の体操でもしてもらおっかな」

「やっぱり」

「さて、風紀委員長に言ったけど、今回の人形は多くのことを示唆してくれてる。この人形を見て、ハチにはどんなことが解る?」

「前までの人形より造りが荒い気がする」

「うん。かなり出来が悪い。燃やしちゃうんだから、丁寧に作る必要ないってみたいね」

「他に解ることがあるんだよね」

 

 ハチが人形をまじまじと見つめる。

 焦げた身体を、焦げた制服が包んでいる。なかなか痛ましい状態だ。

 しかし、どこか違和感を覚える。

 しゃがんで、シャツのあまり燃えてない部分をめくった。

 下の肌に当たる部分は、黒く焼けた跡がある。

 

「人形は焦げてるのに、服は大丈夫な部分がある。これって人形と服を別々に燃やしたってことだよね」

「正解よ。でも、それだけじゃないわよ。他にも特徴があるの」

「あ、背中の方がお腹よりも焼けてる」

「正確には片側だけが良く焼けてるってこと。つまり?」

「下側に燃える物。紙とかを敷いて火をつけたんだね。あっ」

 

 ハチが人形を少し持ち上げる。茶色の土が見えた。

 

「焦げ跡もないし、燃やした物もない。ここ以外の場所で燃やして運んだんだね」

「どこで人形を焼いたと思う?」

 


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