【一視同仁】
時間が前の話より進みます。
光一と一暗が駆けて来る。
彼等は、それぞれ【人類村】から分かれた集落の長をしている。
【人類村】は、塀の中の広さが、東京ドーム位はあると思う。
そこに家を点在させていた。
これは、万が一 巨大な獣が、内部に入ってしまった時の対策として、この面積を確保している。
入るとしたら、5メートル前後の体躯の獣になると予想し、
もし入り込まれても、逃げられるだけの広さを確保したのだ。
もちろん、複数のシェルターも作ってある。
しかし、【人類村】が出来て、八年も経つと、子供達が増え過ぎて、流石に手狭になってしまった。
これでは、巨大な獣が侵入したら、逃げ場に困ってしまう。
そこで、安全対策として、【人類村】に付ける形で、二つの新しい居住区を作ったのだ。
もちろん、巨大な塀も作ってね。
そして、その居住区の長に、年長の二人がなった。
居住区が一つでは無いのは、将来的な子供の増加を見越してと、私から分かれ出る子達の性質からだったりする。
分体を使うなよって話だけど、心が新しい子の存在を求めただけで、気が付いたら産まれているので、どうしようも無いのだ。
新しい居住区は、完成してから約二年経つ。
白族の長のコーイチが、先ずは報告してきた。
「上水道の保守は済ませました」
「ありがとうね。コーイチお兄ちゃん」
「いえ、僕達の仕事ですから」
黒族の長のイアンが、続いて報告をする。
「五つの狩場の様子は確認してきました。二箇所 獣が掛かってました」
「それじゃ、白族と黒族の年長者と、獣人の希望者で、狩りに行かなきゃね」
「はい」
「それぞれの大きさは?」
「10メートル級と5メートル未満です」
「じゃあ、みんなで気を付けて狩ってね」
「「うん。わかった」」
二人はそれぞれの管理する集落に帰る。
【人類村】を拡張して居住区を二つ増やした時に、外の狩場も一箇所 増設した。
大きくなった子供達が、外に出る事が増えたので、5メートル未満で2メートル以上の大きさの獣を集める狩場を作ったのだ。
最初からその規模の狩場を作らなかったのには、理由がある。
その大きさの獣が誘導されると言う事は、それに近い大きさ(より大きい獣と比較して)の人間や獣人も、移動がし難くなる事になるからだ。
でも、子供達の安全には代えられない。
「お母様!」
最近 産まれた白い髪の子が走り寄る。
「なぁに?」
「一緒にお外の畑に行きたい!甘いの食べたい!」
5メートル未満2メートル以上の獣の狩場を作った事で、塀の外の狩場の内側の部分は、道や水道の部分以外は、畑や田んぼにして使っている。
もちろん、出入口付近には、赤い実をつけるブルーベリーの様な果樹も沢山沢山植えている。
それを食べに行きたいと言っているのだ。
ちなみに、安直だけどレッドベリーと呼んでいる。
「じゃあ…… 他の子達も連れて、みんなで行こうか?」
「うん!呼んでくる!」
「黒の髪の子達も誘うのよ!」
「はぁーい!」
元々の【人類村】は、一番 幼い子達が残っている。
そして、大きくなると、髪の白い子は【白村】に、髪の黒い子は【黒村】に、移り住む。
髪の白い子と黒い子は、仲が悪い訳でも無く、ケンカをする事は無いのだが、誕生した時から、自然と同じ髪の色の子達と集まっている。
協力はし合うけど、白の子と黒の子は、過度には関わらない感じ。
同じ髪の色の子達と一緒の方が、居心地が良い、そんな感じにも見える。
「連れてきたよ!」
さっきの子の白光が、他の子達も連れてきた。
「じゃあ、行こうか?」
総勢十一名で、お外に果物狩りに向かう。
「さあ、自由に採って食べておいで」
子供達に自由に採らせる。
私は周囲の監視だ。
狩場を内側に増やして、ここに獣が現れる事は、凄く少ないけれど、絶対では無い。
現れても大きさは人と同じ位の獣だけど、私には脅威じゃ無くても、子供達には危険だ。
「はい。お母様」
と、女の子の陽子がレッドベリーを採ってきてくれた。
「ありがとう!」
かわいくてギュッと抱きしめると……
やばい状態になってしまった。
採っていた他の子達も、手に手にレッドベリーを持って、私に向かって来ている。
これは……全員をギュッとしながら褒める修行の開始だな。
即座に母親として、覚悟を決めた。
【分け隔て無く愛する】
これ絶対!
全員をギュッとしたら終わりでは無い。ギュッされた子は、絶対にまた採ってきて渡してくれるのだ。
何回 ギュッする事になるのだろうか……
先ずは二人目……
「はい!お母様!」
ヨーコと一緒に産まれた紗夜だ。
「ありがとう!」
ギュッと抱きしめる。
私の前には、子供達の行列だ。
最後尾にはヨーコだ。
「お母さん がんばる!」
キョトンと私を見ている子達に笑顔を向けて、母親としての悦びに浸る。
〜〜〜
異世界簡易マップ。
恵の【人類村】を拡げて、【白村】と【黒村】を作った後の状態。
実際には、【人類村】に二つの村は付いているので、ここまで規模の拡張は無い。
(でも、各3つの村は東京ドーム位の広さは有るけど)
成人した光一と一暗。
あ、もちろん、漢字で書いた時の文字も、名付けの時に決めてました。
次回は、【白村】と【黒村】の日常を書きます。




