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Wall Riran  作者: 中草 豊
3/12

〜勲章の行方〜

effeuiller


難攻不落の要塞、Wall Riran攻略の為に選ばれた挑戦者達。


その挑戦権を勝ち取ったのは、鬼黒神とエルドレッドであった─。


作戦を聞いた彼らは、強襲作戦の為の準備を始める事にした!

─ effeuiller


この部隊に所属している正規隊員であれば、それが新人であったとしても戦闘に詳しくない者など、居ない・・・。


世界中探した所でココの部隊よりも強い部隊など、存在しないのだから─


世界中のあらゆる戦闘を経験して来た、いわば自称選りすぐりのフリーの傭兵や、過酷な訓練を経験して来たであろう、元特殊部隊に配属されていたエリート達ですらが、入隊試験から音を上げると言われる。


どんな作戦にも対応する事や、機密事項が外部に漏れない様にする為もあり、入隊隊員は極力絞られていた。


その為、入隊の為の地獄の試験をくぐり抜け正規隊員になった後に、毎日行われる通常訓練ですらが当たり前の事ではあるのだが、世界で1番キツいと言われる。


通常の軍隊所属軍人であれば、逃げ出すレベルとも言われている程には、キツかった。


入隊から4年目でも、新人扱いを受けると言う理由が、そこにはあったのだ。


鬼黒神を中隊長とする、鬼黒神中隊はeffeuillerの中でも特に、戦闘力・帰還能力に長けている。


それは、中隊長を中心として一枚岩と化す事もそうだが、鬼黒神中佐に絶大な信頼を寄せる、半ば狂信者の集まりの様でもあった。


『レイノルド中尉!タテヤマ少尉!こちらへ!』


鬼黒神は自他共に認め、周りからも自らの右腕とも言われる、レイノルド中尉には絶大な信頼を寄せていた。


─レイノルド・ブラッセン中尉。

元々アメリカ軍特殊部隊に所属し、間違った事を間違っている!と上官へと言い、自分の意見を押し通した結果、隊を追い出された過去を持つ。正義感に溢れ、下士官や部下にも優しく、とにかく面倒見が良いと評判の、鬼黒神隊の中でも1番慕われている大男である。彼は戦闘面においても索敵能力に長けていて、自らの小隊を無傷で帰還させるなど、能力においても、全く問題はなかった。


─タテヤマ・ホワイト少尉。

日系人であるタテヤマ少尉は、レイノルドと同じ程度には体がデカい。だが、その大きな体からは想像が出来ない程に、俊敏なフットワークを兼ね備えていた。レイノルド中尉には負けますよ!と、笑って否定はするが、腕力やフィジカル面だけで言えば鬼黒神中隊の中では、おそらく1番あるだろう。


『隊長!お呼びでありますか?』


レイノルド中尉が小走りで駆け寄ると、背筋を伸ばし、敬礼をしながら声を掛けた。


2人が並ぶと、後ろからは鬼黒神中佐が見えなくなる程にはデカい。


そう─

まるで冷蔵庫の影に、鬼黒神が隠れたかの様になるのだ。


そんな自他共に認める、右腕レイノルドから半歩下がる形で、上官を建てる様にホワイト少尉も敬礼をしながら立っていた─


先程、中将から聞いた話を2人にも話をしなければなるまい─


極秘作戦ではあるものの、鬼黒神中隊の中核を担う2人であり、それぞれ小隊長を任せている。


鬼黒神中隊の編成は、5小隊である。


降下作戦や、索敵に特化したレイノルド小隊、

最前線を力技で、敵陣へと押し込むホワイト小隊、


中隊全体や、それぞれの各小隊の動向や敵の動きに至るまで、後方からモニターや無数に張り巡らしたアンテナ等を使い、索敵・指示を出すユーラ少尉率いるユーラ小隊、


砲撃や迎撃や重火器類の取り扱いには滅法強く、隊全体をサポートする事に関して言えば、他の追随を決して許さない、クインシー少尉率いるクインシー小隊、


そして─

夜戦に特化し、夜間では無類の強さを誇り、的確に敵の匂いや火薬の匂いを探知する事の出来る、特異的な能力を持った、テインズ少尉率いるテインズ小隊である。


どの小隊長達も、一癖のある個性的なメンバーが揃っていた。


だが─


鬼黒神からすればそれは頼もしい部下達であり、鬼黒神中隊を、初期から支え続けて来たメンバーでもあったのだ。


─ユーラ・ウィップ少尉。

常に、片手にパソコンを持っている女性士官。妨害工作や電子や電気の事に関して言えば、他の追随を許さない元ハッカー。肉体的には男性に遠く及ばないものの、良からぬ事を考えた輩たちへの、彼女から贈られる制裁とも言うべき、右ハイキックによる気絶者は、残念ながら後を絶たない。


─クインシー少尉。

別名:XIII(サーティーン)ガンズ(13丁の銃を常に持ち歩いている為)。鬼黒神中隊で、唯一コードネームで呼ばれる男。過去に、何があったかを探る者は彼の手によって、暗い闇に葬られる事になる。と、言う都市伝説的な逸話を持つ、秘密の多い隊員。だが、重火器や砲撃に関して、彼の右に出る者は居なかった。小柄ではあるものの、接近戦になった所で、体中に仕込んだ銃により敵を倒す。ミサイル類の射弾観測に関しても、中将に匹敵するのではなかろうか?と、もっぱらの噂がある。


─テインズ・リラ少尉。

鬼黒神中隊における女性士官。ポンコツではあるものの、夜戦では無類の強さを誇り、どれだけ擬態変装(ぎたいへんそう)していようとも、匂いで見つけられる程には鼻が利く。火薬の匂いもしっかり嗅ぎ分けるだけの能力を持っている為、鬼黒神中隊の中で1番非力であろうとも、除隊される事は絶対になかった。


中将からの話を一通りした所、レイノルド中尉・ホワイト少尉それぞれから、失笑が漏れた。


無理もない─


鬼黒神隊だけの作戦ではなく、エルドレッド中隊との合同作戦を命じられたと言う事実。


それだけならまだしも─

任務として、告げられたのは敵の隊長を暗殺するのみ。と、言う、自分達の部隊全体の意味すら打ち壊しかねない、馬鹿げた作戦なのである。


当たり前ではあるが、世界でこの部隊を敵に回す意味を理解している人達からは、とても理解の出来ない作戦である事は、明白だった。


部下達の失笑を見て、改めて考えて見たものの、本気で中将からの作戦だとは思えなかった。


自分達を過小評価した、どこかの政治家の作戦なのだろうな。と、考えると腑に落ちた。


ならば、そのどこかの政治家達に、我々の力を本気で見せつけてやる必要がある─!


そう思うと、エルドには悪いが鬼黒神中隊だけでの任務遂行も容易である様に思うのだが…。


改めてエルドに連絡を取り、2中隊での作戦がホントに必要だと思うか?と、聞いた。


エルドも同じ事を考えていた様で、そんなに手柄が欲しけりゃくれてやるよ!と、電話の向こうで笑っていた。


敵の規模もそこまでは大きくないだろうし、自分達の戦闘力に、絶対的自信もある。


何より、我々は世界で最強の部隊なのだ─!


そう言い聞かせると、レイノルド中尉・ホワイト少尉に出発準備をする様に、指示を出した。


Wall Riranか、必ず攻略してやる─!!


そう、心に固く誓った鬼黒神であった。

エルドレッドとの合同作戦は、必要ない!


そう判断した、鬼黒神中隊の面々。


彼らの挑戦が、始まろうとしていた。

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