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恐怖の宿屋!?


何件か宿屋を見つけ入ってみたが、満室や予算的に厳しい所も多く、なかなか決まらなかった

ようやくたどり着いた宿屋は裏通りにある場所でかつ人があまり居ない場所にあった

名前は『薔薇の宿屋』だ…何か不吉な気配がする気がする…

だが、野宿するわけにもいかないので覚悟を決めて扉を開けて中に入ることにした


ギィ…バン!!

俺は何か見てはいけない物を見たような気がして扉を閉めた

いやまて、見間違いか?見間違いだよな?見間違いであってくれ!

もう一度おそるおそる扉を開け…バン!!

突然開け放たれた扉の向こう側にそれは居た


「いらっしゃいませぇ~お泊りでしょうか?」


フリルとリボンをあしらった可愛らしいメイド服に太ももまでの長いタイツに絶対領域

ピンクのルージュに薄っすらと頬にチークが入った

身長2mほどの筋肉粒々なスキンヘッドのオヤジがそこには居た


「おじゃましました」


そそくさと逃げようとしたが回り込まれてしまった


「お客様?いかがしましたか?」


くそっ、大魔王からは逃げられないのか!?


「1名様、ご来店で~す」


腕を組まれて捕まってしまった!しかも硬い筋肉の胸を押し付けられるのが物凄く嫌すぎる!!

こうして俺はズルズルとカウンターまで強制的に案内されるのだった…


「お客様、お泊りですか?それともお食事ですか?それとも、わ・た・し?うふっ」


勘弁して下さい…


「実は間違いでし…」


「あぁん?」


「お泊りしたいのですが、おいくらでしょうか?」


「はぁい、お一人様一泊素泊まりで銅貨5枚、食事付きだと銅貨8枚になります。

 ちなみに、マッサージのサービスは無料でいた…」


「食事付きの泊りで!!マッサージは要りません!!」


バン!!と光の速さのごとく銀貨を1枚テーブルに置いた


「あらそう?残念ねぇ~

 それじゃ、はいお釣り」


銅貨2枚をやさしく手を包むように渡された…ゴツゴツしてたし嬉しくもない…


「簡単に説明致しますわね。

 食事は1階の食堂で食べられます。

 夕食は7の鐘から10の鐘までの間、朝食は5の鐘から9の鐘の間に食べてね。

 時間に遅れたら、激おこぷんぷんだから気を付けて」


「サー!時間はきちんと守るであります、サー!」


「それじゃ、2回の一番奥があ・な・たの部屋♪ で、これが部屋の鍵。

 そ・し・て、私のはぁとの鍵は、必要無いからノックだけでよろしくてよ」


「サー!自分は鍵だけで大丈夫であります、サー!」


「あら、お客様のいけず~」


鍵を受け取った俺は即座にこの地獄から脱出するのだった


・・・・


今、俺は人生の分岐点に居ると言っても良い状態にある

それは…夕飯を食べるか食べないかだ

もちろん腹は減っている、食べに行くということはまた恐怖を味わう可能性があるからだ

だが、食べないと言うことは、激おこぷんぷんの恐怖を味わう可能性もありえるため悩んでいるのだ

ぷんぷんがどんなものかは分からないが、直感が危険だと訴えている

仕方ない食べに行くか…


食堂の入り口が見える

何かまがまがしいオーラが見えるような気がする…これ入っても大丈夫なのか?

怖くない、怖くない、怖くない、怖くない、大丈夫、大丈夫、きっと大丈夫、絶対大丈夫、大丈夫だと良いな、大丈夫だよね?

意を決して入ることにした


「ハニー、来てくれたのね、ジェニファーとっても嬉しい」


そこにはバケモ…げふんげふん、可愛らしいハートのエプロンを付けたジェニファーさんが居た

つーかジェニファーって顔か?そもそも本名じゃないよね?


「空いている席に適当に座っちゃってちょうだい、すぐに愛情たっぷり込めた料理を用意するわ」


込めなくて良いです、それだけで胸やけしそうです

それにしても食堂に入ってから凄く良いにおいがするな

ち、違うぞ?ジェニファーさんの匂いでは断じてない、食事の匂いだ

この世界の料理って素材そのものか、塩のみが主流のイメージしかなかったが、この匂いはどうみても香辛料を使用しているっぽいぞ

昼間の調査では香辛料は高いと言っていたと思ったが、ここの食事って朝夕で確か銅貨3枚分くらいだったよな?

そんなことを考えていると料理が運ばれてきた


「お待ちどうさま~

 本日のメニューは、きのこと野菜のスパイシースープと、ホーンラビットのステーキになります。

 パンはお替り自由なので欲しいときは、ジェニファー愛してると言ってね」


言えるか~!!

お替りは諦めるしかなさそうだ

何はともあれ食べるとするか


先ずはステーキをパクリ

旨っ!きちんと塩コショウが振ってあるし、肉に臭みがなくニンニクが効いててマジ旨い!!


次はスープをパクリ

こ、これはカレーとは違ったスパイシーな味だが最高だ、十分にきのこや野菜を煮込んでうまみ成分を十分に出した至高の一品である

このまま食べても十分に旨いが、パンに付けて食べるとこれまた小麦の香りがスパイシーな香りと一緒に鼻を抜けてすばらしいハーモニーを奏でている

まじめに旨い、まさに至高の一品である


「シェフを呼んでくれ!!」


つい声が出てしまった


「は~い、ハニー呼んだ?」


とジェニファーが来た、本当、マジホントに神に誓って呼ぶつもりはこれっぽっちも無かった

それなのに、つい声が出てしまった先ほどの自分を殴りたい、殴り飛ばしたい、死ぬまで殴りたい


「すいません、凄く美味しかったのでつい声が出てしまいました」


「本当?ジェニファー嬉しい☆」


うん、美味しいんだけど、何となくまずくなった気がする…

でも、せっかくなので聞いてみることにした


「出店で香辛料は高いって聞いたんだけど、この料理結構使ってますよね?

 何でこんなに安いんですか?」


きょとんとした顔をしていたジェニファーさんだが、ふと思い当たったのかニッコリした


「乙女の秘密を暴こうなんて、このおませさん♪」


もういいです、聞いた自分が馬鹿だった


「わかりました、ありがとうございます」


気が付くとパンが無くなっていた、だがスープはまだ少し残っている

パンが欲しい、切実に欲しい、だがあの言葉は言えない、言ったら最後だ…たぶん死ぬ

死んでも良いから言うべきか、現状で満足して終わらせるか悩む…


「じぇ、じぇにふぁ~?」


「なぁに?ハニー」


「あ、あ、あ、あい、あい、あいし、いし、し…くっ!殺せ!!」


「もぉ~ハニーのい・け・ずぅ~☆」


試合には負けたが、勝負には勝った気分だが、凄く疲れた…

夕食を終わらせ部屋に戻るのだった

湯あみを済ませ部屋に鍵がしっかり掛かっていることを10回ほど確認し、

部屋の据え付けている机をドアの前に設置して開かないことを確認してからベットに入った


「それにしても宿屋の主人?女将?は変態だが、飯は旨かったな。

 このまま眠るのも不安はあるが、明日からギルドで依頼受けなきゃいけないし、頑張って寝なきゃ……ぐぅ」


自慢じゃないけど私も寝つきは良いです。

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[一言] 漢女が強くて強くて秘密に溢れてるのは鉄板
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