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Wall Riran  作者: 中草 豊
11/12

〜未来への讃歌〜

強襲作戦は、バレていた─!?


見えない敵を前に、鬼黒神敬司は難攻不落の要塞を目前にしながら、何を想う─!?


ケイジを想い、嫌な汗の正体に気付いたエルドは、果たして、、、間に合うのか─!?

ふと時計に目を落とすと、時刻は0:35になろうとしていた。


細心の注意を払い、周りを確認し、充分な索敵を繰り返しながら、前に進んだ。


敵の影はおろか、動く物は見えなかった。


隠れていた岩場から、200m程進んだろうか。


鬼黒神敬司は、拠点が闇の中にぼんやりと見える位置までは、来ていた。


部下達の死体の山を乗り越え、やっとここまで辿り着いたのだ。


拠点の中に入ってしまえば、敵の指揮官を殺るだけの任務である。


おおよその地図は、頭の中に入っていた。

もう、後ろを振り返ってなどいられない。


今は前に進まねば─


そんな事を思いながら周りを確認するや、今一度警戒する。

今、敵に見つかる事は絶対に、避けねばならない。


だが─

そんな鬼黒神にとって、予想外の事が起こる。


突如として、どこから飛んで来たかわからない、爆撃を受けたのだ。


『敵はもう、目前だ!!総員!生きてるか!』


頭の中が一瞬混乱し、パニックに陥った鬼黒神は生きている隊員が、自分の他に1人でもいる事を信じたかったのかもしれない。


しかし─

無線に向かって叫ぶ声だけが闇に吸われ、虚しく響いていた。


『生きている者は、順次応答せよ!!!』


更に、無線に対して叫び続ける。


だが─

応答はない。。。


もう自分しか生き残っていない。と、言う受け入れがたい現実と、今まで積み上げて来た栄光と、歯車としての自分の使命は、ここまでなのだと悟った。


『くそ!ぬかった!』


ふいに出た言葉。

考えてもみれば、簡単な事だった。


我々最強と謳われた部隊が、そんな簡単に崩壊するはずもない。


裏切り者がいたのだ─!!


主犯は誰だろうか?

何か不満があったのだろうか?


色々な感情や言葉が頭を駆け巡る。


だが─

考えても、理由はわからなかった。


いわば、クーデターに巻き込まれたと言っても良いだろう。


クーデターを起こした首謀者にはどんな形であれ、一発お見舞いしてやらなければ中隊長としても、1人の男としても、気が済まなかった。


『誰でも良い!応答せよ!!』


再び叫ぶも、やはり応答はなかった。


たった1人でもやってやろう─!


そう心に決め、辺りを見回しながら拠点の場所を確認し、もしも反逆者が応答してくれれば…と、僅かばかりの期待を込めて、再び無線を怒鳴りつける。


『応答…』


最期は叫ぶ間もなく、付近に落ちたミサイルの爆発に巻き込まれた。。。


鬼黒神敬司。

最強と言われた部隊effeuiller中佐。


部下達を想い、部下達の為に生き、自らの強さを追い求めた男。


最強の士官。。。。



┈┈┈┈┈┈┈ ❁ ❁ ❁ ┈┈┈┈┈┈┈┈



0:33─

前線本部。


もの凄いブレーキ音と共に、装甲車が1台砂煙を上げて止まった。


エルドと共に、トネル小隊の面々が装甲車から駆け下りて来る。


だが─

いつもはそこにいるはずの、椅子に腰掛けながらパソコンを操作しているユーラ少尉はおらず、本部のテントの中には支援班数名が、居るだけだった。


『ユーラ少尉はどこに行った!前線は、どうなっている!戦況は?』


もの凄い剣幕でまくし立てると、隊員全員が装備している、そこにある無線を、もぎ取って叫んだ。


そんなエルドの様子を見ながら、前線本部に残る支援斑は何も言えず、呆然と立ち尽くすのみだった。


『ケイジ!生きているか!生きていたら、応答しろ!』


無線機に叫んだ直後に、前方での爆撃。


ケイジが危ない─!

そう直感で脳が告げるのに、時間は要らなかった。


だが─

無線の応答は、ない。


なぜ、届かないのか─?


苛立ちを最大限抑えながらも、無線を握るその手は離さないまま、目だけをキョロキョロと、動かす。と、ある場所で目が止まる。


目に止まったのは普段では見慣れない、無線機に刺されたひときわ目立つ、赤々と光っているUSBメモリーを、なんの迷いもなく引き抜いた。


だが─

それを合図としたかの様な、突然の爆発が前線本部を取り囲んだ。


逃げる手立てはない。

何とか身を(かが)め、飛んで来る何かの破片や石や砂利などを避けながらも、無線に怒鳴りつける。


『メーデー!メーデー!コチラ、空爆を……』


言い終わる前に、爆発音にかき消された。


なぜだ─!?


なぜ、こんな事になったのだ─!?


エルドは混乱していた。

周りの支援班や、トネル小隊の面々もどうにも出来ずに倒れて行くのを、ただ見る事しか出来ない。


『応答……』


無線の向こうで、誰かが叫んだ。


ケイジだ!

直感がそう告げると、エルドは叫んでいた。


しかし─

そんな叫びも虚しく、前線本部に降る、爆発の雨が止まる事はなかった。。。


エルドレッド・ブラハム。

最強と言われた部隊effeuiller中佐。


鬼黒神敬司と共に最強を追い求めた男。


自らの正義に従い、正義に準じた男。。。



┈┈┈┈┈┈┈ ❁ ❁ ❁ ┈┈┈┈┈┈┈┈



0:45─

Wall Riran入口前。


後から3人が合流を果たすと、難攻不落の要塞の前に7人の男女が集結し、これからしなければいけない事を話していた。


前々から決まっていた、自分達の楽園を作り上げるべく始まった『クーテーブタイ』と言う名の新しい部隊の起ち上げ。


その為に、今まで隠れて行動を起こしていたし、バレない様に、入念に準備をして来た。


難攻不落の要塞も、本音を言えばまだバレて欲しくはなかった。


今、この場に集っているのはその楽園の理念に共感し、共闘戦線を張り、前線に立ち続け、水面下で動き続けた7人の同志達。


その楽園を作り上げる為に、正直effeuillerも、鬼黒神も、エルドも邪魔だった。


しかし─

楽園を起ち上げる為には、まだ最後の大仕事が残っていた。


その仕事を遂行する為に、7人は二手に分かれると()()()()()()()()をクーテーブタイの面々と進めながら、月夜の照らす黒い空を見上げた。


輝かしい未来を、切り拓く為に。。。

クーデター。

俗に言う、裏切り。


味方と思っていた、部下達の反乱。


そんな凶弾に倒れた、鬼黒神敬司。


しかし、やるべき事を成す為には………。


今後の展開を、お楽しみに、、、

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