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第16話 翠嵐の刃姫 ザフィロナ(前編)

「ヴェルデダイヤ団!?あなた…妖魔軍団インデックスの」


「まさか、ここで現れるなんて……」


龍香と里音が愕然として呟く。ザフィロナは不敵に笑うと、悠斗を見る


「あなたが賢者様が言っていたターゲットね!早く私と戦おうよ!!」


無邪気に笑うザフィロナ


「……っ!」


悠斗は戦う体制を整えようとする


「待ってください……あそこに!」


里音が指差した先には、崩れた建物の影に怯えるように身を潜める民間人の姿があった。親子連れのようで、小さな子どもが母親にしがみついている


「……民間人!? こんなところにまだ残っていたなんて!」


「まずいな……このまま戦ったら巻き込まれる!」


一瞬の間に状況を把握した龍香は、すぐに里音に向き直り、彼女の肩に手を置いた


「里音ちゃん! あの親子を安全な場所まで避難させて! ここは私たちに任せて」


龍香の真剣な瞳に、里音は少しの逡巡を見せながらも静かに頷いた


「了解です。必ず安全な場所まで連れて行きます」


そう言うと、里音はすぐに民間人の元へ駆け寄った


「大丈夫ですか?今から安全な場所までご案内します」


母親は怯えた様子で頷き、子どもをしっかり抱きしめた。里音は慎重に周囲を見回し、敵の気配が及ばないルートを即座に判断する


「この道を進めば、安全なルートに出られます。さあ、私の後ろについてきてください」


親子が里音の指示に従い、慎重にその場を離れる。里音の胸には緊張が走りつつも、彼女の瞳には確かな使命感が宿っていた


「逃がさない!」


ザフィロナは再び腕を振り、風の刃が襲う


「っ!?魔人武装!!」


悠斗は魔人武装し、武器でガードする


「悠斗さん!!」


龍香も魔人武装し、悠斗に近づく


「大丈夫?」


「ああ」


「貴方の相手は私たちがするわ」


二人はザフィロナ対峙する


「私と戦うつもり?」


ザフィロナはそれを見て


「二人がかりでいいよ」


挑発するように笑うザフィロナに龍香は怒りの表情を見せる


「舐めないで!!」


龍香は同時に武器を構え、突撃する。ザフィロナは余裕の笑みで迎え撃った




「……ここまで来れば大丈夫です」


その頃、里音は民間人を連れて安全な場所まで避難していた


2人は息を切らしながら、その場にへたり込む


「はぁ……はぁ……ありがとうございます」


里音は民間人を無事に避難させ、安全な場所で仲間に引き渡していた。親子の感謝の言葉を聞きながら、里音は小さく頷く


「これ以上、危険な場所には近づかないでください。ここから先は私たちに任せてください」


それを言い終えると、里音はすぐさま戦闘現場へ引き返した


「(龍香さん、悠斗さん……どうか無事でいてください)」


心の中で祈りながら、里音は走り去る




「それ!」


一方、その頃、龍香と悠斗はザフィロナを相手に激しい戦闘を繰り広げていた


「(くっ……強い!!)」


「流石だね!でもまだまだだよ!!」


ザフィロナは余裕の笑みを見せながら風の刃を放つ


「っ!」


二人はそれを必死に防ぎつつ反撃の機会を伺うが、ザフィロナの動きに翻弄されてしまう


「ほらほら!もっと楽しもうよ」


フィロナはさらに攻撃の手を強める。二人は防戦一方になりつつあった


「このままじゃまずいわ……」


龍香は焦りを滲ませた表情で呟く。その時、ザフィロナが龍香に迫った


「隙あり!!」


「しまっ!?」


ザフィロナは風の刃で斬りつけようとした。その瞬間、悠斗が龍香を庇い、ザフィロナの攻撃を受け止める


「悠斗!」


「くっ……させるか!!」


悠斗は武器を振り上げて反撃するが、素早い身のこなしでかわされてしまう


「無駄だよ!!そんな攻撃当たらないって!」


「くっ……」


悠斗は歯嚙みしながら、再びザフィロナに向かっていくが、攻撃は全て避けられてしまう。そして、逆に反撃されてしまう


「これで終わりだよ!!」


ザフィロナは高くジャンプすると風の刃を無数に放った


「くっ……(避けられない!)」


思わず身構える悠斗だったが


「っ!?」


龍香が盾でガードする


「……この!!」


悠斗は矢を放つ


「……残念」


ザフィロナの周囲に風が発生し、矢を弾かれる


「(やっぱり厄介だな…)」


悠斗はザフィロナの特殊能力に苦悶の表情を浮かべる。ザフィロナの特殊能力の一つ【嵐の障壁】は自身の周囲に暴風を発生させ、敵の攻撃を防ぎつつ、近寄る者を吹き飛ばす技。特に魔法攻撃に対して高い耐性を持つ。悠斗の矢は魔法攻撃に属するので簡単に弾かれるのだ


「(矢は弾かれるわ…接近しても飛ばされるわ…僕が制作したとはいえ、敵に回ると厄介だな……けど弱点がないわけではない)」


悠斗はザフィロナを見据えながら、矢を放ち続ける。しかし、やはり全て弾かれてしまう


「ほら!どうしたの?全然当たらないよ!!」


ザフィロナは余裕の表情で挑発してくる。龍香も武器を構えつつ、必死に打開策を探していた


「龍香!僕の後ろまで下がって!」


悠斗が叫ぶ


「えっ!?わ……分かったわ」


戸惑いながらも指示に従うと、悠斗は矢を放ちながらザフィロナに向かって突撃する


「無駄だよ!君の魔法攻撃なんて効かないんだから」


余裕を見せるザフィロナだったが


「確かに……魔法攻撃では君にダメージを与えることはできない。でも、君の弱点なら知っているよ!!」


悠斗の言葉に、ザフィロナは怪訝な表情を浮かべる


「何を言っているの?私の身体に傷をつけるなんて不可能よ!」


「そうかな?じゃあ試してみる?」


そう言って悠斗は再び矢を放つと、ザフィロナは風の障壁で防ごうとする


「無駄よ!そんな攻撃……」


だが、次の瞬間、ザフィロナの腹部に激痛が走った。見ると、刃が当たっていた


「な……!?」


突然のことに動揺するザフィロナだったが、すぐに冷静さを取り戻すと風を発生させて悠斗を飛ばそうとするが


刃弓撃じんきゅうげき


逆に吹き飛ばされてしまう


「きゃあっ!!」


地面に叩きつけられるザフィロナ


「くっ……」


ザフィロナは慌てて立ち上がろうとするが身体が動かない


「君の弱点……それは物理的な耐久力の低さだ。今の一撃は相当効いたはずだ」


「っ……!」


ザフィロナは悔しさを滲ませながら、悠斗を睨む


「……」


やがて静かに立ち上がる。その手には白いトランプが握られていた


「出てきて!スート兵!!」


白いトランプが投げられ、複数のスート兵が出現した


「私が回復するまで時間稼ぎして!!」


スート兵が悠斗たちに前進してくる


「そんなせっかくのチャンスなのに」


「……」


二人は武器を構える……その時


「皆さん!大丈夫ですか?」


後ろから声が聞こえ、振り向くと


「里音ちゃん!」


里音がいた


「民間人を無事に避難させました」


「そうか…」


「里音ちゃんも逃げて」


「いいえ、逃げません!!」


「えっ!?」


驚く龍香


「私も戦います!!」


その瞳には闘志が宿っていた。雷の模様が刻まれた金属製のペンダントを握りしめながら

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