第15話:未知の恐怖に打ち勝つ「一歩」の智慧
こんにちは、佐藤堅明です。
住み慣れた場所を離れ、未知の世界へ進むとき、誰だって足がすくむものです。 蒼龍くんもまた、得体の知れない気配を前に、恐怖に震えます。
勇気とは、恐怖を感じないことではありません。 恐怖を感じながらも、大切な何かのために踏み出すこと。 蒼龍くんの決意の一歩を、どうぞ見届けてください。
川での「洗心」を終え、心も鱗もピカピカになった蒼龍くんは、いよいよ見たこともない深い森の境界線に立っていました。 目の前には、どこまでも続く一本の道が伸びています。 (ここから先は、もう玄龍さまのお山じゃない。本当の、未知の世界なんだ……)
ふと足を止めると、旅立ちの時にノートに書き殴った「悪党をなぎ倒す必殺技!」なんていう威勢のいい言葉が、急に幼く、無謀なものに思えてきました。 もし本当に恐ろしい怪物が現れたら? もし二度とお山に帰れなくなったら? 一度生まれた不安は、冷たい霧のように蒼龍くんの足元にまとわりつきます。
その時、道の向こうから、黒いマントを羽織った奇妙な二人組が走り去っていくのが見えました。 「ひっひっひ、あの方の計画通りだ。この先の村の『活力』を吸い尽くせば、我らが主、黒龍様もさぞお喜びになるぞ!」 不吉な笑い声とともに、彼らが通り過ぎた後の草花はみるみる萎れ、黒く変色してしまいました。
(……黒龍様? 村の活力を奪う? 僕と同じ龍なのに、人々を苦しめようとしているの?) 蒼龍くんの胸に、静かな、けれど熱い火が灯りました。
恐怖が消えたわけではありません。けれど、困っている誰かがいると知って、ここで立ち止まるわけにはいかないのです。 「千里の道も、まずは目の前の土を踏むことからだ。……よし!」 蒼龍くんはギュッと拳を握り、力強い眼差しで前を向きました。
左足を引き上げ、しっかりと地面を捉える。 「『一歩』。迷う暇があるなら、まずは踏み出してみよう」
彼が踏み出したその一歩は、小さな龍が「正義の味方」へと変わるための、大きな大きな一歩でした。
背後の山が遠ざかり、蒼龍くんは黒い霧が漂う未知の村へと、迷わず進んでいきました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
「千里の道も一歩から」という言葉がありますが、その「最初の一歩」を出すのが一番勇気のいることです。
仏教には「歩歩是道場」という言葉もあります。一歩一歩、その足跡すべてが修行の場であり、真実の道であるという意味です。
先のことばかり考えて不安になるよりも、今、自分の足が地面を捉える感触に集中する。 そうすれば、自ずと道は開けていくのかもしれません。
次回の蒼龍くんは、黒龍の影が忍び寄る村で、蒼龍くんを何が待ち受けているのか。
合掌
佐藤堅明
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