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1.プロローグ

どうも、零華と申します!

中々に忙しい身なので、更新がまばらになってしまったり、いきなり長期間切れることも度々あるとは思いますが、最後までリリアナの奮闘を見てくださると嬉しいです

 

(≧∀≦)ノ ≡☆

魔法歴562年。


雛月(ひなつき)の節、それは一年で最初の節とされている。


 まだうっすらと残る雪の中、人々は新たな命の芽吹きと国の豊穣を願い、どの貴族も平民も血族を集め、歌い、踊る。


 そして、年はじめから3日がたった夜には、神託によって選ばれた舞姫(まいひめ)と呼ばれる女性が、王宮内に佇む神殿で豊穣の女神とされる女神ソレイシアに一晩中舞を捧げる。


舞を踊るのを赦されている年齢は18歳であり、しかも神聖で不可侵の乙女でなければいけない。要するに、処女でなければいけないのだ。


そして、そんな舞姫に選ばれるのはとても名誉なことで、国中の女性達の憧れとされる。


ここまでは国民ですら知っている常識の内。そしてここからは、踊ったことのある()()しか知らない事で......



大司教から直接手取り足取り教えられる舞自体はゆったりとしたテンポののものだが、一晩中舞うことになるので、これが中々に体力がいる。


 しかも、神殿は太古からあるため、建築方法も古い。その為、すきま風が酷く、更に踊る本人は非常に薄い羽衣を着せられるので、まだうっすらと雪の積もったこの時期、石造りの神殿の中はあり得ないほど寒い。

いやほんと寒い。


 しかし、周りで穏やかに佇んでいる王妃や、讃美歌を歌うためにいる信徒達はちゃっかり着込んでいる。

踊る度に視界に映るそれらを見ては、『その服寄越せやァァァァ!!』と思わずにはいられなかった。




 何故、そんなことを知っているかって?


 それは、前世で体験済みだからよ!


 フェルトルド王国の筆頭公爵家であるルーヴァルト公爵の末娘、リリアナ・ルーヴァルトと言うのが私の本名。

そして、乙女に必ず存在する秘密が...私の場合は『二回目だということ』だったりする。


 前世....と言うのが正しいかは確かでは無いけれど、私は同じ名前と性で二回目を繰り返している。


死んだ次の瞬間、三歳に戻っていた....というわけで。

そして今向かっている所が、私の人生をまるっきり違うものに変えた、いや、変えられた場所。


私は前世でとある男と不本意な婚約を結んでいる。そして今日、その男に婚約破棄を言い渡されるのだ。ここから、私の完璧だった人生計画は狂っていった。

そして今はその会場に向かう馬車の中。


因みに今から私が婚約破棄を受ける男の名前は、キース・ルドマンドこの国の第三王子であられるお方だ。一部の貴族の間で呼ばれているあだ名は『傲慢殿下』

一応、私も公爵貴族の一員ではあるので、彼とは幼い頃から婚約を結んでいる仲だ。

だけれども、私はキースにとことん嫌われている。


パーティーの時などは一応エスコートしてくれるのだが、その後は婚約者である私に見向きもせずに、他のご令嬢を侍らしている。

なので、私も目立たないように会場内を壁に沿ってゆっくりと歩いていたり、食事をとったり。


最初の方は、どこぞのご令嬢達がよく挑発しに来てくれたりと退屈しなかったのだが、前世でもこの雛月の節に近づくにつれて、遠目に憐れそうな視線を向けられるだけになってしまった。


結構楽しかったのに....




 そのキースといえば、幼い頃は天真爛漫なのは良いことだと多目に見られ、周りの大人達が注意しないものだから、やりたいほう題していた。


実の兄である第1、第2王子からは早々に見切りをつけられ、構ってくれる兄弟もいない。


母である王妃はキースを産んだ後、暫くしてから流行り病で死んでしまったので、構ってくれる相手と言えば、権力にしか目がないイエスマンと化した臣下達と、彼の持つ美貌と財力に魅せられた現金な令嬢達だけだった。


それで何を勘違いしたのか

彼は更に尊大な態度をとるようになり、手のつけられない我が儘王子として育つことになる。


私がキースに初めて会ったのも丁度その頃で、彼の行動に余りにも目が余る所があったため、一度自覚を持ってくださいと進言したところ、案の定、嫌われてしまった....と言うわけだ。


寧ろ、私も望んでした婚約ではなかったので、嫌ってくれてありがとうございます...というところなのだけれど。


そうこうしている内に、王城に到着したようだ。


ここにはいないキースの代わりに、扉を開けて私に手を差しのべてくれたジェーンにお礼を言いながら馬車から降りる。


意気揚々と馬車から降りた私は、クルリと振り返ると、昔からよく私のことを可愛がってくれた我が家専属の執事に笑顔を見せた。


「気がつけば、貴方も随分と老けたわよね。ジェーン」


「全くですな。あんなに小さかったお嬢様は大層お綺麗になられて....時が過ぎるのは早いものですね」


私はそうかしら?とふわりと広がる水色のドレスを撫で付ける。

気が付けばいつの間にか初老に差し掛かっていたジェーンは軽く首を振る。その顔に少し寂しそうな影がよぎったのは気のせいだろうか。


彼は昔から勘が鋭く、今までの間になにかと勘づかれそうになったが、何とか誤魔化してきた。


そんなただ者ではなさそうな執事の顔をしっかり目に焼き付けておこうと彼の顔をじっと見つめる。


10秒ほど見つめただろうか。鋭い彼に気がつかれないように、静かにゆっくりと今までの感謝を込めて口を開く。

これが終わったらもう一生ジェーンと会うことは出来ないだろう。


「ありがとう。ジェーン」


私のそんな 一言に対して、ジェーンは何か汲み取ったのか、苦笑を浮かべると、何かを振り切るようにもう一度首を振り、私の瞳をみかえす。


「それは....いえ、信用しておりますよ。ここで私は主の帰りを待つことに致しましょう」


そういって、深々と腰を曲げる。


「もう、ジェーンったら。貴方の主人は私ではなくてお父様でしょう?」


私は危うく滲みそうになった涙を隠すように、ジェーンに背を向け、少し、ほんのの少しだけ高い声で返す。多少早口になってしまったかも知れない。


背後でジェーンが笑った気配がした。あーあ。これはバレてしまったかも。


「行ってきます」


そう誰にも聞こえないように呟いて背筋を伸ばし、歩を進める。

そう。私は今からあそこに戦いに行くのだから。


背後から聞こえた「いってらっしゃいませ」という呟きは、幻聴でなければいいな。







最後までお読み下さり、ありがとうございます!

一応確認してはいるのですが、誤字、脱字、読みにくい所があれば、遠慮なく伝えてくださると嬉しいです!!


まだまだ未熟者なので....ρ(тωт`) イジイジ

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