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第17話 翠嵐の刃姫 ザフィロナ(中編)

「なっ!何を言っているの!?」


「……?」


龍香は驚くが、悠斗は頭を傾げていた


「……」


里音は静かに前に進む。進む先には、無数のスート兵。鋭い爪を振り上げ、声を上げながら、じりじりと里音へとにじり寄る


「数が多い……でも、問題ない」


里音はゆっくりと右手を掲げる


「魔人武装!!」


雷の模様が刻まれた金属製のペンダントが輝き、一瞬光に包まれ、彼女の姿は大きく変わった


蒼雷そうらい騎士きし煌刃こうじん!!」


閃光と共に蒼と金の鎧が彼女の身体を包み込み、背中には稲妻のような紋様が浮かび上がる。頭には鋭い角を模した兜が現れ、右手には雷を帯びたレイピア「雷影らいえい」が握られていた


「…さあ、行ましょうか!!」


次の瞬間、里音の姿は掻き消えた。雷光の軌跡を残しながら、一体の敵の懐へと飛び込む


連雷突れんらいとつ!」


雷を纏わせた超高速の連続突きを繰り出し、敵の防御を貫通する。だが、残りの敵はひるむどころか、さらに殺気を強めて襲いかかる


「……こんなもんじゃ足りないのですね」


次々と迫る敵の群れ。そのうちの三体が同時に爪を振り下ろした。しかし、里音はそれを軽くいなすと、素早く背後へ回り込む


雷閃迅影らいせんじんえい!」


レイピアに雷の魔力を纏わせ、一瞬で敵の懐に踏み込み、雷の速度で十数回の突きを繰り出す。最後の一撃が炸裂すると同時に、敵の体内で雷が爆発し、消滅していくスート兵


「まだまだ!」


残りの敵も一斉に襲いかかる。里音は地面を蹴り、空中へ跳躍。そこから雷剣を掲げ、全身に雷の魔力を纏わせる


闇雷轟滅あんらいごうめつ!」


剣が振り下ろされると同時に、黒い雷が地面を這うように奔り、敵を巻き込んで爆発を引き起こした。闇と雷が融合したその威力は凄まじく、衝撃波が周囲にまで広がる。爆煙が晴れると、すでに十体以上の敵が消え去っていた


「ふう……あと半分」


残る敵たちは、明らかに警戒していた。しかし、里音は一歩も引かない。レイピアを構え、冷たい笑みを浮かべる


「すごい……」


悠斗は里音の強さに驚いていた


「信じられない…里音ちゃんが…」


龍香はただただ驚いている


「なんでそんなに驚いてるの?」


「里音ちゃんは頭脳明晰なんですが、戦闘の方は、全然ダメなんです」


「彼女が!?」


「はい……だから今も信じられないです……それに、魔人武装まで」


「(この驚き方…相当な事みたいだな)」


悠斗は察した


「……これで全部、かな?」


周囲を見渡すと、すでにスート兵が里音の手によって全員倒された


「思ったより、手応えはなかったかも」


そう言いながらも、里音の表情には微かな満足感が浮かんでいた


「里音ちゃん!」


「はい?」


振り返ると、龍香と悠斗がいた


「大丈夫だったの?」


「ええ……でも……ごめんなさい」


龍香は心配そうな表情を浮かべる。そんな彼女に里音は頭を下げた


「えっ?どうして謝るの!?」


「私がもう少し早く戻っていれば…お二人を危険な目に……」


その言葉に龍香は思わず苦笑する


「何言ってるの?全然気にしていないよ……」


そして優しく語りかける


「龍香さん」


「これからも、一緒に戦って行こう」


「はい!!」


二人は手を取り合う


「っ!?…伏せろ!!」


悠斗の声に二人は頭を下げる。そして風の刃が通り過ぎた


「……二人とも、まだ終わってないよ」


視線を向けると


「……外れた」


回復したザフィロナが立っていた


「もう回復したのか」


悠斗は苦々しい表情で呟く。ザフィロナは再び風の刃を放つが、3人は難なく避ける


「(里音ちゃんのおかげで、だいぶ体力を温存できた……でも)」


龍香の表情に焦りが見える


「(……3人になったのはいいけど、ザフィロナを倒せるか分からない。だったら……)」


龍香は意を決して口を開く


「悠斗さん!里音ちゃん!私が囮になります!」


その言葉に、二人は驚愕する


「龍香さん!?何を言ってるの!?」


「里音ちゃんが戦っている間、私はずっと考えていました。どうすれば勝てるか」


3人はザフィロナと対峙する。ザフィロナは余裕の笑みを見せる


「いいよ!3人でかかってきても!」


ザフィロナは両手を広げる。その挑発的な態度に、龍香は覚悟を決めた


「……二人とも、私が囮になるから、その間にザフィロナを倒してください」


「龍香……」


里音は冷静に答える


「わかりました。でも無理しないでくださいね」


「ありがとう……じゃあ行くよ!!」


龍香は盾を構え、ザフィロナに向かって突撃する


「はあぁぁぁぁ」


「貴方から切り刻んであげる」


風の刃が龍香に襲い掛かる


「私たちも行きましょう」


里音は動き出す


「……これを使うか」


悠斗はデバイスを取り出す


「……ドゥルガニス…お前の武器、借りるぞ!」


悠斗はダイヤルコードを入力する


『ウェポン・ドゥルガニス』


音声と共にディバイスが再び強い光を放ち、悠斗の右手首にドゥルガニスの武器である『手甲剣』が装備された


「……よし」


軽く素振りし、動作を確認する


「……行くぞ!ザフィロナ!!」


悠斗も向かって行くのであった

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