愛・鍵・金・♂
今日は月曜! 月曜真っ黒シリーズです!
※ Air Diorってすっごくプレミアが付いているスニーカーだそうです。
その日はカノジョの誕生日。
でも、カノジョは卒論の追い込みで1日部屋で缶詰の筈だから……
ボクはサプライズをするつもりで会社を午後半休にした。
途中、デパートの中のアンリ・シャルパンティエと日比谷花壇で注文して置いたケーキと花束を受け取り、電車を乗り換えて彼女の住むマンションへ向かった。
合い鍵まで持たされているボクはもちろんエントランスは無問題。
はやる気持ちを抑えてエレベーターを待つ。
午後のまったりとした時間のせいか他に乗る人も無く、ボクは『7』を押して昇りゆくエレベーターの中で深呼吸した。
カノジョの部屋の前に立つと、多分排気口からなのだろう。
カノジョのバスルームの芳香が漂っている。
ボクは想像する。
湯上りのカノジョが少し顔を赤らめている様を
そしてカノジョの左の薬指には
3日前の日曜日にプレゼントしたばかりの
ピンクゴールドのヴァイパー リングが輝いているのを。
ボクは手に持った合い鍵を鍵穴に差し込み慎重に回す。
ここで気付かれたら台無しなので紙袋の音も立てない様、そっとドアを開ける。
「靴を脱ぐ時も充分注意して」と視線を下に落とすと……
信じられない物が目に飛び込んで来た!
そこには……
去年ボクがカノジョにプレゼントとしたFERRAGAMOのリボンパンプスが乱れ脱がれていて
事もあろうにその上に……踵が踏み潰された巨大なAir Diorが乗っかっている。
それは……バスルームの芳香がする直前までこの部屋で『何が行われていた』のかを如実に表していて……
ボクはしばし呆然としていたが……
バスルームから反響するカノジョの嬌声で我に返った。
ボクは後ずさりしてそっとドアを開け、この“悪夢”の外へ出た。
きっと、ボクとでは……決して聞く事ができない声を……カノジョは上げるのだろう。
ボクはズンズンと駅へ引き返し
グシャグシャになったケーキと花束をゴミ箱へ投げ、スゴスゴと自分のアパートへ帰った。
ボクがせめてできるのは……全てを着拒にし、カノジョの住所を認めた封筒へ合い鍵を入れて投函する事ぐらいだった。
おしまい
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