表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【癒やし】蒼龍くん物語 〜小さな龍と学ぶ、心を調えるための「禅の智慧」〜  作者: 蒼龍 堅明
第3章:悲しみの咆哮・黒龍激闘編(第25~36話)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

28/29

第28話:救いの眼差し。蒼龍くんと「慈眼」の誓い

相手を「敵」だと思って見れば、相手の欠点ばかりが目につきます。 しかし、相手を「傷ついた存在」として見ることができれば、そこにはまた違った真実が見えてきます。


圧倒的な闇を纏う魔王・黒龍。 彼を力でねじ伏せるのではなく、その心の奥底に眠る「優しさ」をもう一度呼び覚ますために。 蒼龍くんは、お師匠さまから授かった究極の眼差しを開こうとします。

黒龍の居城が近づくにつれ、空気は刃物のように冷たく尖っていきます。 蒼龍くんは、先ほど思い出した黒龍の悲劇的な過去が頭から離れませんでした。

(裏切られ、傷つき、力に逃げるしかなかった黒龍……。今の彼には、世界はどう見えているんだろう)


ふと、蒼龍くんは玄龍さまから教わった『慈眼じげん』という言葉を思い出しました。

「蒼龍よ。慈しみの眼差しで世の中を看れば、たとえ泥沼の中でも、救いを待つ命の輝きを見つけることができる。それが慈眼視衆生じげんじしゅじょう、すべての命を我が子のように愛しむ心じゃ」


玄龍さまのおとぎ話では、かつての黒龍の眼差しは、今の冷徹な魔王のそれとは全く違っていたといいます。そこには、生きとし生けるものの痛みを受け止め、包み込むような深い優しさがありました。村の長老たちも、かつての守護神が湛えていた、あの春の陽だまりのような瞳を今も懐かしんでいました。


しかし、今の黒龍の瞳からその光は消え、代わりに「拒絶」と「不信」の闇が居座っています。かつての慈悲深い眼差しは、誰からも傷つけられないための「監視」の眼へと変わってしまったのです。


「慈眼……。お師匠さま、僕にその眼が持てるでしょうか。自分を殺そうとした相手さえも許さなければならない、本当の慈しみの眼差しが……」


蒼龍くんは、自分の未熟さを噛み締めながらも、心に決めました。

「黒龍を力でねじ伏せるんじゃない。彼が捨ててしまった、その『慈眼』をもう一度取り戻させるために、僕は行くんだ」


北の空に浮かぶ暗雲の隙間に、一瞬だけ、かつての黒龍の瞳のような穏やかな月光が差し込みました。それは、これから始まる決戦が、単なる憎しみの連鎖や、命の奪い合いではないことを示唆しているようでした。

後書き

慈眼じげん」とは、相手の「敵」というラベルを剥ぎ取り、その奥にある「痛み」をありのままに看る、峻烈な覚悟の眼です。


憎しみのフィルターを外して相手を直視することは、自分自身の焦りを削ぎ落とし、心に「余白」を作る作業でもあります。


次回、決戦を目前にした蒼龍くんが選んだのは、意外な「心の整え方」でした。お茶の香りの向こうに、真実を看据えます。


合掌

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ