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十月十一日(金) -17-

 上は純白の白い半袖シャツ。控え目に膨らんだ胸元には園峰そのみねと書かれたゼッケンが縫いつけられている。

 下は大腿部を露出したデザインのスクールショーツ。

 両手にはピンクのポンポンを握っている。

 

 唖然とするリアルの前で、ポンポンが胸元、ゼッケンを隠す位置まで移動する。

 

「がんばれ、がんばれ。リ・ア・ル! がんばれ、がんばれ。リ・ア・ル!」

 

 前後上下にリズミカルにポンポンを揺らしながら、小さくジャンプを繰り返す。

 

 呆けるリアルに、ミノリが不安気な顔になった。

 

「本に応援のダンスっていうのが載ってて、やってみたんだけど。気に入らなかった?」

「ううん、嬉しかったよ。元気を貰ったから。頑張ろうって気力が、もうばっちり」

「ホント? じゃあ良かった」

 

 ほっとすると同時に小さく咳き込んだ。

 

「そんなカッコしてるからよ。もう朝晩は冷えるようになって来たんだから」

 

 身体を支えつつ、座布団を出して座らせた。

 

「ありがと。ごめんね。私、身体弱くて」

「身体よりも頭の方が弱い気がするけどね」

「相変わらず口が悪いんだから」

「褒めてるつもりなんだけど」

「うん。解ってる。親愛表現がちょっと捻くれてるだけだよね」

「至って素直なんだけどな。とりあえず、お茶出すから待っててね。暖房入れよっか?」

「ううん、大丈夫だから。ありがと」

 

 数分後、台所から湯呑みとお茶菓子の乗ったお盆を手に、リアルが戻ってきた。

 

「で、どんな事件なの?」

 

 瞳を輝かせるミノリに苦笑を浮かべつつ対面に座る。

 

「そんな面白い話でもないわよ。あのね……」

 

 ここ数日の出来事を掻い摘んで説明した。

 

「すっごくミステリアスで怖くなる事件だよね」

「そう? ただの質の悪い悪戯よ」

「リアルって夢がないよね。乙女にメルヘンは必須なんだよ」

「アタシはリアリストなの。っていうか、その口ぶりだとアンタも『七人目の来訪者』って聞いたことないのね」

「うん。初めてだよ」

「七不思議なのに、昔からのもんじゃないってことか。ちょっと気になるわね」

 

 人形のポケットにあった手紙の内容を思い浮かべる。

 

「ミノリ、ちょっと頼まれて欲しいんだけどいい?」

「もちろん。親友の頼みを断るはずないじゃない」

「ありがと。何人かの生徒が、連続して事件や事故に巻き込まれたって話があったか調べて欲しいの」

「時間が掛かるかもだけど」

「来週の月曜、いや火曜日に解る範囲でいいから」

「うん、解った。任せて」

「いやあ、持つべき物は親友ね。アンタがいてくれると助かるわ」

 

 安心したリアルが足を崩した。と、途端にミノリが眉を潜める。

 

「ダメだよ、リアル」

 

 いきなりのダメ出しに珍しくリアルが戸惑う。

 

「女の子がそんな風に足を組んで座っちゃダメ。しかもスカートで。下着が見えたらどうするの」

 

 だらしなく座ったリアルとは違い、ミノリはきちんと正座だ。

 

「大丈夫よ。アタシの部屋なんだし……」

「心構えを言ってるの。女性たる物、常に慎み深く……」

「って、その格好で言われてもなぁ」

「こ、これは」

 

 シャツにブルマーという姿では、行儀良く座っていても、慎みという言葉にはほど遠い。

 

「折角だしさ、夕食を食べながら、慎みってのについて、ゆっくりディスカッションしよっか」

 

 意地悪な笑みを浮かべてリアルが提案した。

 

 

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