第19話:迷いを断て! 蒼龍くんと「驀直去」の決意
こんにちは、佐藤堅明です。
「もし失敗したら?」「自分には無理じゃないか?」 何かに挑戦しようとするとき、私たちの心には無数の「迷い」が生まれます。
けれど、本当に大切な局面では、その迷いこそが最大の敵になることもあります。 影龍の圧倒的な闇を前に、蒼龍くんが選んだのは、計算も損得もすべて捨て去る「まっすぐな道」でした。
吹き飛ばされた屋根の破片が舞い散る中、蒼龍くんの前に降り立ったのは、闇そのものを纏ったような龍、三鱗龍の一人「影龍」でした。
「光の花などという小細工で、我らの闇が払えると思ったか?」 影龍が鋭い爪を振るうたび、どす黒い衝撃波が放たれ、せっかく咲いた光の花々が次々と散っていきます。 蒼龍くんは必死に身をかわしますが、先ほどまでお茶を楽しんでいた心の緩みが、わずかな反応の遅れを生んでいました。
「……くっ、体が重い……!」 恐怖と焦りが足元をすくいます。 村人たちの悲鳴が耳に届き、蒼龍くんの心は「どうしよう」「勝てるわけがない」という迷いでバラバラになりそうでした。
その時、脳裏に玄龍さまの厳しい叱咤が響きました。 『蒼龍! 迷うな! 余計な分別を捨てて、ただ成すべきことへ突き進め!』
蒼龍くんは、飛んでくる瓦礫を真っ向から睨み据えました。 (そうだ。強いとか弱いとか、勝てるとか負けるとか、そんなことを考えているから足が止まるんだ。今の僕がすべきことは、この村の人々を守るために、あの影龍へ向かっていくことだけだ!)
彼は大きく息を吸い込み、地面を強く蹴りました。 「『驀直去』! ……脇目もふらず、ただ真っ直ぐに行く!」
迷いを捨てた蒼龍くんには、影龍の放つ闇の波動さえも、もう怖くはありませんでした。 あれこれと計算し、損得を考える「迷いの心」を捨て去った瞬間、彼の体は矢のように一本の光の筋となって闇の中を突き進んでいきます。
「な、何だと!? 我が闇の圧を、これほど真っ直ぐに押し返してくるとは!」 影龍が驚愕に目を見開きました。
一直線に放たれた蒼龍くんの渾身の体当たりが、影龍の胸元に直撃すると、闇の衣が弾け飛び、影龍は後ろに吹き飛びます!
しかし、吹き飛ばされながらも影龍は不気味に口角を上げました。 「ふふふ……いい一撃だ。だが青二才よ、よかろう。私を倒したくば、後を追ってこい……ただし無事に帰れるとは思わぬことだ……」
その言葉とともに影龍は深い闇の底へと姿を消しました。 そして静けさが戻ったその場所で、蒼龍くんは拳を握りしめたまま立ち尽くしていました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
「驀直去」。 「まっしぐらに行け」という意味の禅語です。
私たちは「正しい道」を探そうとして、あれこれと考え、結局一歩も動けなくなってしまうことがあります。 けれど、時には「これが自分のやるべきことだ」と信じ、雑念を捨てて突っ走ることが、現状を打破する唯一の鍵になるのです。
影龍は去りましたが、これはさらなる激闘の幕開けに過ぎません。 蒼龍くんの追撃戦。果たして、闇の底には何が待ち受けているのでしょうか?
合掌
佐藤堅明
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