2イライラ
気温20°、春の陽気の中、達郎と千代子が向き合っている。
今日は3月の24日。
今日誕生日の芸能人は、綾瀬はるか、天野ひろゆき、原田泰造、くわばたりえ 等がいらっしゃる。
気温20°と言うと、服装的には薄手のカーディガンやストール、ニットなどの長袖がいいだろう。千代子が着ているのは、
SBtongと言うメーカーの鼠色のシフォン・シャツ。
ちなみに鼠色と、グレーの差は何かと聞かれると、
若干青みが強いのが鼠色らしい。何が言いたいのかと言うと、少し寒そうだった。
人間は、中枢体温が35°以下に下がると、強烈な震えと手足の感覚の鈍化、唇や指先が青白くなり、
集中力は低下する。さらに体温が低下すると意識の混濁、幻覚を見はじめ、心拍不正、瞳孔反応の消失が始まり、最悪の場合、死に至る。
つまり、低体温症に陥る。
体温低下のリスクはそれだけではない。免疫力が下がり、風邪、インフルエンザなどの感染症のリスクが高まり、
これも最悪の場合死に至る。
そのほか、循環器系にも負荷がかかり、高血圧、心筋梗塞、脳卒中のリスクが増大。死に至る。
脳が冷やされると、神経伝達の遅れが生じ、感情や判断に鈍りが出る。
達郎は千代子の体を心配した。
それで思いついた。
寒くないかい? これはいいかもしれない。
寒くないかい? と言うセリフが出てくる代表的な映画は、山崎貴監督、西岸良平原作の、オールウェイズ3丁目の夕日で、
登場人物の心の交流、主に近所付き合いが温かく描かれる中で、こんなセリフが出てきたような気がした。
達郎が、この映画を見たのは確か、2005年の11月10日。
地元の映画館だった。
この年の月末におきたことといえば、メルケルさんがドイツ連邦首相に就任したことと、
日本の歌舞伎がユネスコの無形文化遺産に登録されることが決まったことだったが、
どちらも達郎にとって関係がなかった。
そもそもオールウェイズと言う映画自体が、今の達郎、千代子に及ぼす因果に何ら影響が無かったことに気がついた。
突然だが、千代子は、2月1日生まれの水瓶座で、血液型はO型だ。
2月1日生まれ水瓶座、O型の女性は、一般的に発想力が豊かで固定概念に縛られない性格をしており、
一見クールだけど内面は情熱的で、
仲間意識が強く、人を喜ばせたいという気持ちが強い。
こういったタイプの女性は、作家、コピーライター、脚本家、心理学者、ラジオパーソナリティーに向いている。
そして水瓶座というのは、英名はAquarius。
エレメントは風(知性、情報、交流)
対応部位は、すね、足首、血液循環だ。
エレメントが風というのは、
自分で言っておいて何だが、どういう意味なのかよくわからない。そういえば先ほど風が吹いたが、それは千代子のエレメントと関係があるのだろうか?
おそらく、ない。
そして、これらの情報がどう今の状況と関係しているかというと、
どれも関係していない。
千代子は、なかなか喋らない達郎を前に、不思議そうな表情を浮かべていた。