1/8
プロローグ
人はみんな、生きる理由を知らないまま生まれてくる。
生きながら、その理由を探していくのだと、神になろうとしている親友に、教えられて育った。
でもボクは『つくられた理由』をもって生まれてきた。
生きる理由を探し出すことは、ゲームみたいなもので、始めから理由をもって生まれたボクには、それに参加することが出来ない。
だから彼は、ボクに別のゲームをあたえてくれた。
井原英朗
ボクと同じ名前、同じDNAのオリジナル…―――
彼を演じ、誰にもバレないようにNOAに乗ること、彼女だった一香を、英朗だと信じさせて愛すること……。
それがボクの『つくられた理由』生きている意味。
バレたらなにも残らない。
バレたらボクは、ボクでいられない。
だから、その生きる理由をかけた究極のゲームに、ボクは参加することにした。