第21話:星空への誓い。蒼龍くんと「寸心千古」の灯火
こんにちは、佐藤堅明です。
大きな仕事を成し遂げたときや、人から褒められたとき。 私たちの心はついつい高揚し、大切なことを見失いそうになります。
影龍を倒し、村の英雄となった蒼龍くん。 称賛の嵐の中で彼が一人見上げたのは、数千年前から変わらぬ星空でした。 一瞬の心を、永遠の価値に変えるための教えを紐解きます。
三鱗龍の一人、影龍を打ち破ったことで、村にはかつてない活気が戻っていました。 「ありがとう、蒼龍くん!」「君こそ本物の英雄だ!」 村人たちの称賛の声が止むことはなく、蒼龍くんの心は誇らしさと、ほんの少しの得意げな気持ちで満たされていました。
村の喧騒から少し離れ、蒼龍くんは一人、村外れの丘に座り「初心のノート」を広げました。 激しい戦いの中で、心とともに磨き上げたそのノート。ボロボロになりながらも、そこには確かに『世界中の人を笑顔にしたい』という文字が刻まれています。
(僕はやったんだ。影龍を倒して、みんなを笑顔にできた。……でも、これですべてが終わったわけじゃないんだよね)
ふと見上げると、夜空には数千年前から変わらずに輝き続けているであろう、無数の星々が広がっていました。 その果てしない時間の流れに比べれば、自分が今成し遂げた勝利も、抱いている喜びも、ほんの一瞬の出来事に過ぎません。
『寸心千古』……玄龍さまが言っていたな。 「一瞬の小さな志であっても、それが真実であれば千年の時を超える価値を持つのだ」と。
蒼龍くんは、手のひらの中に小さな、けれど決して消えることのない「決意の炎」を灯しました。 それは、称賛されて浮き足立つ自分を戒め、この旅の本当の目的を忘れないための静かな誓いの火でした。
「たとえこの先、もっと強い敵に打ちのめされても。たとえ僕が年老いて動けなくなっても。このノートに書いた『誰かを救いたい』というこの一瞬の心だけは、永遠に汚さずに持っていよう」
彼がそう心に決めた瞬間、手のなかの小さな炎は、星空に負けないほどの純粋な輝きを放ちました。 一瞬の決意が、千年の時を貫く揺るぎない信念へと変わった瞬間でした。
その夜、村の平和を守り抜くという「寸心」を胸に刻み、蒼龍くんは深い眠りにつきました。
しかし、その穏やかな夜の向こう側では、次なる刺客……「三鱗龍」の第二の龍が、蒼龍くんのその心をへし折ろうと、牙を研いで待ち構えていたのです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
「寸心千古」。 私たちの命や、抱く感情は、長い歴史から見ればほんの一瞬の「寸心」に過ぎません。
けれど、その一瞬に込めた真心や、純粋な志は、肉体が滅びても、時を超えて誰かの心に灯り続けます。それが「千古」に続く価値となるのです。
自分の成し遂げたことに奢らず、ただ「志」の純粋さを守ろうとする蒼龍くん。 その光が強まれば強まるほど、魔王の軍勢もまた、彼を放っておかなくなります。
次なる刺客は、一体どんな能力で蒼龍くんを追い詰めるのか。次回もお楽しみに!
合掌
佐藤堅明
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