なーろっぱ世界の短編 婚約破棄とか聖女とかドアマットとか転生とか
わたしは強くて意地悪
わたしの屋敷の庭での交流日、
「君は強い人だから、ひとりでも大丈夫だろう。だけど、あの子は」
わたしは溜息をついた。
「つまりそれは婚約者であるわたしへの裏切りですね」
「いや、オレは穏便に、君は大丈夫だろうと」
確かに大丈夫。
今、目の前の男への何かは消滅した。
だけど、それとこれとは別。
わたしは繰り返した。
「それは裏切りですね。浮気ともいうかしら」
「君が騒がなければ。だって君は――」
「わたしは強い人、なのでしょう? ですから徹底的にあなたを叩き潰します」
彼は青ざめました。
「き、君はオレと長い間、婚約者で――」
「ですからご存じなのでしょう。わたしが強い人間だと。あなたが都合のいいところだけが強いわけではありませんの」
「そんな! それは強いのじゃなくて意地が――」
「ふ。自分の都合いい部分は強い、都合の悪い部分は意地が悪い。はは、便利ですね。言葉は」
わたしは、執事に言った。
「彼はお帰りよ」
執事はうなずくと、がっしと彼の肩をつかんで、ひきずりだした。
「は、話し合おう! な、だ、オレは――」
何かわめいていたが無視。
わたしは侍女に言った。
「徹底的にやるわ。弁護士を呼んで来て。あと、御父様にも至急」
侍女はうなずいた。
わたしは強い人だという。
うん。かなり正しい。
意地が悪いらしい。
うん。それも正しい。
だって、あの元婚約者が、泥棒猫と一緒に、どんなふうに泣きわめくかが楽しみで仕方ないんですもの。
「うふふ」
たくさんの作品の中から、本作をお読みいただきありがとうございました。
最後までお付き合いいただけたこと、とても嬉しく思います。
少しでも心に残るものがあったり、何かを感じていただけたなら、
評価や感想をいただけるととても励みになります。
別の物語も書いておりますので、もしよろしければ、そちらも覗いてみてください。




