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【癒やし】蒼龍くん物語 〜小さな龍と学ぶ、心を調えるための「禅の智慧」〜  作者: 佐藤 堅明
第1章:気づきの門(第1〜12話)

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第8話:何者かにならなくていい。蒼龍くんと「無事是貴人」

こんにちは、佐藤堅明です。


「もっと成長しなきゃ」「もっと成果を出さなきゃ」 私たちは、常に何かに追い立てられるように生きています。


でも、本当の幸せは「何かを得た先」にあるのではなく、意外と「今、この場所」に静かに座っているのかもしれません。 今日は、蒼龍くんと一緒に「何もしない尊さ」について考えてみましょう。

「一期一会」の教えを胸に、毎日を大切に過ごしていた蒼龍くんは、ふと、新しい目標を立てたくなりました。

(僕はもう、いろんな教えを学んだ。次は、もっと修行を積み、誰にも負けない偉大な龍にならなければ!)


蒼龍くんは、荒波を越える強い力と、遠くの真理を見通す鋭い目を求めました。彼は毎日岩を運び、遠くまで飛ぶ練習を続けました。


ある日の昼下がり、蒼龍くんは海辺にある岩の上で休息していました。

彼は、自分の修行が足りないことを残念に思い、ため息をつきました。

「はぁ…。僕には、もっと大きな力が必要だ。もっと高価な宝が必要だ。もっと強靭な体がなければ、僕は『最高の修行者』にはなれないんだ…」


そのとき、隣の岩に、玄龍さまが静かに座っていました。

玄龍さまは、ただ穏やかな波の音を聞きながら、遥か水平線を眺めています。


蒼龍くんは、玄龍さまに尋ねました。

「玄龍さまは、何も持っていらっしゃらないのに、どうしてそんなに穏やかなのですか? 僕には、求めるものがたくさんあって、心が落ち着きません。」


玄龍さまは、目を閉じたまま、優しく答えました。

「蒼龍よ、おまえは『最高の修行者』になろうと、何かを足そう、足そうとしている。だが、本当に尊い心とは、何かを足す必要のない心なのじゃ。」


玄龍さまはゆっくりと目を開けました。

「よく見なさい、蒼龍よ。今、おまえの周りには何がある?」


蒼龍くんは見渡しました。

そこには、ただただ青く穏やかな海と、白い雲が浮かぶ空、そして、優しく微笑む玄龍さまがいました。

「『無事是貴人ぶじこれきにん』とはのう。あれが足りない、これが欲しいと、外に求める『こと』がない状態。特別に何かを成し遂げようとしない、平穏な心こそが、最も尊い『貴人とうといひと』の境地なのじゃ。」


蒼龍くんはハッとしました。

(そうだ。「知足」で、僕は満たされているはずなのに、また「もっと」と求めて、心を乱していたんだ…)


彼が求めていた「偉大な龍」とは、強い力や多くの宝のことではなく、「どんな状況でも、心が平穏で、満たされている龍」のことでした。


蒼龍くんは、肩の力を抜き、波の音と潮の香りを深く吸い込みました。

「僕には、今、この海と、空と、玄龍さまの教えがある。求めるものが、もう何もなかったんだ。」


特別な力も、高価な宝も、余分な願いもいらない。

今、この瞬間の穏やかな心こそが、何物にも代えがたい最高の宝物であると悟った蒼龍くんでした。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。


無事ぶじこれ貴人きにん」。 禅語での「無事」とは、単に事故がないことではなく、「外に向かって求める心がまったくない状態」を指します。


特別な能力がなくても、大きな成功を収めていなくても、ただ「今、ここにいる自分」で満足し、穏やかでいられる人こそが、最も貴い人であるという教えです。


忙しい毎日の中で、ほんの数分だけでも「何者でもない自分」に戻る時間を持ってみてください。 波の音を聞く蒼龍くんのように、あなたの心にも静かな光が宿るはずです。


次回の蒼龍くんは、捨てることの難しさを痛感するお話です。

合掌


佐藤堅明


※本作は現在、「曹洞宗 蒼龍寺」のFacebookでも同時連載中ですが、こちらの『なろう』版ではより読みやすく整えてお届けしています。まずはFacebookの最新話に追いつくまで、毎日更新を続けてまいりますので、楽しみにお待ちください。


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